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中印との関係構築を探る 日本の議員ら、フォーラムで討議

世界への影響力を増す大国、中国とインドに対して、日本はどのような関係を構築すべきか――。東京都内で17日、国会議員や官民代表を集めたフォーラムが開催された。日本の政府開発援助(ODA)のあり方や、日中印3カ国の安定が他のアジアに波及する効果などが討論された。

松川るい参議院議員(左)と竹本直一衆議院議員=17日、東京(NNA撮影)

松川るい参議院議員(左)と竹本直一衆議院議員=17日、東京(NNA撮影)

建設省(現・国土交通省)出身の竹本直一衆議院議員(自由民主党)は「ますます経済成長する中国の規模と実行スピードは無視できない」と最初にコメント。国際金融機関で中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関しても、なんらかの形で日本が参加し、日中が良い関係を構築すべきだと話した。

竹本氏はまた「日本は中国に対し約3兆円のODAを供与しながらも感謝されなかった。このため、小泉政権(2001~06年)が、外交方針を中国からインド重視へと大転換させたことは大きな成果だった」と述べた。日印関係の強化は、アジアで結束しようとする時に、大きな効果があるという。日本と中国の1対1の話し合いは難しいため、米国が入ることでバランスが保てていた日本のアジア外交が、日本とインドが友好関係を構築することで、(米国の後ろ盾がなくても)アジア内で解決できる道筋ができた、と話す。

■新幹線は過剰な技術?

中国企業連合会専務理事で北京如水慧企業管理諮詢董事長の景文学氏は、「中国の経済発展は日本のODAや投資、貿易、民間交流と切り離せない」と中国の発展の原動力が日本にあると指摘した。

一方、日印包括的パートナーシップ代表のサンジーブ・スィンハ代表は、「インドでは日本の投資や支援は進んだものの、中国の事例と比べると、その効果は限定的になっている」との慎重な見方だ。その理由として、日本企業が事業参加に積極的ではなく、事業の継続性が保証されないと指摘する。ニューデリーの地下鉄事業では、円借款で建設や人材育成を行ったにも関わらず、車両は韓国製ばかりで、日本企業の納入はない。このため、韓国の援助と誤解している市民が多い。新幹線計画についても、30~50年後を見据えず、「インドに時速300キロは不要」との誤った見方もあると指摘する。

竹本氏も「インドは毎年3千万人の新生児が生まれるが、1年以内に180万人が亡くなるほど、医療衛生システムが遅れている」と述べ、「日本の高度技術とインドの生活水準がマッチするかを考える必要がある」と話す。

日印包括的パートナーシップのサンジーブ・スィンハ代表(左)と中国企業連合会専務理事の景文学氏=17日、東京(NNA撮影)

日印包括的パートナーシップのサンジーブ・スィンハ代表(左)と中国企業連合会専務理事の景文学氏=17日、東京(NNA撮影)

サンジーブ氏はインド西部ムンバイとアーメダバードの500キロを結ぶ高速鉄道(新幹線)事業に精通している。総事業費は1兆1,000億ルピー(約1兆8,000億円)で、このうちの81%が円借款で賄われる予定だ。償還期間が50年で金利は0.1%。しかし、サンジーブ氏によると、インドの野党は「いくら低利融資とはいえ、借金は借金だ」と反発。「日本はお金を貸して技術を売ろうとしている」というメディアの論調も目立つという。

このためサンジーブ氏は、「今後の大型インフラ事業は借款ではなく、株式投資(エクイティ)としてできないか」と提案する。

また、日本企業が、鉄道車両を含めた円借款大型案件に応札しないケースが多いことを問題視する。「常に長期的な視点で、ライフサイクルコストを考え、低金利の資金を提供できるのは日本だけだ。しかし日本企業が入らなければ、事業を長期視点で考えるのは難しい」と話す。

■3国の安定、ASEANの発展に

外務省出身の松川るい参議院議員(自民党)は、文明観と安全保障に関して切り出した。日中や中印と異なり、日印間には領土問題は存在せず、南シナ海を含むシーレーン(海上交通路)確保では補完関係となる。しかし、日本の国内総生産(GDP)の2倍以上となった大国・中国を一方的に敵視するのではなく、中国との「均衡点」をみつけるべきだ、と述べた。松川氏は「安全保障では一歩も譲れない。しかし、経済面でイノベーションが進む中国とインドから、良いことは率直に学ぶべきだ」と話す。

30年頃までにはGDPでインドが日本を追い抜き3位に躍り出るほか、中国も米国と拮抗する。松川氏は「日中印3カ国の組み合わせは、文明間対話の側面がある」とも指摘。

「世界を10年単位で見るのか、30年、50年単位で見るべきなのか。政治的な緊張関係があることは認めつつも、より建設的で多層的な関係を大国間で形成しておくべきだ」と話す。

松川氏また、「日中印が緊張関係がありつつも安定すれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)が利益を享受し、この地域が一体的に発展する。特にインドシナ半島は、放っておけば中国の影響下にある。これをより開かれた地域とするためにも日中印の安定が必要だ」と強調する。

フォーラムは一般社団法人、日本みらい研(東京・千代田区)が主催し、衆議院第一議員会館で開催された。


関連国・地域: 中国ベトナムシンガポールフィリピンインド日本
関連業種: 運輸マクロ・統計・その他経済政治

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