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日系の7割が10日事業再開 新型肺炎、「開店休業」状態も

中国で新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大で延長されていた春節(旧正月)連休が明け、進出日系企業も不安定な状況ながら事業を再開しつつある。NNAが実施したアンケート調査では、全体の7割超の企業が2月10日に事業を始めていることが分かった。ただ事業は再開したものの、従業員の出社が困難であったり、取引先が稼働していないなどの理由で「開店休業」の状態にある企業も少なくなかった。

NNAは11~12日、中国の多くの地域で独自の連休延長措置が終了した10日以降の事業再開状況を聞くアンケート調査を実施。356社から有効回答を得た。「中国拠点で実際に事業を再開した、または再開を予定する時期」を聞いたところ、71.9%(256社)の企業が「10日」と回答した。「3日またはそれ以前」の3.1%(11社)、「13日」の2.2%(8社)、「その他」と回答しながらも実際には「11~12日」にかけて再開した5.9%(21社)を合わせると、83.1%の企業が13日までに事業を再開しているもようだ。

再開時期を「17日」と予定している企業は7.6%(27社)。未定は6.2%(22社)だった。

作業再開時期で最も多い「10日」を製造業、非製造業に分けて見ると、製造業が58.5%(96社)と半数超にとどまる一方、非製造業は84.4%(141社)と全体平均の71.9%を上回る水準だった。総じて従業員数が多く、再開に向けた手続きも煩雑な製造業で再開が遅れ気味なのに対し、テレワークなどを導入しやすい非製造業は早期の事業再開が可能になっているようだ。

■6割超が在宅勤務

10日に連休が明けたものの、多くのオフィスビルや工場の入り口で体温検査が義務付けられているほか、集団での昼食を避けるようにとの行政指導もあり、従業員が出社しても相当気を使わなければならない状況にある。既に事業を再開している企業に従業員の勤務態勢(日本人駐在員、現地雇用スタッフを含む)を聞いたところ、「一部が在宅勤務」が46.3%(133社)、「全員が在宅勤務」が19.5%(56社)で、合わせて65.8%が在宅勤務を取り入れていることが分かった。「平常通り」は12.5%(36社)、「時差出勤や勤務時間の短縮」を採用している企業は8.4%(24社)だった。

日本の外務省が12日、中国に滞在する邦人に対し早期の一時帰国を至急検討するよう求めるスポット情報を発表したこともあり、駐在員の中国勤務態勢をどうするのか、判断が日増しに難しくなっている。

アンケートの実施時点では、既に事業を再開している企業のうち駐在員の扱いを「平常勤務」とする回答が25.1%(72社)、「大半が平常勤務」は15.7%(45社)、「中国で在宅勤務」は13.6%(39社)、「大半が中国で在宅勤務」は12.2%(35社)となっており、合計で66.6%の企業が何らかの形で駐在員に対し、現地でのオペレーションを指示していることが分かる。

一方、「日本に帰国中」の11.5%(33社)と「大半が日本に帰国中」の17.1%(49社)を合わせると28.6%になり、3割近くの企業が駐在員を中国から退避させている。

外務省の最新スポット情報発表後、企業の判断に変化は生じているのか。アンケート実施後の13日に追加で聞き取り調査をしたところ、「駐在員10人のうち業務上どうしても必要な1~2人が中国にいる。この態勢は今後も変更しないが、今週に予定していた残りの人員の現地戻りは延期した」(上海市の非製造業企業)、「いま駐在員2人のうち1人を帰国させているが、今のところ現態勢からの変更予定はない」(上海市にある地方自治体事務所)といった回答があった。

■取引先は休業、従業員は出社難

事業は再開したが、従業員の出社が困難であったり、取引先が稼働していなかったりなどの影響を受けている企業も少なくない。既に事業を再開している企業に「事業再開後に困っていること」(複数回答)を聞いたところ、「取引先が営業していない」が138社、「サプライヤーが稼働していない」が132社と、自社以外の事情で正常な運営体制に戻せないとする回答が目立った。

「従業員の出社が困難」も177社と多かった。従業員の出社が困難な理由としては、「地方政府などにより自宅での待機を求められている」(130社)、「外地から勤務地に戻ってくることができない」(117社)、「マスクの用意など安全確保が難しい」(60社)などが目立つ。従業員の出社が困難な理由として「新型肺炎に感染している、または感染が疑われる」を挙げた企業はゼロだった。

■事業再開に地方政府審査の壁

アンケート実施時点で事業を再開していない企業にその理由を聞いたところ(複数回答)、再開審査待ちなどを含む「当局からの指導」が48社と最も多かった。

感染の拡大を恐れる地方当局が、独自に企業の審査制度を設けたことが事業再開の遅れの一因となっているようだ。浙江省杭州市の製造業企業では、事前に市当局から再開に向けた審査が課せられた。従業員の出身地をまとめたリストの提出や、工場に体調不良者の隔離部屋を設置すること、マスクや消毒液、体温計の確保などを要求されたという。アプリを通じて審査を申請し、その後、工場に来た当局の担当者から検査を受けた。同社担当者によると、「12日夕方に検査を受けて、13日午前中にパスした。ただ杭州市全体で3万社近くが再開を申請しており、うち通過したのはまだ1割程度のようだ」と審査作業は滞りがちとなっているもようだ。

ほか事業を再開していない理由では「取引先が営業していない」(14社)や「サプライヤーが稼働していない」(7社)、「従業員の出社が困難」(10社)、「日本本社からの指示」(9社)などがあった。

事業を再開していない企業に再開の見通しを聞いたところ、「来週」が39.1%(27社)と最も多い。「今週中」は24.6%(17社)、「月内」は7.2%(5社)。現時点で「見通しが立たない」とする企業も21.7%(15社)あった。

再開後に直面した、もしくは再開の準備を進める中で各社が苦心していることを聞いたところ、「マスクや消毒液など予防対策に必要な物が足りなくなる可能性がある」「(再開稼働)認可の条件であるマスクやアルコール消毒液の確保」といった医療物資の不足のほか、「出勤率の確保」「公共交通機関を使用した通勤に対し従業員が抵抗感を持っている」「省外から戻った人が14日間の外出禁止措置を受けている」と人員の確保が困難な状況を訴える声が目立った。

感染予防措置を講じ、従業員を集めて実際に事業再開の態勢を整えたとしても、「物流網の混乱」「運送便の状況がまったく不明」「原材料の調達が困難で、在庫が底をつけば生産停止となる」と、物流や他社の再開状況に左右され、事業継続に不安を抱える企業も少なくない。

「事業再開の認可の時期が不透明」「事業再開の審査がまったく追いついていない」「地方の規制情報の収集と、影響の予測に苦労している」と、各地で異なる規制や事業再開に向けた審査に振り回される状況もうかがえる。

調査回答企業の業種、事業形態別の内訳は製造業(現地で加工・生産)が46.1%(164社)、非製造業(販売・サービスなど)が46.9%(167社)、駐在員事務所が4.5%(16社)、メディア・公的機関などが0.8%(3社・機関)、その他が1.7%(6社)だった。回答企業の中国拠点の所在地は上海市が198社と最も多く、ほか江蘇省(57社)、広東省(44社)、北京市(19社)などだった。


関連国・地域: 中国-全国香港台湾韓国タイベトナムミャンマーマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンオーストラリアインド日本
関連業種: 自動車・二輪車医療・医薬品マクロ・統計・その他経済

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