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【アジアで会う】秋本倫孝さん サッカー選手 第241回 サッカー人生つないだ東南アに恩返しを(タイ)

あきもと・みちたか 1982年静岡市生まれ。法政大学社会学部社会政策学科を卒業後、2005年にJリーグ2部(J2)のヴァンフォーレ甲府に入団。京都サンガ、カターレ富山を経て、15年にタイ・リーグ2部のタイ・ホンダFCに移籍。19年に日本へ戻り、J3の藤枝MYFCに所属する。

(本人提供)

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大学を卒業するとき、ヴァンフォーレ甲府のプロテストを受けて入団が決まった。26歳でチームのキャプテンを務めるなど、「濃い6年間だった」と振り返る。その甲府で3年間師弟関係にあった大木武監督(現FC岐阜の監督)が京都サンガの監督になると聞き、28歳の時に初めて移籍を経験。京都には3年間在籍し、その後カターレ富山に1年契約で加入した。

富山との契約が満了に近づくころ、気付けば30歳を超えていた。周囲は自分よりも若い選手が多くなり、契約更新の話もなければ、他のクラブからのオファーもない。「もう日本での需要は無くなっていた」。すがる思いで「キングカズ」こと三浦知良選手の兄で、サッカー指導者の三浦泰年氏に相談したところ、タイ北部チェンマイのチームを紹介してもらえた。

結局契約には至らなかったが、縁があってバンコクをホームタウンとするタイ・ホンダFCに加入することができた。チームで外国人選手は秋本選手を含めた4人。「(タイに来てからは)いつもプレッシャーを感じていた。『助っ人外国人選手』という立場の上、ポジションがディフェンダーのため、負けた時のチームの視線は痛かった」と語る。日本では、試合に向けて選手全員が集まって対戦相手の映像の確認や、選手それぞれの意識のすり合わせなどをするのが一般的。だが「タイはマイペンライ(問題ない)の世界」。試合に負けたときの視線は痛かったが、実際は勝ち負けに執着しない選手がいることも後々に分かった。

そんなタイでの3年半は、サッカー人生の大きな転機になった。「今はサッカーができるだけで幸せだと感じる。たとえ練習場にシャワーがなくても、ピッチの芝生が悪くても、不満は感じない。タイでの選手生活で初心に戻ることができた」と話す。

■「人事を尽くして天命を待つ」が支え

小学校5年生だった1993年、Jリーグが開幕した。サッカー漫画「キャプテン翼」に影響を受け、プロサッカー選手への漠然とした憧れを抱いていた秋本選手にとって、心が躍るできごとだった。小学校から高校まではサッカー部に所属し、サッカー漬けの生活を送った。「プロになった自分の姿をイメージしたり、チームが強くなる方法を考えたり、頭の中はいつもサッカーのことでいっぱいだった」。そして後のサッカー選手人生を何度も救ってくれた「人事を尽くして天命を待つ」という言葉は、清水商業高校(現・清水桜が丘高校)のサッカー部の大滝雅良監督にかけてもらった。

年齢を重ね、同年代の選手が現役を引退していく中で、「一生懸命やってだめならしょうがない」と自分を奮い立たせることができたのは、今も交流が続く大滝監督の言葉があったからだ。タイでの選手生活3年目にもその言葉で奮起したことがある。若い選手との体力的な違いを感じるようになり、セカンドキャリアが頭をよぎったときだ。スポーツジムの運営や、子ども向けのサッカー教室の開校などを考え始める自分がいた。

「でも結局最後は、戦いの場所にいたいという想いに行き着いた」と、笑顔を見せる。そして再び日本に戻った現在の夢は「向こう5年は選手生活を続けながら、(日本サッカー協会=JFA=公認指導者ライセンスの)S級ライセンスを取得し、45歳までに東南アジアの国の代表監督に就任してワールドカップの予選で日本代表と戦うこと。目の前のことに必死になっていたら、随分と遠いところまできた。サッカー選手人生のゴールが見えた今、これまで以上にエネルギーに満ちている」と話す。サッカー選手人生をつないでくれた東南アジアへの恩返しができる日まで、戦いの場所に立ち続けると意気込む姿は闘志に満ちていた。(タイ版編集・齋藤信世)


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関連業種: 社会・事件

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