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【農業通信】キリン一番搾りを豪で生産 ライオン、主力ブランドに注力

飲料大手キリンホールディングス傘下でオーストラリアの醸造大手ライオンが、キリンの主力ビール「キリン一番搾り」を、近くタスマニア(TAS)州で生産し、オーストラリアとニュージーランドで販売することが分かった。現地生産化によりたるでの供給が可能となり、飲食業界への展開を加速するほか、消費者が購入しやすい6本パックでの小売りもスタートする。ライオンは、主力ブランドを当地で展開する準備を整えた。【オセアニア農業食品専門誌ウェルス編集部】

TAS州の工場から豪州とNZに出荷される

TAS州の工場から豪州とNZに出荷される

今後、一番搾りが消費者の目に触れる機会が増えることになる。ライオンは約2年ぶりとなるキリンブランドへのマーケティング投資も行い、10月以降には現地企業とのコラボレーションによる販促活動も実施予定という。

近年オーストラリアでは、ビールの消費は横ばい。連邦政府保健・福祉研究所の2019年の調査によると、オーストラリアの成人で毎週お酒を飲む人は全体の34.9%と、3年前の36.1%からわずかに減少した。だがその中で、数量、金額とも伸びているのが日本ブランドのビール。プレミアム市場を形成し、根強いファンが多いといわれている。

「一番搾り」はキリンの旗艦ブランドで、海外で本格展開している唯一のブランドでもある。だがオーストラリアではこれまで輸入での扱いで、ライオンがオーストラリア向けに展開する日本ブランドのビールは「キリン恵み」だった。

■「輸入コストも削減できる」

ライオンのマーケティング部の北村友依キリンブランドマネジャーは「輸入による一番搾りはたるや小売り用6本パックの扱いがないことから、展開範囲が限定されていた」と話す。また、輸入は船便で2カ月程度かかり、フレッシュな状態でビールを届けることができないことからも、ライオンの成長を一番搾りでけん引することは難しいとされた。

そのため一番搾りを、現地製造に切り替えることにした。

同マネジャーは「フレッシュなビールが届けられるようになり、かつ輸入コストの削減により、今後のオセアニア市場での成長基盤が整った」と期待を示す。

今後ライオンは「キリン恵み」に対するブランド投資、広告展開を停止し、一番搾りに集中する予定。今年後半に実施予定のプロモーションは「日本の作り手のこだわり」を軸に展開する計画という。

■共通の課題認識

オーストラリアでの現地生産プロジェクトは、1年以上前に始まったもの。製造できる工場はどこか、品質管理は万全か、設備は問題ないかを入念に確認し、オーストラリア産一番搾りの製造拠点として選定されたのは、TAS州ローンセストンのジェームズ・ボーグス(James Boag’s) 醸造所だ。

同醸造所で日本と同じビールを製造するに当たり、日本の本社が求めたのは試験醸造評価基準を3回満たすこと。当初現地には一番搾りの製法を理解している者は皆無だったことから、技術部の横沼徹キリンテクニカルマネジャーは、日本で生産した完成品を現地に送って飲んでもらい、「これが最終的に目指したい品質だ」と目的の共有を図ることから取り組んだ。

オーストラリアの酒販小売業界では、商品の入れ替えは8月に行われる。この月に販売開始としたいブランドマネジメント側の要求は強く、逆算すると4カ月間で3回の試験に合格することが製造側の使命となった。ビールの1回の生産・評価期間は、全工程を含むと約1.5カ月。通常のやり方では間に合わないため、タンクに入っている時点でのビールを細かく確認しタイトなスケジュールを縫って販売開始にこぎ着けたという。

■豪州産も品質評価対象に

同マネジャーは「一番搾りは世界展開する唯一のブランド。国や場所によって味が異なってはいけない」と強調。同社では味のばらつきを防ぐため、毎月1回、本社や研究所、工場代表者が参加するパネル試飲会を開催し味を評価する。今後オーストラリアで製造される一番搾りも評価を受けることになる。

オーストラリアで製造される一番搾りは、8月9日にビン製品を発売。9月6日にたる、10月11日に缶製品が発売される予定だ。


関連国・地域: オーストラリアニュージーランド日本
関連業種: 食品・飲料

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