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蔡総統、台鉄局の改革を表明 組織・財務に課題、実行が焦点に

台湾の蔡英文総統は7日発表した談話で、台湾東部花蓮県で発生した台湾鉄路(台鉄)の特急列車脱線事故を巡り、運行主体の台湾交通部(交通省)台湾鉄路管理局(台鉄局)の改革を断行する考えを表明した。中でも政府依存が指摘される組織体質と多額の負債を抱える財務の改善を徹底する方針だ。台鉄を巡っては20年以上にわたって「会社化」を含めた改革が叫ばれてきたが、労働組合の反発などを受けて実現しておらず、実行できるかどうかが焦点となる。

蔡英文総統は台鉄局の改革を断行する考えを強調した=7日(中央通信社)

蔡英文総統は台鉄局の改革を断行する考えを強調した=7日(中央通信社)

蔡氏は脱線事故が発生した2日以降、経営方式を含め台鉄の改革についてさまざまな意見が台湾社会で噴出していると述べ、「改革は台鉄だけでなく、政府の責任でもある」と説明した。

その上で「現在最も重要なのは、台鉄局の組織文化に関する問題の解決に徹底的に取り組むことだ」と強調。部門ごとの連携を強化し、組織内の意思疎通の仕組みを改善することで運営効率の向上を図るとした。

財務問題については、台鉄局が住民の足を確保するために多数の赤字路線を抱えていることに理解を示しつつも、巨額の財務負担が従業員の士気に影響するだけでなく、台鉄の運営効率や安全に関する問題も引き起こしていると指摘した。

最後に蔡氏は「組織や財務に関する問題を解決してはじめて、台鉄に最も適した永続的な経営モデルについて柔軟に議論することができる」と説明した。

■労組の反発で頓挫

台鉄局のウェブサイトによると、同局は1948年に発足し、99年に交通部の傘下に入った。2020年3月末時点の職員数は1万5,600人余りに上る。

8日付聯合報などによると、台鉄局の負債額は約4,000億台湾元(約1兆5,400億円)余りに上るとされる。これまで民主進歩党(民進党)と国民党のいずれの政権でも歴代の交通部長(交通相)が台鉄局の運営効率化などを狙いに会社化を提唱してきたが、最終的には労働組合の反発に遭い頓挫してきた。台鉄局職員の給与や各種手当は民間企業より条件が良いことが背景にあるとみられる。また、会社化に伴う運賃の引き上げに社会の理解が十分に得られなかったこともあるという。

ただ、脱線事故後、台鉄局の改革を巡ってこれまで抵抗してきた労働組合の姿勢には変化が表れているとされる。死者50人、負傷者210人以上という甚大な人的被害を出したことで、台湾社会で改革を求める声が強まっているためだ。

8日付自由時報によると、台鉄局は、労働組合が債務の処理や持続的運営の確保などを条件に会社化には完全に反対しない姿勢を示していると説明した。会社化に向けた議論を進める重要な機会であるとも指摘されている。

■蔡氏、会社化に言及せず

ただ、7日の談話で、蔡氏は会社化について言及を避けた。これについて、台湾行政院(内閣)の発言人(報道官)は7日夜「台鉄の組織改革に関する計画は問題が広範囲に及び、共通の認識が醸成されるまで待つ必要がある。まずは改革に向けた戦略を練らなければならない」とコメントし、慎重な姿勢を示した。

国民党の鄭麗文立法委員(国会議員)は、18人が死亡した18年10月の特急列車「普悠瑪号(プユマ号)」の脱線事故後、蔡氏が台鉄局の改革に取り組むことを明言していたことをやり玉に挙げ、改革の実現に疑問を示した。


関連国・地域: 台湾
関連業種: 運輸社会・事件

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