タイの国鉄フアランポーン駅。行き止まり式のプラットホームにゆっくり入線する日本製の古びたブルートレイン、ドーム型の駅舎内で何時間も列車を待つ人々、屋台の揚げ物の匂いやねっとり肌にまとわりつく汗――。かつての日本の上野駅にも似た懐かしい雰囲気を持つ、バンコク在住中のお気に入りスポットだった。
20キロ以上離れたドンムアン空港までの運賃は5バーツ(約17円)と30年以上据え置かれ、朽ちた客車には旅愁が漂っていた。そうしたタイの鉄道も、今や様変わりしつつある。中国製の新型寝台車が走り、今年11月には新ターミナルのバンスー駅と都市鉄道の開業で、フアランポーン駅も閉鎖されるという。
駅閉鎖を前にタイを訪れたいが、新型コロナウイルスで今年も観光入国は難しそう。駅は博物館として残るが、人の往来や活気が失われるのは寂しい。(遠)
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