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【外国企業の日本戦略】日本事業強化へ初のM&A インフォシス、日立から調達部門

インドのIT大手インフォシスが日本事業を加速させる。現在、グローバル売り上げに占める日本市場の比率は1%足らずだが、2025年をめどに20%まで高める目標を掲げる。事業拡大に向けて合併・買収(M&A)を積極的に進める方針でおり、その第1弾として、4月に日立製作所の間接材購買機能を担う企業を子会社化した。調達に関するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を通じて、日本事業の安定化とプレゼンス強化を図る狙いだ。

インフォシスリミテッドの代表を務める大西俊介氏=東京(NNA撮影)

インフォシスリミテッドの代表を務める大西俊介氏=東京(NNA撮影)

インフォシスの日本事務所、インフォシスリミテッドは4月、パナソニックやパソナグループと共に、日立製作所の連結子会社で日立グループの間接材購買機能を担う日立プロキュアメントサービスの株式譲渡を受け、新会社「HIPUS(ハイパス)」(東京都千代田区)を設立した。出資比率はインフォシスリミテッドが81%、日立が15%、パナソニックとパソナが各2%。

ハイパスは、日立グループから間接材調達機能を請け負う。間接材は、直接・個別の製品・作業に費用を振り分けられない、工具や消耗品、補修用品、燃料などの経費購買品のこと。インフォシスが持つ調達に関するグローバルな知見や先進的なIT技術を活用し、日立グループ向けの調達活動を担う。2018年3月期に1,030億円だった日立プロキュアメントサービスの取扱高を、21年度に4,000億円とする目標を掲げている。

■BPOで事業を安定化

インフォシスリミテッドの代表を務める大西俊介氏は、ハイパス設立の狙いについて、BPOを通じた日本市場での事業の安定とプレゼンス強化を挙げる。

インフォシスは、1997年に日本に進出した。世界的には人工知能(AI)、クラウド、IoT(モノのインターネット)など幅広いITサービスを提供するが、日本市場では専ら企業の経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図る「企業資源計画(ERP)」の導入サービスを手掛けてきた。

プロジェクト型のERPでは、基本的に大口契約を常に追いかける必要があり、契約がまとまれば業績が大きく改善するが、その逆もあり、収益が安定しなかった。また、インド企業として、言葉の壁や文化的な障壁もあり、インドの本社が期待するほどには事業を拡大できずにいた。本社は、そうした日本を同社にとっての「未開発の市場」と認識し、裏を返せば今後の成長拡大余地を大きく残した市場とみている。

そうした状況下、経営資源の集中と選択を進めたい日立製作所と、日本市場での安定した事業基盤を得たいインフォシスの思惑が一致し、日立製作所の間接材購買部門子会社の株式譲渡に至った。同じBPOでも人事や経理に比べて、コスト削減の成果が分かりやすいのが購買のアウトソーシング。

インフォシスは、オーストラリアベースのポートランド社という購買BPOを手掛ける子会社を持ち、同子会社の知見を活用し、スケールを生かした間接材調達業務の高効率化・高付加価値化を目指す。日立向けで実績を重ね、パナソニック、さらにはその他の企業グループに調達BPO事業を広げていく青写真を描く。

■寡占状態の日本のIT市場

子会社化したBPO事業を下支えに、機械の設計やプラント制御、構造解析などを行うエンジニアリングサービスをはじめとした最先端のデジタル・テクノロジー・サービスでのプレゼンス強化を目指している。自動車や機械組み立てなどの製造業や、メガバンクを中心とした金融業を今後の顧客として有望視している。

大西氏は「IT企業にとって、日本は世界の中でも難しい市場」と語る。業界はトップに大手5社が君臨し、その下に売上高4,000億円程度の10社が位置するピラミッド構造で、これら15社で売り上げシェアの80%以上を占めている。

■「打開の鍵は日本人人材」

寡占市場に風穴を開けるため、外国企業であるインフォシスが重視しているのが、日本人コンサルタントの確保と育成だ。

インフォシスのビジネスは、基本的に海外のそれぞれの市場に営業がおり、実際のプロジェクトを進行している人はインドにいるという状況。オフショア開発において、2国間の間に立ち、円滑にプロジェクトや業務を進められるよう指示・調整する「ブリッジシステムエンジニア(SE)」を立てるケースがあるが、大西氏は否定的だ。ベンダーへの依存が強い日本のユーザーが直接ブリッジSEとやり取りするのは難しい。日本のユーザーには、ブリッジSEの代わりに、顧客窓口として日本語で対応できるコンサルタントが必要というのが大西氏の見解だ。

日本人の人材確保に向けては、中途採用やコンサルティング会社のM&Aを検討する一方、今年から新卒採用による人材育成を始めた。今年は100人程度のエンジニアの採用を計画しており、半数を新卒で確保する方針だ。

インド系企業であるインフォシスリミテッドの強みを尋ねると、同じ外資系でも欧米系に比べて年功序列など日本企業に近い企業風土がある一方、世界的にビジネスを展開していることで、ITに関する国際的な新たな潮流にいち早く対応できることを挙げた。(須賀毅)

<メモ>

インフォシス:1981年設立。インド南部ベンガルール(バンガロール)に本社を構え、同国内28カ所を含む世界100カ所に拠点を展開している。世界50カ国・地域以上に顧客を持ち、AI、クラウド、IoTからエンジニアリングサービス、ERP、アプリケーション開発、ナレッジBPOなど幅広いサービスを提供している。18年度(18年4月~19年3月)のグローバル売り上げは前年度比7.9%増の118億米ドル(約1兆3,000億円)だった。日本には1997年に東京オフィス、2012年に名古屋オフィス、17年に大阪オフィスを開設した。大西俊介氏は17年1月から日本事務所であるインフォシスリミテッドの代表を務めている。


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関連業種: IT・通信

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