タスマニア(TAS)州の林業が、ウッドチップの主要輸出先である日本市場の需要縮小で直撃を受けている。不振の背景には、日本市場の景気悪化のほか、原生林の伐採を敬遠する流れもあるようだ。
TAS州のルウェリン資源・エネルギー相は11日、アジア市場に80万トンのウッドチップを新たに輸出するとの交渉で原則合意したと発表した。同相は、「仕事を失った林業の契約労働者が、数週間以内に再び働けるようになることを期待する」と述べ、近く正式な輸出契約が締結される見通しを明らかにした。
輸出先は公表していないが、同相は先ほど訪日してトップセールスを行っており、交渉相手は日本企業と見られる。同州産ウッドチップの対日輸出縮小の理由として、同相は日本の景気悪化のほか「林業に反対する勢力による誤った情報」を挙げ、環境保護団体の動きに釘を刺した。
また、同州林業の不振の背景について在豪日本企業の関係者は、日本の不景気のほかに、部分的には持続可能な植林による木材・木材製品へ需要が移行していることも影響しているとの見方を容認した。4日付シドニー・モーニング・ヘラルドは、「日本の製紙企業が原生林由来のウッドチップを拒否する傾向が強まっているため、ウッドチップがTAS州の港に山積みになっている」と報じていた。
豪農業資源経済局(ABARE)によると、日本は豪産ウッドチップ輸出量の約83%(08/09年度通年)を占める巨大市場。しかし、2008年9月四半期に153万9,300トンあった対日輸出量は、景気悪化に伴い、09年6月四半期には83万9,800トンと半分近くまで急減した。【2月19日付NNA豪州農業ニュースより】
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