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コロナ終息は1~2年先=関西福祉大・勝田教授

医療崩壊を伴う感染爆発が中国・湖北省から欧米へと一気に広がった新型コロナウイルス。渡航医学やメンタルヘルスが専門の関西福祉大学・勝田吉彰教授は「感染の終息は1~2年先になる」と予測する。気温が高くなるとウイルスの感染力が弱まり、北半球では夏前にいったん感染者数は減るものの、秋以降再び増えるとみる。日本からアジアなど諸外国への往来が今年可能となるのは、「医学的見地からみれば、夏の一時期だけだろう」と指摘した。

ソウル市内のコールセンターで集団感染が発生。同じ建物の勤務者にウイルス検査を実施している様子。韓国では検査体制を強化し、感染拡大を抑え込んだ=3月(NNA撮影)

ソウル市内のコールセンターで集団感染が発生。同じ建物の勤務者にウイルス検査を実施している様子。韓国では検査体制を強化し、感染拡大を抑え込んだ=3月(NNA撮影)

――新型コロナの終息はいつになるでしょうか。

日本の7都府県に7日に出された緊急事態宣言や各国で行われている移動制限が北半球では夏前には解除されるでしょう。気温が28度を上回るとコロナウイルスの感染力が弱まるとされるためです。

しかし、「制限の解除=感染者数の増加ゼロ」を意味するものにはなりません。ワクチンや治療法が確立し、6割程度の人が集団免疫を獲得し、感染による重症化や死亡などのリスクがほぼなくなるのには1~2年はかかると医療界ではみています。

■自由な海外渡航、今年は夏だけの可能性も

――現在はどの国も入国禁止や入国時の隔離措置、国内移動の制限を行っていますが、いつまで続くのでしょうか。

日本人が各国へ渡航できるような状況になるのは、日本での感染がある程度収まってから各国が判断しますから、夏頃になります。しかし、秋には気温の低下で感染が再び世界的に拡大するとみられますから、日本とアジアなど各国との往来が制限が少なく移動できるのは今年は夏の一時だけとなるかもしれません。

ただ、これらは「医学的見地からみた場合」という現段階での判断です。

緊急事態宣言や入国制限を解除したり再導入したりというのは、政治的判断によるものも大きく、医療界からの意見は「数ある意見の中の一つ」の扱いです。われわれが「早く入国・外出制限を」と訴えても、経済優先ということもあります。

したがって、感染が収まらなくても、移動制限は少なくなる事態も考えられます。

――日本やアジアでは今後、欧米のような感染爆発が起きるのでしょうか。東南アジアのように温暖湿潤であれば大丈夫なのですか。

現段階での研究では、感染爆発が起きるのは気温が28度以下で、北緯30~50度の地域。したがって現在の日本は、感染爆発が起きてもおかしくない状況です。世界保健機関(WHO)が現在、アジアで最も警戒している国の一つが、毎日感染者が500人ずつ増えている日本です。

ただ、日本でも暖かくなっていきますので、(感染者が数十万人単位となった)欧米のような感染爆発が起きるかどうかは分かりません。また、日ごろからマスク着用や手洗いを励行する衛生観念、欧米のように密接に人と接しない生活習慣の違いがあります。欧米では暖房をしている密閉空間での感染リスク、糖尿病や高血圧症など基礎疾患を持つ人や肥満が多いため重症化リスクは高かったといえるでしょう。

一方、「幼少期にBCGワクチン接種をしているアジア地域では感染拡大が抑制されている」という仮説を立証するためのデータ収集が進められています。

アジアでは、政府機関や人の話をよく聞くという従順な文化も、拡大を抑制する効果があるかもしれません。こうした背景をベースに、外出制限によって感染拡大を最小限に食い止めることは可能です。

■アジアでも日本同等の基準で

――アジアで工場や店舗、事業所を展開する日本企業がなすべきことは。

日本と同じスタンダードで対応してほしいです。手製でも良いので、工場や事業所ではマスクを着用し、従業員の手洗いを徹底させ、ドアノブやトイレの消毒も入念に行う。可能な限り在宅勤務を行い、感染させない環境づくりが大事。

注意してほしいのは、休憩室や更衣室。また、アジアで工場を持つ企業にとって、感染しやすい最も危険な場所は従業員寮です。

――世界の空路が閉ざされ、駐在員も感染や隔離のリスクを覚悟して渡航したり、任地に留まったりしており、ストレスも懸念されます。

日本本社は、(パソコンを通した会話など)時にはリラックスしながらコミュニケーションを密に取り、駐在員の不安要素や不満を取り除いてほしい。

また、日本人駐在員はストレスからアルコール依存に走りやすいので、日本本社でも注意して観察する必要があります。(聞き手=遠藤堂太)

<プロフィル>

関西福祉大学・勝田吉彰(かつだ・よしあき)教授

臨床医を経て外務省医務官としてスーダン、フランス、セネガル、中国に合計12年間在勤。重症急性呼吸器症候群(SARS)渦中の中国でリスクコミュニケーションを経験した。

ブログ「新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~」<https://blog.goo.ne.jp/tabibito12>に新型コロナに関しての記事を掲載。


関連国・地域: 中国香港台湾韓国タイベトナムミャンマーマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンオーストラリアインド日本
関連業種: 医療・医薬品金融社会・事件

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