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【アジアに行くならこれを読め!】『世界屠畜紀行』

■『世界屠畜紀行』

内澤旬子 著 角川書店

2011年5月発行 857円+税

屠畜(とちく)とは、動物を殺して食肉にする行為を指す言葉だ。著者の内澤氏はモンゴル滞在中の1993年、現地女性が夕食の支度のために血で染まった羊の内臓を洗う様子にショックを受けるとともに、食肉化の工程について興味を抱いた。

アジアの街では、さまざまな家畜が人と共に暮らしている。民家の軒先には鶏が、つないだ羊や子豚が、荷運びする水牛が。彼らはごちそうでもあり、祝いの席や大事な来客の際には家人の手によってさばかれ、もてなしの食卓の主役となる。屠畜は日常風景をかたどる一つのパーツでもある。

本書では韓国、バリ島、エジプト、チェコ、モンゴル、インド、米国、そして日本と、世界各地の屠畜場を訪ね歩き、日本では一般にあまり知られることのない屠畜の実態をまとめた。「ラクダは大の男が3人がかりで皮をむく」など、観察した事象は文章とイラストの両方によって精密に描写されている。

日本における屠畜は、職業的な身分差別に関連してタブー視されてきた歴史がある。対して本書で描かれるアジアにおける屠畜にそのような負のイメージはなく、非常にあっけらかんとしたものを感じさせる。その対比が印象深い。

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そうだよな。肉って血が滴るものなんだよな(本書より)

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<著者紹介>

内澤旬子(うちざわ・じゅんこ)

1967年生まれ。ルポライター、イラストレーター、装丁家。異文化、建築、書籍、屠畜などをテーマに、国内のみならず世界各国を取材する。イラストも自筆し、描写的な作風が特徴的。

<目次 のぞき見>

韓国 カラクトン市場の屠畜場

バリ島 憧れの豚の丸焼き

モンゴル モンゴル仏教と屠畜

インド ヒンドゥー教徒と犠牲祭

※このウェブサイトの書評特集「アジアに行くならこれを読め」は、アジアを横断的かつ深く掘り下げる、NNA倶楽部の会員向け月刊会報「アジア通」2016年12月号<http://www.nna.jp/lite/>から転載しています。毎月1回掲載。


関連国・地域: 日本
関連業種: 食品・飲料社会・事件

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