丸紅が、豪資源ハンコック・プロスペクティングと韓国製鉄大手ポスコが進める西オーストラリア(WA)州ピルバラ地区のロイ・ヒル鉄鉱石事業の権益を取得する意向でハンコックと交渉を進めているもようだ。権益の取得規模は12.5%程度とみられ、丸紅も事業参画する計画だ。ハンコックはまた、韓国STXとの間でも、同事業の権益2.5%の売却交渉を進めているとされ、丸紅とSTXへの権益計15%の売却総額は約20億豪ドル(約1,765億円)に上るとみられる。17日付オーストラリアンが報じた。
ロイ・ヒル鉄鉱石事業をめぐっては、ポスコが権益比率を現在の3.75%から15%に引き上げる計画。ハンコックによる丸紅とSTXへの権益売却とポスコとの権益比率の引き上げが実現した場合、同事業の権益比率はハンコック70%、ポスコ15%、丸紅12.5%、STX2.5%に移行する。
関係筋が16日語ったところによると、権益売却は、ハンコックが抱える数十億豪ドルに上る債務返済に向けた資金調達が狙い。権益売却交渉は16日時点で合意に達していないという。
ハンコックは、資源業界の有力実業家ジーナ・ラインハート氏(58歳)が社長を務めている。同氏は現在、自身の子3人の間で、家族信託(ファミリー・トラスト)「ホープ・マーガレット・ハンコック・トラスト」の資産をめぐり、訴訟問題となっている。これについて関係筋は、丸紅とSTXとの権益売却交渉には影響をもたらさないとみている。ポスコも先に、ラインハート家をめぐる問題が、ロイ・ヒル鉄鉱石事業の権益引き上げ計画に直接影響することはないとの見解を示している。
■14年Q4生産開始へ
ハンコックによるロイ・ヒル鉄鉱石事業の総額は約135億豪ドルに上る。2014年第4四半期に鉄鉱石の生産開始を予定しており、生産量は年間5,500万トンを見込む。同事業では鉄鉱山開発のほか、全長約340キロの輸送鉄道とポート・ヘッドランドでの出荷施設の建設も進める。
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