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【アジアに行くならこれを読め!】『北京スケッチ』

著者は共同通信社の上海支局長、中国総局長などを務めた中国報道のベテラン記者。本書は2013~15年に同社のサイトで配信された連載をまとめたルポタージュで、大都市・北京の市井の人々の姿を丹念な取材であぶりだしている。

一人っ子政策の犠牲者ともいえる無戸籍の女性、出稼ぎの親と離れて暮らす留守児童など、中国特有の構造が生んだ社会問題に驚かせられる一方、ライフワークバランスに悩む子育てママ、就活難を嘆く大学生など、日本と変わらぬ姿もある。

普段のニュースで「大国」というキーワードで報じられる中国は、概してものものしく、“相容れることができない隣国”とさえ感じることもしばしば。しかし、本書に登場するあえぎながらも日々を懸命に生き抜こうとする人々の生き様には、むしろ親近感を覚える。

「とげとげしさを増す日中関係の中で、等身大の相手を見る意欲を失ってしまったのではないか。(中略)まずは、相手の状況を知ることだろう。普通の人々の悩みや希望が、国によってそれほど違うことはないはずだ」とあとがきで著者は訴える。

中国総局所属のカメラマンによるモノクロ写真も秀逸で、鋭い描写で主題にぐいぐいと迫るルポにインパクトを添える。近くて遠い国と評される中国だが、本書を読めば心理的距離はぐっと縮まるはずだ。

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『北京スケッチ』

渡辺陽介 明石書店

2017年11月発行 1,700円+税

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未来に向かって進もうとする若者の夢が、日本と中国でそれほど異なるわけがない。(本書より)

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≪目次のぞき見≫

不正義と闘う人たち

性革命と多様性

嫌いだけど好きな日本

女性は天の半分を支える

頑張る子どもたち

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渡辺陽介(わたなべ・ようすけ)

1959年新潟生まれ。上智大学卒業。83年共同通信社入社。94~96年上海支局長、96~97年香港支局員、2000~04年ワシントン支局員、04~08年中国総局長、10~12年外信部長。整理部長などを経て、13年から16年まで中国総局長。編集委員兼論説委員を経て17年から編集局次長。

※特集「アジアに行くならこれを読め!」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2018年2月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 中国-全国日本
関連業種: 社会・事件

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