【18年の10大ニュース】レームダック政権の誕生
今年のオーストラリアは、近年特有の与党内の下克上で、政治が再び混乱を極めた年だった。また中国やイスラエル、インドネシアなど外国との問題に悩まされた年でもあった。内にも外にも問題を抱えて新たに就任したモリソン首相は、庶民派だがカリスマ性や戦術性に欠け、来年の総選挙を乗り切るようには見えない。野党労働党に政権を明け渡すまでのレームダック政権の様相を呈している。
経済に目を転じると、政策金利は依然として史上最低水準で、家計消費も不安定であるものの、政府支出や企業投資が堅調で、成長率は来年はプラス3.5%を維持できる見込みだ。ただし、60年ぶりと言われた東部の大干ばつは、今後の農業投資を不安視させるには十分で、環境意識の高まりから、今年は石炭事業がより厳しい目を向けられたのも特徴だった。インド系アダニの炭鉱プロジェクトは来年も波乱が予想される。
一方、ニュージーランドの経済は、最近の企業景況感が低調になるなど停滞気味だったものの、安価な住宅の投資促進策や、移民流入の厳格化、最低賃金の引き上げなどにより、徐々に回復傾向にある。環太平洋連携協定(TPP)が実施されればさらに景気を押し上げるとみられており、来年の成長率はプラス2.8%程度と安定に向かうとみられている。