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【インフルエンサーinアジア】 李姉妹(中国)

中国文化を楽しく解説 美人姉妹が結ぶ日中友好

SNSで多数のフォロワーを持ち、強い影響力を持つインフルエンサーが注目を集める昨今。そんな彼・彼女たちの中から、日本とアジアをつなぐインフルエンサーをご紹介。(取材=NNA東京編集部 古林由香)

妹のしーちゃん(左)と姉のゆんちゃん(右)。日本在住歴はそれぞれ約20年と約18年。取材でもユーチューブと変わらぬ仲良しムードいっぱいだった2人。「ユニット名は他にもいろいろな案があったんですが、短い方が覚えやすということで『李姉妹』に」(ゆんちゃん)「無難にいこう、みたいな感じでした(笑)」(しーちゃん)(NNA撮影)

妹のしーちゃん(左)と姉のゆんちゃん(右)。日本在住歴はそれぞれ約20年と約18年。取材でもユーチューブと変わらぬ仲良しムードいっぱいだった2人。「ユニット名は他にもいろいろな案があったんですが、短い方が覚えやすということで『李姉妹』に」(ゆんちゃん)「無難にいこう、みたいな感じでした(笑)」(しーちゃん)(NNA撮影)

「漢字しか使わない中国人が漢字をど忘れしたらどうするの? 何で代用する?」

「中華系キャラの『アル』『アルヨ』って何? 漫画やアニメにありがちだけど中国人は実際に使う?」

「中国のトイレあるあるとその攻略法‼」

こんな日本人が素朴に抱く中国への疑問や、中国語の学習方法をほのぼのとした関西弁で紹介するユーチューバー、李姉妹が人気を集めている。

姉のゆんちゃんと、妹のしーちゃんは5歳離れた実の姉妹で、国籍は中国。幼いころから中国と日本を行き来しながら育った2人が、チャンネル『李姉妹ch』を動画投稿サイト「ユーチューブ」に開設したのが2018年11月。以来、三重県を拠点に2年で300本近い動画を制作し、今や登録者数は23万人を超える。

YouTube:李姉妹ch 23.3万人(登録者数)
YouTube:李家姐妹在日本 2.4万人
Instagram:lisis45 1.4万人
Twitter:@lisis45 1万人
※登録者(フォロワー)数は20年11月20日現在

YouTube:李姉妹ch 23.3万人(登録者数) YouTube:李家姐妹在日本 2.4万人 Instagram:lisis45 1.4万人 Twitter:@lisis45 1万人 ※登録者(フォロワー)数は20年11月20日現在

――英語の勉強をしようとユーチューブで学習動画を見たところ、「これなら私たちもできそう」と思ったのがきっかけで中国に関する動画の投稿を始めたとか。最初から現在のような人気チャンネルにするつもりで始めたのでしょうか?

しーちゃん いいえ。特にそれまでユーチューブは見ていませんでしたし、趣味程度の気持ちで。これで生計を立てようとかは全然考えていませんでした(笑)。

ゆんちゃん もともとカメラとかが好きで、動画編集も個人的にやってはいたんですが、「ちょっとやってみようか」と軽い気持ちで始めました。

――『李姉妹ch』の視聴者は中国語の学習者や中国文化に興味を持つ人の他に、配偶者や交際相手が中国人という人も多いとか。フォロワーの属性は?

ゆんちゃん 性別でいうと、変動はしますが男性のほうが少し多いです。

しーちゃん 年齢層は18~34歳の方が主な層です。大学生の視聴者さんも多いですね。上は65歳以上が10%くらいで、40~50代の方もいらっしゃいます。全ての世代の方がいて、平均的な感じだと思います。

――中国人が日本で“爆買い”する商品の紹介や、中国人は漢文が分かるのか検証するといったユニークな切り口が人気を呼んでいますが、制作の流れは?

ゆんちゃん 企画内容とタイトルやサムネイル(検索用の縮小画像)を書いたリストと、それとは別に流れなどを書いたメモ程度の台本を10本以上ストックしています。撮影するものは、全体的なバランスを考えながら、その日の気分で決めています。

――現在、視聴回数の1位はお笑い芸人、中川家礼二さんの中国人のものまねコントを取り上げた動画です。

しーちゃん 短いサクッとした動画なんですが、長期的にじわじわ視聴が伸びています。「おすすめ動画」としてチャンネル登録者以外のところに出張してくれて(笑)、普段私たちの動画を見ていない方もチェックしてくれたようです。

ゆんちゃん コメント欄でたまに質問を頂いていたんです。「礼二さんのものまね、似ているの?」って。それで軽い気持ちで撮ってみたんですが、人気が出るのは想定外でした(笑)。礼二さんを好きな方が多いというのと、素朴な疑問なんでしょうね。

人気お笑い芸人、中川家の礼二による中国人に扮(ふん)したコントを見て、本当に中国語に聞こえるのかを解説。果たしてその結果は…?

