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【特別寄稿】コンテナがない! 第2回:コンテナはどこにある?

海上コンテナの不足が騒がれていますが、では、コンテナはどこへ行ってしまったのでしょう。

結論から申しますと、コンテナは海の上、港湾、内陸にあります。しかし、新型コロナ・パンデミックによる需要と供給の不釣り合いにより、それぞれの場所で目詰まりを起こしてしまっているのです。

まず需要を見ると、少しずつ変化は見られるものの、依然多くの国が入国制限し、一定の在宅勤務が続いている現在も、いわゆる「巣ごもり需要」は続いていますし、同時に世界経済回復による需要増も生じています。貨物全体で見ると、需要増加率は、パンデミック等による需要減を上回っています。オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)の報告書によると、メルボルン港やシドニーのボタニー港を合計したコンテナ取扱量は、昨年度から11.6%増加し、史上最高となっています。

一方の供給を見ると、労働力不足等により、コンテナや船舶を供給できていない実態があります。例えば海上では、新型コロナによる港湾労働者の隔離等から陸揚げ作業待ちとなり、沖合で滞船する、いわゆる「沖待ち」が大量発生しています。今年、米国や中国の主要港で10日以上の沖待ちが発生しています。またShipping Guideによると、沖待ち等により、8月時点で世界の船腹全体の12.5%、20フィートコンテナ310万本分が喪失したのと同じ状況だった、としています。

逆に、オーストラリアのような第二次産業を輸入に頼る国では、輸入後に空のコンテナを海外に回送する必要がありますが、港湾の処理能力が落ちると、回送作業ができなくなります。世界では空コンテナが不足していますが、前述のACCCは、「オーストラリアの空コンテナ置き場は満杯である」と報告しています。

内陸でも、トラックドライバーや入出庫作業者の不足でコンテナが滞留します。そもそも、パンデミック前から物流労働者不足はオーストラリアを含む先進国の共通課題でした。ここにパンデミックによるサプライチェーンの混乱が生じ、さらなる労働力不足による処理能力低下のほか、一部企業が欠品を防ぐために安全在庫を増やそうとした結果、過剰在庫が生じ、入庫できない貨物を載せたコンテナが倉庫前で待機する事象も起きています。

■コンテナやコンテナ船を増やせるか

もちろん、各船会社はコンテナの調達や迅速な回送に取り組んでいます。日本のコンテナ船会社大手「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」は、10月29日に発表した「ONE Initiative」の中で、空コンテナの調達や回送強化について発表しましたし、他社も各種対策を発表しています。しかし、コンテナは1個あたり数十万円の製造費が掛かりますし、10年以上使われることも多い物品です。パンデミックのために大量に調達するには負担・リスクが大きく、増産で不足分を補うには至っていません。また、大型のコンテナ船は、発注後2~3年で竣工するのが一般的で、海運コンサルのドゥルーリー社によると、「来年の新造船竣工量は、船腹増加率で言えば今年とほぼ同水準にとどまる」ということです。

■なぜオーストラリア向け運賃は高いのか

前回お伝えしたとおり、例えば中国(上海)発オーストラリア(メルボルン)向けのスポット平均海上運賃の上昇率は、世界主要港向け平均より高い水準です。

これには複数の要因がありますが、取扱量等を理由に、船会社が中国→欧米といった主要東西航路に大型コンテナ船を集中的に投入しており、オセアニアのような比較的マイナーな南北航路に対し、思うように船腹を確保できていないのが大きな要因の一つです。海運調査会社アルファライナーによると、例えば対前年のアジア北米間の増加率が+30.6%であるのに対し、オセアニア向け船腹増加率は+6.3%で、約5分の1にとどまっています。この差が運賃上昇率の差の一因となっているのです。

以下にオーストラリアにおける主な船腹量(コンテナ船のキャパシティ)の変動要素のイメージを滝グラフにしてみました。

これまで、パンデミックによる影響を中心にお伝えしましたが、その他の影響もあります。次回は、オーストラリアの海運を語る上で欠かすことのできない、オーストラリア海運労組(MUA)を中心にお伝えします。

<筆者紹介>

湯地 定裕(Sadahiro Yuchi)

トール・グループ

ジャパン・デスク次長(オセアニア地域)

2018年、日本郵便国際物流戦略部からToll Groupに出向。オーストラリアとシンガポールにて、トールの最新自動倉庫や国際輸送関係の物流オペレーションを経験後、物流ソリューションの提案・マーケティングを担当。得意分野はAI×サプライチェーンで、オーストラリアのローカル経営者向けのセミナー等も実施している。


関連国・地域: オーストラリア日本
関連業種: 運輸マクロ・統計・その他経済

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