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【アジアインタビュー】プリンスホテル 海外事業部長 赤松衛一執行役員

海外富裕層に向けてブランド訴求

西武ホールディングス傘下のプリンスホテルが、海外展開に力を入れている。2017年に子会社化したオーストラリアのホテル開発・運営の持ち株会社ステイウェル・ホールディングス(StayWell Holdings)のノウハウを活用して、27年までに海外約100カ所にホテルを展開する計画だ。「プリンス」の名を冠したラグジュアリーブランドを通じて、日本へのインバウンド需要につなげる狙いもある。今年1月の組織改編で発足した海外事業部の部長を務める赤松衛一執行役員に話を聞いた。

プリンスホテルの海外事業部長を務める赤松執行役員=東京(NNA撮影)

プリンスホテルの海外事業部長を務める赤松執行役員=東京(NNA撮影)

──ステイウェルを傘下に収めた狙いを教えてください。

「『日本のプリンスホテル』から『世界のプリンスホテル』へ」をスローガンに、グローバル企業としての地位確立を目指しています。日本国内では多くの方に知っていただいている「プリンスホテル」のブランドですが、海外ではまだ認知度が高いとはいえません。

17年7月にオーストラリアのステイウェル・ホスピタリティー・グループの株式100%を取得し、7月3日に新会社としてステイウェル・ホールディングスを設立しました。ステイウェルは現在、オーストラリアのシドニー、インドのグルガオン、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、英国ロンドンにそれぞれ「グローバル開発チーム」を持っています。また、ステイウェルのサイモン・ワン社長は、かつて北京を拠点にアコ―ホテルズの北アジア地域の最高経営責任者(CEO)を務め、主要なグローバルホテルチェーンで35年以上の経験とホテル開発の実績があります。

国際的なホテルの運営・開発に関する豊富な経験と知識を持ったステイウェルを傘下に収めたことで、より迅速な海外展開を実現し、海外事業における収益拡大が期待されます。

──海外展開に力を入れる理由は何ですか。

まず、日本国内だけでなく、海外での多店舗展開による収益機会の拡大があります。ステイウェルが運営するホテルを27年までに100カ所で開業する目標を掲げており、中長期的目標として、プリンスホテルが運営するホテルと合わせて国内外で250カ所規模への事業拡大を目指しています。

ステイウェルが運営するホテルとしては、17年のプリンスホテルによる事業取得後、インドネシアの首都ジャカルタやインド南部のコーチなど5カ所で開業しました。

海外展開に注力するもうひとつの理由が、グローバル人材の育成です。ホテルの海外ネットワークを拡大することで、異なる商習慣や宗教・文化に対応できる豊かな国際性と、開発運営やITなどで高い業務スキルを持ったグローバル人材を育てたい。日本を訪れる外国人は、今後ますます増えていくと予想されますが、グローバル水準のホテル運営のためにも、国籍に関係なくリーダーシップを発揮できる人材が必要です。

そして、3つ目の理由は、海外における知名度を高め、日本国内のプリンスホテルへ誘客することです。国内は、インバウンドビジネスで成長している中、ラグジュアリークラスへのアプローチが戦略的にできていませんでした。そのため、海外向けのラグジュアリーブランド「ザ・プリンス アカトキ(The Prince AKATOKI)」を創設し、このブランドを通じて海外でのプリンスホテルの知名度を上げ、訪日された際に日本のプリンスホテルを利用してもらえるようにすることが一番重要だと考えています。

■ロンドンと広州に高級ホテル

──英国と中国で開業予定の新ブランド「ザ・プリンス アカトキ」について聞かせてください。

ザ・プリンス アカトキは、プリンスホテルとステイウェルが開発・運営するホテルとして最高級ブランドとなります。今年夏以降に英国・ロンドン、冬以降に中国・広州で開業を予定しており、客室数はそれぞれ82室と275室です。

広州で開業予定の「ザ・プリンス アカトキ」の外観イメージ(プリンスホテル提供)

広州で開業予定の「ザ・プリンス アカトキ」の外観イメージ(プリンスホテル提供)

「ザ・プリンス アカトキ」のスイートルームイメージ(プリンスホテル提供)

「ザ・プリンス アカトキ」のスイートルームイメージ(プリンスホテル提供)

アカトキの名称は「夜明け前」などを意味する「明時」からとったもので、和のデザインが感じられる空間や日本らしいおもてなしの提供をコンセプトとしています。世界中のさまざまな文化背景を持つゲストに、「プリンスホテル」のブランドを知っていただき、日本へのインバウンド需要につなげるのが狙いです。

国際的なラグジュアリーホテルが多数ある中で「ザ・プリンス アカトキ」を選んでいただけるような差別化を目指し、目下かんかんがくがくの議論を続けています。

ザ・プリンス アカトキは今後、大規模な経済都市で、かつ観光目的地でもある国際都市への建設を考えています。例えば米国ニューヨークやタイのバンコク、インドのニューデリーなどが考えられます。

■「フルサービス」の強み生かして

――20年の東京五輪・パラリンピック後は訪日外国人の伸びが鈍化することも考えられますが、どのような対策を考えていますか。

日本政府が、30年に訪日外国人を年間6,000万人とする目標を掲げています。18年の訪日外国人数は3,119万人ですから、目標通りに推移すれば、20年以降も十分な伸びが期待できます。プリンスホテルとしても、海外でのブランド周知を通じて、日本国内のインバウンド需要につなげられたらと考えています。

プリンスホテルの強みは、「フルサービス」にあります。すなわち、宿泊のみならず国際会議が開催できる大型の宴会場や種類の異なるレストラン、スキー場、ゴルフ場、エンターテインメント施設などさまざまな運営ノウハウがあり、人材がいることです。東京五輪・パラリンピックに向けてホテルの増加が予想される中、その多くは宿泊特化型のため、フルサービスであることの優位性はますます高まると考えています。

※特集「アジアインタビュー」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年2月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 中国日本欧州
関連業種: 建設・不動産サービス観光

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