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【ディープチャイナ】日系企業は苦戦も、中国のネット内販

中国の電子商取引(EC)を通じて中国での内販拡大を狙う日系企業が増加している。昨年4月には、カジュアル衣料チェーン大手のユニクロが、同9月には通販大手の千趣会がネットショッピング最大手の淘宝網(タオバオ)にオンラインショップを開設。新たな販売ツールとして注目を浴びるネット通販だが、中国市場では意外にも苦戦している日系企業が多いという。【山田珠世】

中国電子商務研究中心によると、C2C(一般消費者間の電子商取引市場)とB2C(企業と一般消費者間の電子商取引)を合わせた取引額は今年で4,300億元(約5兆6,000億円)に達する見通しだ。中でも、C2Cの市場シェアの8割超を占めるとされるのが「淘宝網」で、登録会員数は、今年6月末時点で中国のネット利用者の約半分に相当する1億9,000万人となっている。

2008年4月にはB2C事業を本格稼動。昨年4月にユニクロが出店したことなどをきっかけに、日本での認知度も高まっている。淘宝網のC2Cは、中国人の身分証番号を登録するだけで外国人や外国企業による出店が可能である上、出店料が必要なく、気軽にネット通販事業にトライすることが可能。法人を設立する必要がないため、コストとリスクを抑え、試験的に中国市場に参入できる“手軽さ”がある。

すでに中国で内販を手がけている企業が、販売拡大のためのツールとして淘宝を利用するケースも増えている。最近では、淘宝網への出店・運営代行サービスを手がける会社も出てきて便利さも増し、淘宝網によるネット通販事業を手がける日系企業は数百に上るともいわれている。

■問題は価格設定

ただ実際には、同サイトに出店している日系企業が大きな実績を上げているとは言えないようだ。

「実は撤退を考えている」。淘宝網に出店するある日系メーカーの幹部はこう話す。別の日系メーカー幹部も「淘宝網での売り上げはほとんどない」と話し、中国のネット通販事業が順調でないことを明らかにしている。

日系企業が中国のネット通販で苦戦する原因はどこにあるのか。

日系企業向けに中国ECのコンサルティングを提供するキャストコンサルティング(上海)の大亀浩介氏は、その原因の1つとして「価格設定」を挙げる。店舗販売と異なり、基本的に実物を手にとって見ることができないネット通販では、価格が購入決定を大きく左右する。日系企業の商品は、中国人のオーナーが出す商品との価格差が大きいことから、まず同じ土俵に乗れないことがほとんどだという。淘宝網では、雑誌に掲載されているものとほぼ同じ商品が、その何分の1かの値段で数多く販売されているからだ。

「差別化を図るために必要なのはブランド力」大亀氏はこう断言する。商品の価格差は大きくとも、ブランド力があれば中国のユーザーを引きつけることができる。ただ裏を返せば、中国でブランドが確立されていない状態で結果を出すのは容易ではないということだ。

また別の業界関係者は、「中国人ユーザーの目を引くサイト作りなど、商品の見せ方を研究する必要がある」と指摘する。中国市場のニーズに基づいた色使いやデザインを取り入れていないサイトが多いというのだ。また、販売促進まで介入しない出店代行業者が多いことから、肝心なプロモーションができていないケースも少なくないという。

■ヤフーや楽天も

ヤフージャパンは今年6月、淘宝網と双方のショッピングサイトの取扱製品を相互取引できるサービスを開始した。楽天は、中国検索エンジン最大手の百度と、インターネット・ショッピングモール事業開始に向け準備を進めており、いずれも今後日中間のEC事業を促進するとして期待されている。

ただ、ネット通販を「中国市場参入への足がかり」と安易に考えると失敗しかねない。大亀氏は「軌道に乗るまでには長いスパンで見る必要がある」とし、“手軽さ”の裏にある実態をまず把握することを勧めている。(了)<上海>


関連国・地域: 中国-上海日本
関連業種: 繊維IT・通信小売り・卸売りサービスメディア・娯楽マクロ・統計・その他経済

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