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ヤンゴンの緑地、1人0.4平方メートル

持続性ある都市計画の推進を提唱するミャンマーの非政府組織(NGO)「アナザー・デベロップメント(AD)」はこのほど、同国の最大都市ヤンゴンの緑地面積が約211ヘクタールだとする調査結果を発表した。市民1人当たりでは0.41平方メートルとなり、世界保健機関(WHO)が推奨する基準である9平方メートルの20分の1しかないという。

■世界基準のわずか20分の1

調査では、緑地を「一般人が利用できる公園」と定義し、畑地などは含めていない。ADによると、1990年~2014年の間、ヤンゴンの人口は290万人から520万人へと1.8倍となり、1人当たりの緑地は約40%減少した。

ヤンゴンには63カ所の公園があるが、その半分は中央商業地区(CBD)など都市中心部に集中。市の全33郡区(township)のうち、郊外の9郡区では公園がゼロ、7郡区も公園が1つしかない不均衡な状態となっている。

18年9~10月の調査では、公園を訪れる人は1カ月当たり100万人で、その過半数が13~25歳の青少年だった。

ADによると、緑地のあり方は、市民の健康から気候変動の防止、都市文化の創出、周辺の住宅価格の上昇まで、幅広い影響をもたらす。

公園の管理はヤンゴン市開発委員会(YCDC)の所管で、その傘下の遊技場・公園・庭園局が具体的な施策を担っている。同局は「1区(ward)に1児童遊園」「1郡区に1公園」を目標に掲げるが、公園は増えていない。それどころか、人口増と都市化の圧力を受け、公園内での商業施設の開発が認められるなど、緑地は侵食されつつある。

■NGOらが保全拡大を提言

一方で、緑地の保全、拡大を推進する動きもある。ADはその例として、歴史的建造物の保存を目指すNGO「ヤンゴン・ヘリテージ・トラスト」と日本の国際協力機構(JICA)の取り組みを挙げている。

同トラストは16年に「ヤンゴン・ヘリテージ戦略」を提唱した。同戦略は、ヤンゴンを住みよい都市とするために、公園の整備は重要課題のひとつだと主張。▽公園の塀の撤去などアクセス改善▽歩道やサイクリングコースなど既存設備の改善▽水辺の公園など新たな緑地の創設――を掲げている。

ADはYCDCに対し、同戦略を受け入れるとともに、都市計画の推進にあたって広く市民の声に耳を傾けるべきだと主張している。

また、ADは手軽にできる公園の魅力度アップ策として、木陰を作る樹木の植樹、スポーツ施設の充実、ゴミ箱や電灯、ベンチの増設、トイレの無料化、教育・文化イベントやタレントショーの開催などを提唱している。

<解説>

ヤンゴンの開発に関するJICAの提言

JICAは12~13年、YCDCによるヤンゴンの都市開発を支援するため、開発計画の作成準備調査(SUDP)を実施し、報告書をまとめた。しかしその後、経済発展が急速に進み、16年に発足した国民民主連盟(NLD)政権は計画の見直しに着手。これを受けてJICAは補足調査を行い、SUDPを更新した。

報告書はヤンゴンの人口が40年には1,079万人に増えると予測。インフラ整備から環境・社会サービスの課題、都心部の再開発まで、40年を目標とした長期の包括的な開発ビジョンを提言した。

その中で公園緑地については、人口を勘案すると、40年には現在の9倍近い1,755ヘクタールの公園が必要になると予測。

公園の整備にあたっては▽湖や川など水辺での憩いの場の創出▽高木による緑陰の創出▽散歩やジョギングができる園路の整備▽遊具の充実した子どもの遊び場の創出――などを重視するよう求めた。

また、都市開発にあたっては、開発物件の敷地の一定割合を緑地として整備する「緑化率」を導入し、行政指導に活用することを提言した。


関連国・地域: ミャンマー
関連業種: メディア・娯楽マクロ・統計・その他経済社会・事件

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