中国で成功している日本企業を綿密に取材した著者。最終章にベテラン金融マンを登場させ、「勝っている会社はたくさんあるよ。みんな、絶対に言わないだけで」と語らせる。曰く、高速鉄道や工場の自動化関連、ロボット、自動車部品、センサー、ベアリング、ハイエンド医療機器などが好調だそうだ。
中国で勝つ方法としては「お金を積んでも、優秀な中国人を採ること」という。それができれば苦労はしない! との声が聞こえてきそうだが、その人材をトップにすることも大事だそうだ。本社から来た日本人を据えるのではなく。
日本とは比較にならないほど急速にキャッシュレス化が進んでいるように、中国の市場は千変万化、融通無碍(むげ)、夢幻泡影(?)。そんな中国で生き残ってきた日本企業の事例を参考にできる良著といえる。
───────────────
『本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?』
谷崎光 集英社
2017年8月発行 1,400円+税
───────────────
<目次のぞき見>
中国企業にファクトリーオートメーションを売れ!
スマホ支払い自動販売機で中国大陸を制覇する
アジア全域の口コミパワーが爆売れを呼んだ
中国人の舌と胃袋をとりこにした「味」の秘密
中国人を離さない、品質の良さ×デザイン性×マーケティング
───────────────
<著者紹介>
谷崎光(たにざき・ひかり)
ダイエーと中国の合弁商社で勤務後、中国でのビジネスをコミカルに描いた『中国てなもんや商社』(1996年)がヒット。北京在住で執筆・創作を続け、現在17年目。『日本人の値段 中国に買われたエリート技術者たち』(14年)など著書多数。
※特集「アジアに行くならこれを読め!」は、アジア経済を観るNNAの新媒体「NNAカンパサール」2017年10月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。