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【アジアで会う】山崎瞳さん エステサロン経営者 第224回 夢を形に、次は「美容を広めたい」(ベトナム)

やまざき・ひとみ 北海道旭川市出身。保育の短期大学在学中に小さなマッサージサロンの経営を始めた。卒業後はエステサロンや化粧品販売などで働きながら、技術と知識を習得。化粧品製造からネイリスト、整体・鍼灸(しんきゅう)師など、海外の美容学校や独学を含め、取得した資格は10種類。ホーチミン市に2009年に開業した日系メディカルビューティーサロン「Rosereve(ロズレイブ)」の立ち上げに携わり、翌10年から経営を担う。

「10代のころから経営者になりたかったんです。それも、海外で――」。さらりとこう語ったのは、ホーチミン市で10周年を迎えた日系エステサロンのオーナー。聞くと、わざわざ日本や海外からお忍びで通うセレブリティーなどで、日曜日の貸し切り予約は8カ月先まで埋まっているという。日本で自社製造し輸入するドクターズコスメは、入荷後すぐに売り切れる。広告費をかけず、口コミだけで人気店に成長した。ただ、これまでには「地獄のような、赤字経営の日々があったんですよ」と笑う。

■目標に向かって

北海道の田舎町で、女手ひとつで育てられたという山崎さん。親戚に小さな会社の経営者が多かったこともあり、「経営」は身近な存在だった。また、「その夢を諦めた『父親』の影響もあった」と話す。子どものころから「経営者になるにはどうすればいいか」などと親戚じゅうに質問をして回ったという。

美容好きは中学生のころからで、「図書館でファッション雑誌を読みあさり、メイクの勉強をした」。当時夢中になったビジュアル系ロックバンドの「X JAPAN」が、海外進出に向け活動をする姿に「いつか、海外で活躍したい――」と自身の夢を重ね合わせた。

「美容の世界で経営者に、いずれは海外へ」。考えを巡らせながら、やりたいことをノートに書きだしたら、「時間がない」という結論に達した。

明確な目標が決まってからは、ゴールに向かい突き進む日々。高校生になると、マッサージやエステ関連のアルバイトに励み、卒業後は、母の願いに応えて保育の短大に進んだ。

驚くのは、短大在学中に起業した行動力だ。バイトで身につけたマッサージ技術を頼りに自ら温泉施設に飛び込みで回った。「他よりバックマージンを多く出す」と交渉し、ようやく1軒の施設から営業スペースを確保した。このサロンは、ベトナムで経営を始める直前まで続け、3店舗まで拡大させた。

短大を出てからは、「習得できたら次に」という具合に、美容関連の職を転々としながら一通りの業務を経験。そして、ビジネスパートナーと共にインドネシアとベトナムに進出を果たす。インドネシアでは技術指導をしながら、エステティシャンとして店に立った。ベトナム店のオープンから1年、日本で手掛けてきたサロンの売却資金で、ベトナム事業を買収。ついに夢が実現した――。

■美容をもっと身近な存在に

業績が黒字に転じたのは、オープンから4年後のこと。これまでを振り返り大変だったことを尋ねると、「スタッフの教育や管理」だと話す。今までに2度、店舗を移転。その度に賃上げ交渉のストライキが起こったという。常勤・非常勤合わせて10人の施術スタッフのうち、残ったのは2人だけ。スタッフの家族が店舗に乗り込んでくることもあったといい、「10年たっても慣れないですね」と苦笑い。

ほかにも、テナントオーナーから「3日以内の立ち退き」といった理不尽な通達を受けたり、輸入した商品が入ってこなかったりと、トラブルは絶えない。それでも、言葉の端々から逆境をどこか楽しんでいるようにさえ感じられる。今後は、店舗数の拡大よりも「化粧品や機器の開発・卸売りに力を注ぎたい」と目を輝かせた。

目下の目標は、「美容サロンとしてベトナム初の上場企業になること」。そこには、十分な技術や知識がないサロンの存在や、ライセンスを持たない違法営業などの実態を挙げる。上場企業が出ることで、「美容の地位が高まれば」と期待を込める。「誰もがレストランに行くような感覚で来てほしい――」。

最後に「将来の夢は?」という質問に「結婚!」と即答する山崎さん。その笑顔に、一女性としての姿が垣間見えた。(ベトナム版編集・尾崎由佳)


関連国・地域: ベトナム日本
関連業種: 医療・医薬品サービス社会・事件

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