電動化をはじめとする自動車に関する先進技術の普及は、先進諸国とアジアの新興国の間ではタイムラグが発生すると考えられている。
米コンサルタント会社ベイン&カンパニーは、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内では、先進国に比べて、政府の電気自動車(EV)購入奨励策が少ないことや、メーカーが先進国向けの生産を優先し、ASEANへの供給台数が少ないことで販売価格が高くなっていることが普及のネックと指摘する。量産化が進み、販売が本格化するのは2025年以降とみている。
みずほ銀行産業調査部もASEANでは当面、エンジン車を中心とした従来型のビジネスが主流であり続けると予測。日系メーカーの高いシェアを鑑みれば、ASEANは日系企業にとって「キャッシュ創出の最後の砦」との見方だ。
■「日系優位」に変化も
半面、みずほ銀行産業調査部は「世界的に見ればゲームチェンジが進みつつある」と指摘する。ASEAN自動車市場は日系の牙城だが、エンジン車での競争では日系への勝ち目が薄い外資系メーカーが、現地政府に働きかけ、先進国同様の規制によって競争環境の変更を試みることが考えられるという。
域内の競争環境が変化する中、日系メーカーによる法令整備への積極関与は欠かせないと訴えている。(終わり)
※特集「アジアを走れ、次世代モビリティー」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年9月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しました。
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