バイオベンチャーのユーグレナ(東京都港区)は10日、イスラム教徒少数民族でミャンマーからバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民への食料支援拡大で国連世界食糧計画(WFP)と事業連携契約を結んだ。向こう2年間でWFPから117万米ドル(約1億5,000万円)の無償資金提供を受け、現地で緑豆栽培などを支援する。
同社は、バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏が率いるグラミングループとの合弁会社「グラミンユーグレナ」と組んで、現地で緑豆栽培を支援。バングラデシュの農家の所得拡大やロヒンギャへの食料供給、難民キャンプ周辺の住民を対象にした雇用創出を目指す。
WFPから提供を受ける資金には、日本の外務省がバングラデシュ支援のために拠出する計5億1,900万円の無償資金協力の一部が充てられる。両社がWFPから資金を得て同国で緑豆栽培を支援するのは2回目。1回目は2021年1月までの2年間にわたり、200万米ドルの無償資金提供などを受けた。
支援活動では、グラミンユーグレナはユーグレナに緑豆を、ユーグレナはバングラデシュに農業技術を相互に提供する。日本で緑豆は、もやしの原料として知られる。
今回の支援では、対象とする農家を前回の3倍に相当する6,000人に拡大する。緑豆の年産量は向こう2年で20年実績の3~4倍に相当する1,500~2,000トンを目指す。緑豆栽培を通じ、難民キャンプ周辺に住む住民の雇用創出も実現したい考え。ミャンマー国境に近いバングラデシュのコックスバザールなどには100万人近くのロヒンギャ難民が流入し、家計が苦しくなった住民がいる。
WFPは現地で、ロヒンギャ難民にカードを配布し、毎月一定金額を入金し、提携する地域小売店から食材を購入できるようにする支援活動を展開している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の3月の報告によると、ロヒンギャ難民は約91万8,000人で、難民キャンプ周辺の地域住民は約54万人。合わせて140万人以上を支援するため、8億8,100万米ドル超の資金が必要とされる。
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