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中銀がサプライズ利上げ 年2.0%に、足元の景気回復で

マレーシア中央銀行は11日に金融政策会合を開き、政策金利(レポ金利)を0.25%引き上げ、年2.0%とすることを決めた。利上げは2018年1月以来、4年4カ月ぶりで、大方の市場関係者の予想を覆す形となった。ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの流行、世界的なサプライチェーン(調達・供給網)の混乱、資源価格の上昇といった懸念材料はあるものの、国内景気は回復基調にあり、最悪期は脱したと判断した。

マレーシアの政策金利はコロナ禍による景気低迷を受け、2020年7月から過去最低の1.75%となっていた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が先に0.5%の大幅利上げを決定するなど、景気回復や物価上昇を受け、世界的に金融緩和からの出口戦略を模索する動きが強まっている。ただ、ロイター通信などが事前に実施したエコノミスト調査では、マレーシア中銀は今回は金利を据え置き、7月以降に金融引き締めにかかるとの見方が強かった。三井住友銀行アジア・大洋州トレジャリー部(シンガポール)のエコノミスト、阿部良太氏もNNAの取材に対し、「(利上げは)予想外だった」と語った。

中銀は声明で、「世界経済が回復軌道に乗る中で、米国などでは消費が活発化し、インフレ圧力が高まっている」と指摘。各国の中銀は金融政策の調整を余儀なくされるとして、そうした動きに歩調を合わせる考えを示した。

これについて、阿部氏は「マレーシアでもインフレ圧力は高まっているものの、米国など諸外国ほど深刻ではない」とコメント。そうした中で中銀が予想外の利上げに踏み切ったのは「対米ドルのリンギ安が想定以上に進行していることが背景にあるほか、リスク回避のための資本流出に対するけん制ではないか」と推測している。

■年内に追加利上げか

中銀は国内経済について、輸出の拡大に伴い内需も回復していると指摘。特に、4月初めの入国制限撤廃が経済活動を後押しし、民間投資も良好な経済見通しを背景に活発化しているとした。一方で、世界経済の減速や地政学的リスクの拡大などを下振れリスクとして挙げている。

イスラム金融機関バンク・イスラム・マレーシアの主席エコノミスト、モハド・アフザニザム・アブドゥル・ラシド氏は「中銀は足元の景気回復に満足しているようだ」とみる。このまま低金利環境を維持すれば景気が過熱し、家計債務や企業の借り入れ増加といった問題が生じることを懸念し、中銀が近いうちに0.25%の追加利上げに踏み切る可能性もあるとした。

マレーシア華人商工会議所(ACCCIM)傘下の社会経済研究センター(SERC)でエグゼクティブディレクターを務めるリー・ヘンギー氏は「ウクライナ情勢の緊迫は続いているものの、世界経済が回復基調にあることは間違いなく、中銀は金融政策を正常化する時期にあることを認識している」とコメント。インフレ圧力を抑制するため、利上げは正しい方向性だとし、年央にも再び引き上げられる可能性を指摘した。

三井住友銀の阿部氏は、マレーシアの政策金利の先行きについて、「(中銀は)年後半にまず2.25%まで引き上げた上で、23年にさらに0.25%ずつ3回の利上げを行い、最終的に年3%とするのではないか」と見通している。


関連国・地域: マレーシア
関連業種: 金融マクロ・統計・その他経済

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