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【インフルエンサーinアジア】日本人だけど「自称香港人」 広東語でご当地愛を伝える リンモクさん

SNSで多数のフォロワーを持ち、強い影響力を持つインフルエンサーが注目を集める昨今。そんな彼・彼女たちの中から、日本とアジアをつなぐインフルエンサーをご紹介。(取材=NNA東京編集部 古林由香)

1994年、愛知県生まれ。立命館大学卒業後、国内の自動車部品メーカー勤務を経て2019年から香港在住。香港中文大学の院生だった20年2月にユーチューブを開始。現在、米国系メーカーで勤務。住まいの集合住宅をバックに(NNA撮影)

1994年、愛知県生まれ。立命館大学卒業後、国内の自動車部品メーカー勤務を経て2019年から香港在住。香港中文大学の院生だった20年2月にユーチューブを開始。現在、米国系メーカーで勤務。住まいの集合住宅をバックに(NNA撮影)

YouTube:リンモク Lingmuk【広東話学習Vlog】 1万7,500人(登録者数。以下同)
Twitter: Lingmuk @ 香港(Lingmukhk) 9,587人
Instagram:Lingmuk.HK(lingmuk.hk) 2,329人
※22年3月21日現在

YouTube:リンモク Lingmuk【広東話学習Vlog】 1万7,500人(登録者数。以下同) Twitter: Lingmuk @ 香港(Lingmukhk) 9,587人 Instagram:Lingmuk.HK(lingmuk.hk) 2,329人 ※22年3月21日現在

「自称香港人」を掲げ、香港の魅力をSNSで伝える日本人男性がいる。ニックネームの「リンモク」は、本名「鈴木」の広東語読み。2019年に留学生として香港に渡り、現在は会社員として働きながらユーチューバー活動にまい進する。動画のテーマは、ローカル感あふれる自宅のルームツアーから、地元の人も知らないような穴場スポットの紹介までマニアックだ。ひょうきんな語り口調の広東語動画は評判を呼び、地元メディアにたびたび登場する人気者に。今回のオンライン取材でも、ピュアな香港愛をほがらかに語ってくれた。

――香港にハマったきっかけは?

リンモク:初めて訪れたのが、大学2年生だった14年。東アジア研究学域というコースで中国語(北京語)や中国の文化や歴史を学んでいて、大学主催のプログラムで広州、深センと回り、最後に香港を訪れたんです。でもその時は、「にぎやかなだな」程度の印象で。その翌年、深セン大学に交換留学して香港へと毎週末のように遊びに行くうちに、開かれた街の雰囲気や人々の熱量に魅了されました。

知り合った香港人が良かったんですよね。僕にない前向きなパワーにあふれていて。香港に住めば彼らみたいな人間に近づけるのではと考え、長期滞在する方法を具体的に探りました。

香港の大学院を修了すると、就業可能なIANGビザというものを取れると知り、留学の資金作りと職業経験を積むために、大学卒業後はまず地元愛知県のメーカーに就職。受験準備も並行して進め、香港中文大学大学院の合格を機に2年で退職し、19年8月から留学生活を開始しました。

――20年2月にユーチューブチャンネルを開設した経緯は?

リンモク:開設当初、チャンネルのタイトルを「世界一かわいそうな留学生」としていたんですが、自分の悲惨な状況を伝えたいというのが一番の動機でした(苦笑)。

というのも留学を始めた当時、香港中で社会運動が繰り広げられていて、大学院の敷地も戦場に。その影響で入学後2カ月で休学になってしまったんです。年が明けてからは新型コロナウイルスが流行し始め、結局授業はオンラインのみ。自分はいわゆる「巻き込まれ体質」で、新型コロナで武漢市が封鎖になった場に居合わせて大変な目に遭うなど、不運続きでもんもんとしていたんです。

香港の友達を作りたい、広東語をうまくなりたいという目的もありました。下手なりに頑張って勉強している姿を見せれば、誰かからミスを直してもらえるだろうと(笑)。正直、最初はそんな独り善がりな動機でした。

学習期間6カ月の広東語で、自己紹介にチャレンジ。「自分は羞恥心があまりないので、下手でもさらしてしまおうという気持ちで作りました。顔に目線を入れているのは、単なるインパクト狙いです(笑)」(リンモク Lingmuk【広東話学習Vlog】のユーチューブより。以下同)

学習期間6カ月の広東語で、自己紹介にチャレンジ。「自分は羞恥心があまりないので、下手でもさらしてしまおうという気持ちで作りました。顔に目線を入れているのは、単なるインパクト狙いです(笑)」(リンモク Lingmuk【広東話学習Vlog】のユーチューブより。以下同)

https://youtu.be/GbmlXBWlE2E

■テーマを決めて毎年引っ越し、現在モンスターマンション在住

――チャンネル登録者の属性は?

リンモク:地域の属性でいうと香港が約80%、日本が約5%。残りが米国、カナダ、英国、マカオなどで、各地に移民した香港出身者だと思います。性別は男性6割、女性4割。年齢は25~34歳の方が一番多いです。

――動画制作で重視していることは?