人気お笑い芸人、中川家の礼二による中国人に扮(ふん)したコントを見て、本当に中国語に聞こえるのかを解説。果たしてその結果は…?

https://youtu.be/QDGAn9lsWFk

■「中国に興味を持った」、こんな声がうれしい

――テーマであえて避けているものは?

しーちゃん 政治的な話題や国同士のこととか、個人とは切り離されている内容は私たちがやる必要はないと思い取り上げていません。あと、中国か日本のどちらかを下げて、どちらかを上げるというネタもやりません。そもそも思いつかないです。

ゆんちゃん そういうのは再生が回る(増える)んです。極端なネタは視聴者の興味を引くので。でもいい回り方じゃないし、コメント欄も荒れる。そういうのは私たちのチャンネルでは避けたいなと思っています。

――2人のスタンスが伝わってか李姉妹のコメント欄は平和ですが、コメントは見ていますか?

ゆんちゃん&しーちゃん はい、ほとんど見ています。

しーちゃん 中国語を勉強している方からのコメントがうれしいのはもちろん、中国を好きでも嫌いでもなく、着目したこともないような方から「興味を持った」とか、「大学で中国語の授業を取り始めた」「中国に行ってみようと思った」という書き込みを頂くと、やっていて良かったなぁと思います。

――人気の理由はどこにあると考えていますか?

しーちゃん 姉妹というのが珍しいのかな(笑)? 語学系ユーチューバーで実の姉妹って少ないので、印象に残るんだと思います。私たちは日本語の方が母国語に近いので、トークが聞きやすいというのもあるのかと。

ゆんちゃん 中国語のレッスン動画だと、しーちゃんは日本人寄りの目線で、私は中国語ネイティブの目線でと双方から伝えられるのがいいのかもしれません。あと、生い立ちが結構違うので、それぞれの経験を生かせるというのと、姉妹ならではのテンポ感がいいのかなと思います。

――動画でもそうですが、この取材でも息ぴったりで本当に仲良しですね。

ゆんちゃん&しーちゃん ありがとうございます(笑)。

しーちゃん 離れている時間が長かったので、友達感覚でいられるのかも?

ゆんちゃん 貿易関係の仕事をする父親の都合で、私たちは中国と日本を行ったり来たりしながら育ったんですが、幼少期からそれぞれ離れていた時期もあって。私は高校は中国の全寮制に入り、大学はニュージーランドに留学したので、中学卒業後はほとんど一緒にいませんでした。

しーちゃん 当たり前ですけど生まれた時から姉妹ですし、日本と中国両方の文化に触れているのも自然なことだったので、チャンネルを開設して外部から驚き混じりの声を聞いて不思議な感じでした(笑)。

――ユーチューバーとしての活動についてご両親の反応は?

しーちゃん 私が最近三重の実家を離れてしまったのですが、ユーチューブでは娘の姿を見られると喜んでくれています(笑)。

ゆんちゃん 母は天然というか楽観的で、私たちがやりたいことを、「何でもあり」みたいな感じで受け入れてくれるタイプ。父は真面目なんですが、ちょっと変わり者というか(笑)。でも母と同じようにすごく応援してくれていて、私たちも伸び伸びとやらせてもらっています。

幼少期から海外を転々とした生い立ちについてトーク。多様な文化を柔軟に吸収して育ったからからこそ、今の2人がいると分かる1本

幼少期から海外を転々とした生い立ちについてトーク。多様な文化を柔軟に吸収して育ったからからこそ、今の2人がいると分かる1本

https://youtu.be/GnBdscgeV4Y

■作業は担当制、収入はきっちり半々

チャンネル開設以降、三重県を拠点に動画制作をしていた李姉妹だが、この秋にしーちゃんが神奈川県へ転居。地理的な距離ができたものの、活動には特に支障はないと2人。今後も新しい企画が続々控えているという。

――現在、動画制作はどのように?

しーちゃん 月いち程度で会えるので、その時にため撮りしています。

ゆんちゃん 三重に住んでいた時も、バーッと撮る日と、バーッと編集する日という感じで分けてやっていたので、そのスパンが少し長くなったという程度です。ユーチューブを始めた当初は1日で5本まとめて撮ったりしていたんですが、後半疲れてきてクオリティーが下がってしまって。今は多くても3本程度ですね。更新頻度も以前は週5回とか、多い時は毎日上げていました(笑)。今は1本ずつ丁寧にやろうという考えで週2~3本に。主に中華圏向けのサブチャンネル『李家姐妹在日本』も、月2~3本程度と投稿頻度を下げています。

――作業分担はどのように?

