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【19年の10大ニュース】「逃亡犯条例」改正で混迷

2019年の香港は、中国本土への容疑者移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案をきっかけに混迷を極めた。香港政府が提起した同条例改正案は「中国化」に対する市民の不安に火を付け、6月には「103万人」と「200万人近く」(いずれも主催者発表)の大規模デモが2週連続で発生。半世紀ぶりの「緊急状況規則条例」の発動、区議会(地方議会)選挙での民主派の圧勝など、香港史に残る出来事が次々と起こった。
一連の抗議活動の過程で政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官への市民の信任は地に落ちた。政治と社会の不安定化は経済に影を落とし、19年の経済成長率は10年ぶりのマイナスに落ち込む公算が大きい。観光、小売業は本土客の激減で苦境に陥り、国際金融センターとしての香港の地位への懸念はくすぶっている。
「五大要求」を訴えるデモ隊と、同条例改正案の撤回以外の要求に応じない政府は互いに譲らず膠着(こうちゃく)状態が続く。抗議デモはどんな結末を迎え、香港はいつ混迷を脱するのか。世界がその行方に注目している。