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【アジア取材ノート】低空飛行の日韓路線、航空・観光産業に打撃

草の根交流で関係改善努力も

元徴用工訴訟や一連の輸出規制強化措置などによる日韓関係の悪化が、両国の航空業界や観光産業に影を落としている。韓国では日本製品を買わない、日本に行かない「ボイコット・ジャパン」運動により、日本と韓国を結ぶ航空路線の8月の利用者数は前年同月に比べて2~3割減少した。8月に日本を訪れた韓国人は前年から半減した。改善の兆しが見えない日韓関係に、日本の観光産業などから懸念の声が高まっている。(取材・写真=NNA韓国 清水岳志)

離陸に向けて準備中のアシアナ航空機=韓国・仁川国際空港(NNA撮影)

離陸に向けて準備中のアシアナ航空機=韓国・仁川国際空港(NNA撮影)

韓国の航空情報ポータルによると、韓国と日本を結ぶ航空路線の8月の利用者数は計133万114人と、前年同月に比べて23.1%減った。日本政府による輸出管理の強化への抗議として始まったボイコット・ジャパン運動の拡大が、利用者の急減につながったとみられる。

「アジアのハブ空港」と呼ばれる仁川空港の日本路線の利用者は88万4,318人で、前年同期比20.4%減となった。仁川空港は、日韓両国の10社が日本路線を運航している。いずれも利用者数が前年割れとなったことが響いた。

航空情報ポータルの航空会社別輸送実績(速報値)を見ると、8月1日~9月15日における国際線利用者数は6社が前年同期を下回った。ジンエアーとエア釜山が2桁減となるなど、日本路線への依存度が高い格安航空(LCC)ほど低迷が目立つ。

問題は利用者減が当面続く公算が大きい点にある。8月上旬までに全ての航空会社が日本路線の減便(機材の小型化含む)または運休を発表しているが、大韓航空はさらに、9月16日から釜山―大阪線の運行を中断。11月1日には済州―東京・成田線も運休する。エアソウルも9月16日から仁川―富山線を運休しているほか、10月27日には仁川―熊本線、山口・宇部線の2路線の運航も取りやめる。ボイコット・ジャパンが長期化すれば、運休路線が増える可能性は高い。

■路線多角化で対応

航空各社は国内線や中国、東南アジアなどの路線を拡大し、日本路線の利用者減による影響を最小限に抑えたい考えだ。

日本路線が全体の6割以上を占めていたエアソウルは、10月27日に同社初の国内路線となる金浦―済州線に就航する。12月にはハノイやニャチャンなどベトナム路線の運航も開始する計画。中国政府がこのほど新規就航の許可を出したことを受け、10月中には中国路線も予定している。同社の関係者はNNAに対して、「日本路線の機材を振り分け、海外路線の多角化を図っていく計画」と話した。

アシアナ航空は韓国人に人気のベトナム・ダナン線を9月1日から増便したほか、15日には同国のフーコック線を新規就航した。24日と25日には台湾の高雄線と台中線の運航を開始。ボイコット・ジャパンによる旅客減に直面した航空業界では、日本への依存度が高いポートフォリオを見直す動きが加速しそうだ。

■関係改善へ「地道な努力」重要

日本政府観光局(JNTO)によると、8月の訪日韓国人数(推計値)が前年同月から48.0%急減した。8月ベースでは14年以来の低水準で、この傾向はしばらく続くとみられる。訪日韓国人数は昨年、過去最多となる753万8,952人に達したが、今年は通年でも600万人に届かない恐れも出てきた。

「韓国からの訪日客が見込めず、観光業界は非常に厳しい状態だ」。9月1日にソウル市内で開かれた「日韓交流おまつり2019」で会った、日本のある地方自治体の関係者は難しい顔で心情を吐露した。

同イベントの日本側の実行委員会委員長を務める佐々木幹夫・日韓経済協会会長は開会のあいさつで、「日韓両国の政治関係が出口の見えない状況にあり、一部の交流中止など影響が出ているのは残念。『日韓交流おまつり』をはじめとするほかの民間交流はしっかりと続けていきたい」と述べ、草の根交流の重要性を訴えた。

地方自治体の関係者も「地道だが、韓国の人に日本の美しい観光地や特産物などを知ってもらうような取り組みを続けることが大事」と口をそろえた。

「日韓交流おまつり2019」の様子。関係者は「草の根の交流」の重要性を強調した=9月1日、韓国・ソウル(NNA撮影)

「日韓交流おまつり2019」の様子。関係者は「草の根の交流」の重要性を強調した=9月1日、韓国・ソウル(NNA撮影)

※特集「アジア取材ノート」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年10月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 韓国日本
関連業種: 運輸観光

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