ゆんちゃん 最初のころは1本ずつ分けてやっていたんですが、やりやすさを考えて半年ほど前から作業ごとに少し分業するようになりました。私が企画を考えたり、台本を書いたりをメインにして、しーちゃんが編集をメインにという感じで。

――ゆんちゃんは貿易会社の経営もしているそうですが、現在の状況は?

ゆんちゃん 続けています。でも、新型コロナウイルス感染症の影響で業務が減っているのと、ユーチューブの仕事が増えているので、貿易の仕事はあえて取りにいっていません。今後も極力少なくしようと思っています。

――しーちゃんはユーチューブが専業?

しーちゃん はい。李姉妹チャンネルの運営のほかに、企業コラボといったユーチューブに関連した仕事をしています。

ゆんちゃん 最近だとコスメや学習アプリ、翻訳機のレビューとか。商品を紹介してくださいという案件が多いです。私たちのチャンネルと合っていて、なおかつ良いと思うものだけを紹介しています。

――収入はどう分けていますか?

ゆんちゃん&しーちゃん 完全に半々です。

ゆんちゃん どちらかが多いとかだと、やりにくいですし。今後もそうしていくと思います。

ユーチューブ制作風景を公開。「撮影中は結構かんでいます(笑)。制作に関し2人の間で意見の食い違いなどはあったとしても、もめたりはしません」(しーちゃん)

ユーチューブ制作風景を公開。「撮影中は結構かんでいます(笑)。制作に関し2人の間で意見の食い違いなどはあったとしても、もめたりはしません」(しーちゃん)

https://youtu.be/pxdfm1vO4FE

■ユーチューブ=仕事は奇跡、プレッシャーはありません

――ユーチューバーをやっていて良かったこと、辛かったことは?

しーちゃん 良かったことは、いろんな方に動画を見ていただいて非現実的な体験ができたことや、交流できること。あと、以前は会社員をしていたんですが、その時と違って時間の使い方が自由。自分の首をしめる場合もありますが(笑)、この生活スタイルは自分に合っているなぁと。

ゆんちゃん 自分主導でできて、やったらすぐフィードバックがあってというのが楽しいです。作業も、したくないものはしなくていいし、時間の自由と選択の自由がある。そういうのが私たちに合っていますね。

しーちゃん ユーチューバーの仕事って想像しづらいと思いますが、皆さんが思っているより全然ゴロゴロしてます(笑)。その反面、安定性はありません。あと、これまで取り入れる必要がなかったネガティブな意見を目にしなければならなくなりました。

ゆんちゃん メンタル的に鍛えられました。でも、良くない意見は想定より少ないです。中国に関してはネガティブな報道などがあるので、ユーチューブを始める前からそういうコメントが来るのは覚悟していたんですが一部でした。ポジティブな意見が99%で圧倒的に多い。なので、私たちもいい方に視線を向けるようにしています。

――ユーチューブで接する日本人から感じることは?

しーちゃん 学習がきっかけという方が多いからか、まじめな方が多いなと。細かいところまで考えて、悩んで、質問をされるという印象です。

ゆんちゃん あと、純粋に中国を好きという方が思っていた以上に多くて。とてもうれしいですね。

――今後、挑戦してみたいことは?

ゆんちゃん 日本で「HSK」という中国語検定を実施する団体と一緒に、オンライン留学プロジェクトを計画中です。私たちが企画を考えたり、宣伝に携わる予定です。

しーちゃん ハードルが高い語学留学ですが、私たちが窓口になって、「やってみたい」と思ってもらえるきっかけになれたらいいなと。あと、本を21年2月に出版予定です。私たちの紹介をするエッセイに、少し中国語を絡めた内容になる予定です。

ゆんちゃん 中国の動画配信サービス「bilibili(ビリビリ)」での投稿も、年内にスタート予定です。中国語で日本の生活を紹介したり、『李姉妹ch』の動画で中華圏の方に興味を持ってもらえそうなものに字幕を付けて紹介したいなと思っています。

――人気ユーチューバーとなった今、プレッシャーは?

しーちゃん “プレッシャー”というほどの負担はないですね。

ゆんちゃん 姉妹なのであまり気を使わずにできますし。姉妹じゃなかったら、どちらかが原因でチャンネルが回せなくなったら悪いなと思って、迷惑を掛けないように気を使うと思いますが、私たちの場合はそれがあまりないというか。

しーちゃん そもそもユーチューブを仕事にできているのが、想定外というか奇跡です。続けられるうちは続けて、もし続けられなくなったら違う仕事を探そうかなくらいの気持ちでいます(笑)。

李姉妹からNNAカンパサール読者へメッセージ

李姉妹からNNAカンパサール読者へメッセージ

https://youtu.be/8ZOJCxBEhdo

※特集「インフルエンサーinアジア」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2020年12月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 中国-全国日本
関連業種: メディア・娯楽社会・事件

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