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【アジア・ユニークビジネス列伝】「ロバミルクが美容製品に」 「電動キックスケーターをシェア」

それを売るのか、そんなサービスがあってもいいのか。アジアは日本では思いもよらない商品やサービスに出会う。斬新で、ニッチで、予想外。「その手があったか!」と思わずうなってしまう、現地ならではのユニークなビジネスを紹介する。

【インド】ロバミルクでスキンケア、政府も研究所設立で支援

広大な牧場で育てたロバから取れたミルクを元に、スキンケア製品を生産するベビー氏(同氏提供)

広大な牧場で育てたロバから取れたミルクを元に、スキンケア製品を生産するベビー氏(同氏提供)

インドの美容市場で、ロバのミルクを使ったスキンケア製品を手掛けるスタートアップが現れ始めた。ロバミルクはタンパク質など栄養素が豊富で、美容効果が高いとして富裕層を中心にニッチな需要が生まれている。

「Dolphin IBA(ドルフィンIBA)」のブランドで、保湿クリームやシャワージェルなどを手掛けているのは、IT業界出身のアビー・ベビー氏。2017年にロバミルク事業を開始し、南部ケララ州のラママンガラムに2エーカー(約8,094平方メートル)のロバ牧場を所有する。現在、25頭を飼育しているが、「1頭から1日にとれるミルクの量は100ミリリットルとごく少量」とベビー氏。一度フリーズドライにした後に、他の天然由来成分と混ぜてスキンケア製品を生産している。

パックやフェイスクリームが揃うドルフィンIBAのスキンケア商品。価格帯は2,400~7,028ルピー(約3,420~1万円)(ドルフィンIBA)

パックやフェイスクリームが揃うドルフィンIBAのスキンケア商品。価格帯は2,400~7,028ルピー(約3,420~1万円)(ドルフィンIBA)

販路は自社ウェブサイトと米アマゾンを通じたインターネット販売がメインで、ケララ州コチには実店舗を持つ。ターゲットは国内の富裕層。海外ではアラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国に輸出している。

ロバミルクを使ったスキンケア製品はフランスなどでは少なくないが、インドではまだまだ珍しい。ベビー氏は「ユニークさが消費者を引きつけている。保存料不使用のロバミルクコスメは、日本でも受け入れられるだろう」と自信を見せる。

ロバミルクを使ったせっけんを販売するのは、女性起業家のプージャ・カウル氏。「Organiko(オーガニコ)」のブランド名でロバミルクを使ったせっけん(100グラム499ルピー、約720円)を生産している。ミルクは、伝統的な手法で飼育と搾乳を行うロバ所有者から1リットル2,000ルピーで仕入れる。販売を始めたのは18年で、カウル氏いわく「オーガニコはインド初のロバミルクせっけん」だ。

起業家のカウル氏(左)とオーガニコのロバミルクせっけん(オーガニコ提供)

起業家のカウル氏(左)とオーガニコのロバミルクせっけん(オーガニコ提供)

インド農業研究評議会(ICAR)のブペンドラ・ナス・トリパシー副会長(畜産学担当)によると、ロバミルクは国内で1リットル当たり2,000~7,000ルピーの高値で取引されている。栄養価が高く、薬効や美容効果も高いと注目されているが、国内ではロバの個体数の減少が顕著だ。昨年10月に発表された調査(速報値)によると、19年の個体数は12万頭で、12年から61%減少した。

そんな状況を受け政府は、ロバミルクの宣伝と活用促進に動き始めた。北部ハリヤナ州ヒサールにある政府機関の国立馬類研究センター(NRCE)で、ロバミルクの特性を研究するためのプロジェクトを今年7月に始動。センター内にロバ牧場を設置し、「ヒサーリ種」と呼ばれる特別な品種のロバを10頭飼育し、ロバミルクの栄養や効能、活用法の調査を進めるという。(NNAインド アトゥル・ランジャン)

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【インドネシア】電動キックスケーターをシェア、次世代モビリティに期待

整然と電動キックスケーターが並ぶ「グラブホイールズ」の駐輪場の様子=インドネシア・ジャカルタ(NNA撮影)

整然と電動キックスケーターが並ぶ「グラブホイールズ」の駐輪場の様子=インドネシア・ジャカルタ(NNA撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えないインドネシアの首都ジャカルタ。感染リスクが低く、小回りの利く交通手段として電動キックスケーターのシェアリングサービス「グラブホイールズ」が人気を集めそうだ。

手掛けたのはシンガポール系配車サービス大手のグラブ・インドネシア。2019年5月にジャカルタ郊外の新興開発地域でサービスを開始し、徐々にサービスエリアを広げていたが、同年11月に利用者が乗用車にはねられる事故が発生。それを受けた規制強化によりサービスを停止していたが、20年8月13日に再開した。

ジャカルタで行われたサービス再開式典にはブディ・カルヤ運輸相も出席。電動機を利用した乗り物に関する運輸相令『2020年第45号』を6月に施行したことで、電動キックスケーターの公道利用が正式に可能になったと説明。特に大通りなどを通行する際は、交通ルールに十分配慮した利用をしてほしいと求めた。

ブディ氏はその一方で「新型コロナウイルスが流行する中、電動キックスケーターは安心して利用できる交通手段になり得る」と期待を寄せた。

料金は20分ごとに1万ルピア(約72円)。利用は18歳以上からで、ヘルメット着用が義務。現在、ジャカルタを中心にサービスを展開中だ。

グラブは利用者に速度規制の順守やヘルメットの着用などを求めている=インドネシア・ジャカルタ(NNA撮影)

グラブは利用者に速度規制の順守やヘルメットの着用などを求めている=インドネシア・ジャカルタ(NNA撮影)

※特集「アジア・ユニークビジネス列伝」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2020年10月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: インドネシアインド日本
関連業種: 食品・飲料小売り・卸売りマクロ・統計・その他経済

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