リンモク:独り善がりな動機で始めたユーチューブですが、やっていくうちに日本人である自分目線で香港の魅力を伝えたいと思うようになりました。

ユーチューブを始めてからおかげでいろんな方に出会えたのですが、状況が状況なので香港から去っていく人も多いんです。香港の素晴らしさや面白さを僕目線でお伝えすることで、故郷を懐かしむことができたり、在住者でも「香港にもこんなところが」と新しい気付きがある動画になるよう心掛けています。

それと同時に日本人に向けても「香港はいいよ、楽しいよ」というメッセージを意識的に発信しています。台湾などと比べて、香港に興味がある日本の若い人が少ないのが気掛かりで。広東語の面白さを伝えて学習者を増やしたいという思いもあり、字幕は広東語と日本語の両方を頑張って付けています。

――特に気に入っている動画は?

リンモク:「日本人が香港をとても愛する10の理由! 香港人になりたい」です。題名通り、なぜ香港にほれているのかを語った動画で、「街の中心から大自然が近い」「日本人に優しいなど」といったことを語りました。香港の方からたくさん応援メッセージももらえましたし、僕のチャンネル内では一番の再生回数になり、もっと頑張りたいという活力が湧きました。

――自室を紹介するルームツアー動画も好評ですね。

リンモク:いろんな香港を見たいという理由で、毎年テーマ設定して引っ越しているんですが、移住1年目は新界地区、2年目は九龍地区、3年目の今は香港島に住むのがテーマ。現在住んでいるのは通称「怪獣大廈(モンスターマンション)」という巨大な集合住宅。これぞ香港という感じの過密な構造が特徴で、面白いと視聴者にも好評です。ちなみに部屋は6畳程度で、家賃は水道光熱費、通信費込みで6,000HKドル(約9万1,500円)です。

香港島のクオーリーベイにある集合住宅、怪獣大廈(モンスターマンション)の自室を紹介。冒頭に登場する空撮映像は、リンモクさん自身が操作したドローン(小型無線機)で撮影。「住民もマンション内の商店街の人々も人情味があって、住んで大正解でした」

香港島のクオーリーベイにある集合住宅、怪獣大廈(モンスターマンション)の自室を紹介。冒頭に登場する空撮映像は、リンモクさん自身が操作したドローン(小型無線機)で撮影。「住民もマンション内の商店街の人々も人情味があって、住んで大正解でした」

https://youtu.be/66dblKo3yiw

■「自称」が取れるのが夢、いつか自分も香港人に

――動画が評判になり、地元メディアに取り上げられたとか。

リンモク:ありがたいことに新聞、ネットニュースなど10以上の媒体に取り上げていただきました。チャンネル登録者は約1万7,500人ですが、香港の人口考えるとかなりの割合の方に見ていただいているようで。ハイキング中に声をかけられたり、写真を一緒に撮ってほしいとお願いされたこともあります(笑)。

――ユーチューバー活動でやりがいを感じる時、逆につらさを感じる時は?

リンモク:コメント欄で「香港を好きでいてくれてありがとう」といった言葉をいただけると胸がいっぱいになりますね。僕の広東語に対する指摘も、勉強のモチベーションが上がりうれしいです。皆さん、熱心に修正してくれてありがたいなと。

フルタイムで仕事をしているので、時間的余裕がないのがつらいところですが、撮影は主に週末に行い、編集は出勤前や帰宅後に小分けにしてやるなど、何とかやりくりしています。

――改めて香港の好きなところを教えてください。

リンモク:街全体からあふれるエネルギーに、利便性の良さ、あとは山や海など自然を楽しめるスポットへのアクセスの良さ。日本の方にはあまり知られていませんが、香港には自然豊かな場所がたくさんあり、ハイキング好きな自分には理想的。でも、一番好きなのは香港人の生き方。自分の人生は失敗続きだったので、香港人の「失敗しても諦めずまた頑張ろう」という信念の強さに憧れますし、自分もそうなれるよう今後も学ばせていただくつもりです。

――今後の夢は?

リンモク:自己紹介でいつも「僕は自称香港人です」と言っているのですが、香港に7年居住すると永久居民(永住権の保有者)になれるんです。僕の場合あと4年ほどなのですが、今よりもっとうまくなった広東語で「僕は香港人です。もう自称じゃないです」という動画をアップするのが夢です。

念願の訪問だったという新界地区・沙頭角の紹介動画。「英国統治時代に立ち入り禁止区域になり、現在も住民か、住民からの申請を得た人でないと入れないエリアで、僕のように香港好き人間にとってはロマンの街(笑)。ユーチューブのフォロワーさんの紹介で入れました」

念願の訪問だったという新界地区・沙頭角の紹介動画。「英国統治時代に立ち入り禁止区域になり、現在も住民か、住民からの申請を得た人でないと入れないエリアで、僕のように香港好き人間にとってはロマンの街(笑)。ユーチューブのフォロワーさんの紹介で入れました」

https://youtu.be/J-DtsN2uIy8

<リンモクさんからNNAカンパサール読者へメッセージ>

(NNAのユーチューブより)

(NNAのユーチューブより)

https://youtu.be/NMu4lpxyL0Q

※特集「インフルエンサーinアジア」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2022年4月号<https://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


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