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【アジアインタビュー】アジアの贈答文化に商機

設立50周年のヨックモック

今年で設立50周年の節目を迎えたヨックモック(東京都千代田区)。日本の贈答用洋菓子の代表的存在として、確固たるブランドを築いている同社が本格的な海外展開を模索中だ。旧正月や中秋節などにお菓子を贈り合う習慣のあるアジア圏に商機があるとみている。アジア市場への進出加速に向けた戦略などを藤縄武士社長に聞いた。(文・写真=NNA東京編集部 須賀毅)

「アジアでの成功の鍵はローカライズ(現地化)」と話す藤縄社長(NNA撮影)

「アジアでの成功の鍵はローカライズ(現地化)」と話す藤縄社長(NNA撮影)

――2019年10月~29年9月を対象とした次期中期計画で、売り上げ全体に占める海外の比率を現行の5%から10%に引き上げる目標を掲げていますが、海外展開を加速させている背景をお聞かせください。

日本人の海外駐在員が増える中、一時帰国のお土産として、それぞれの赴任地にヨックモックを持ち帰られる客様も多く、日本を訪れたことのない外国人の方にも好評を得ております。そうした外国人のお客様がわざわざ日本を訪れなくても、現地でお求めいただける機会をご提供するというのが、現在の海外展開の位置付けです。

現段階では弊社の主戦場はあくまで日本国内と考えていますが、将来的には海外での売り上げ比率を高めていく必要があります。現在のところは海外での市場開拓というより、将来に向けてそれぞれの市場のニーズを調べている段階です。とはいえ、実戦を伴わないと得られるものも少ないですから、各市場への出店を進めています。現在の海外出店数は計70店舗で、このうち、米国が最多の51店舗、アジアではシンガポール、タイ、台湾、香港、マカオ、インドに進出しています。

――ヨックモックにとってアジアはどのような市場とみていますか。

日本国内の場合、弊社の商品は中元や歳暮の贈答品としてご利用いただくことが多いですが、香港や台湾などの中華圏では旧正月や中秋節にモノを贈り合う文化があります。そこで私たちの強みが生かせるのではないかと考えています。

ただし、日本で販売している商品を現地にそのままに持っていっても、同じようにご利用いただけるとは考えていません。現地パートナーと協力しながら、それぞれのニーズを探っています。日本以上にライフスタイルや価値観に合わせた商品展開が必要と考えており、現地化を深掘りしていくつもりです。

■ベジタリアン市場への挑戦

――既に出店済みのアジア諸国の中で、中華系の人が少ないインドは異色な気がするのですが、同国への出店の経緯を教えていただけますか。

以前に中東に出店していた折に、現在のインドのパートナーがヨックモックを知ったのがそもそものきっかけです。

インドにはヒンズー教の灯明祭(ディワリ)という祝祭があり、やはり贈答品を贈り合う習慣があります。また、盛大な結婚式が催されるため、引き出物としてのニーズも期待できます。

――インドには宗教上の理由などで卵を食べないベジタリアン(菜食主義者)も多いですが、洋菓子の市場としては難しくありませんか。

結婚式の引き出物としては、招待客に一人でもベジタリアンがいれば、卵を使った洋菓子は選ばれにくいということは確かにあります。現在、ベジタリアン向けに卵不使用の洋菓子の開発を進めています。もちろん卵を使った商品と食べ比べると味は異なりますが、われわれならではのおいしさを追求した商品を予定しています。

■海外でも変わらない原材料へのこだわり

――インド以外の国・地域での限定商品はありますか。

台湾の限定商品として紅茶・コーヒー風味のクッキーを発売しました。台湾は訪日客が多く、日本のお土産として、弊社の商品を購入されるお客様も多くいます。台湾で日本と同じ商品を販売しても目新しさに欠けることから、商品を差別化する必要がありました。

「厳選された上質な原材料でまごころを込めた美味しいお菓子を提供する」というのは国内外を問わず、一貫した基本方針です。このため、海外で販売する商品も基本的には日本国内で生産したものを輸出しています。日本からの輸出に適さない生菓子などは現地で生産していますが、原材料の生クリームや抹茶など、こだわって日本産のもので製造している商品もあります。

将来的に海外での販売が増えれば、消費地で生産することが効率的だとは思いますが、今のところは考えていません。

海外で期間限定販売されている50周年記念パッケージ商品(ヨックモック提供)

海外で期間限定販売されている50周年記念パッケージ商品(ヨックモック提供)

――今年が設立50周年の節目ですが、記念行事などを計画されているのでしょうか。

これまで支えていただいたお客様への感謝をお伝えすべく、50周年に関する新たな取り組み、さまざまな企画を予定しています。

海外では葉巻型のクッキー「シガール」の50周年記念パッケージ商品を5月1日から販売しています(なくなり次第終了)。20本入りの50周年記念缶と3本入り紙箱を用意しました。50周年のロゴマークのほか、タイのトゥクトゥク、台湾のランタン、香港・マカオのジャンク船、インドのシタールといった具合に、出店国・地域を代表するデザインをあしらっています。

日本国内では、子どもたちが白無垢パッケージのヨックモックの外箱に絵を描いたり、シールでデコレーションして、両親など大切な人に感謝の気持ちを伝えるイベントを展開しています。5月には熊本市で行い、6月には仙台市と岩手県大槌町で開催予定です。

この50年で人と人との関わり方も少しずつ変わってきて、菓子が果たす役割、すなわちヨックモックが果たす役割も変容・多様化してきたと感じています。人と人をつなぎ、おいしさと笑顔が共にある未来を創り続けていくことがわれわれの使命であると決意を新たにしています。

<プロフィル>

ヨックモック

資本金1,000万円。1969年8月に百貨店向け菓子販売会社として設立。東京都足立区と栃木県日光市、鹿沼市に工場を置く。2018年度(17年10月~18年9月)の売上高は約183億6,000万円で、海外比率は5%だった。

※「アジアインタビュー」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年6月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 台湾日本
関連業種: 食品・飲料小売り・卸売り

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