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【アジア業界地図】自動車(東アジア編)

目まぐるしく変化し続けるアジア。NNAはその変化を捉えるべく、各国・地域の経済・ビジネスニュースを毎日、伝えている。新年第1号となる今月のNNAカンパサールでは、その市場を一度、俯瞰(ふかん)してみる。それぞれの市場の特徴は何か。どんな局面にあるのか。そこにはどんなプレーヤーがいるのか——。新しい年を迎えたいま、アジアの業界地図を眺めながら次なる変化に備えよう。

第1弾は、関連産業の裾野が広く、製造業の中心を担う自動車産業。世界で「電気自動車(EV)シフト」が加速する中、いま一度アジアの自動車市場のポイントをおさらいしよう。各地のNNA記者の総力取材をもとに、東アジア編とASEAN&インド編に分けてお伝えする。

<東アジア自動車市場のポイント>

●世界最大市場の中国が19年から環境規制を実施。自動車のメーカーや輸入企業に対して一定比率の新エネルギー車を取り扱うよう義務づける

●かつて「日本車キラー」と呼ばれた韓国の現代自動車は世界で販売が不振

●市場がほぼ頭打ちの台湾では輸入車の比率が拡大

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【中国】

中国の2016年の新車販売台数は2,802万8,000台で過去最高を更新、8年連続で世界一を記録した。17年は4、5月の販売台数が単月で前年同月を下回ったが、その後6~10月は連続でプラス成長を維持。同年1~10月は前年同期比4.1%増の2,292万7,100台となっている。中国自動車工業協会の董揚常務副会長は、中国の自動車市場は当面、年間7%前後の成長が続くと見込んでいる。

16年から延長された、小排気量(1600CC以下)乗用車への減税措置は17年末で終了。ただ、政府系シンクタンクである国家情報センター情報産業発展部の劉明副主任は「18年の自動車市場への影響はさほど大きくはならない」との認識を示している。

■19年から環境規制

中国政府は17年9月末、乗用車の製造企業または輸入企業に対し、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など、一定比率の新エネルギー車(NEV)を取り扱うよう義務付ける規定を発表した。NEVの種類や性能によって「クレジット」を与え、定められた比率に対する過不足を市場で取引できる制度を導入。19年から実施する。初年度となる19年は、ガソリン車とディーゼル車の生産台数または輸入台数の10%に当たるクレジットを獲得するよう義務付ける。

現在、中国のガソリン車市場では外資系が強いが、NEVではEV大手の比亜迪(BYD)などの地場企業がリードする。日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部・中国北アジア課の島田英樹・課長代理は、「現在の状況下では、日系を含めた外資系にとってNEV比率の達成は高いハードルになる」とみている。

また中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行業監督管理委員会も、自動車ローンに関する政策を18年1月1日から変更すると発表。NEVに対し、石油燃料車よりも少ない頭金比率でローンを組めるようにする。自動車販売に占めるNEVの比率の上昇といった市場の変化は18~19年にかけて表れるとみられ、日系企業の対応を含め、注目が集まっている。

■3社の統合観測

17年夏、中国第一汽車集団(一汽集団)と、重慶長安汽車(長安汽車)の親会社のトップ交代の人事が決まったことを受け、一汽集団、長安汽車、東風汽車公司の国有大手3社が合併するとの観測が浮上した。経営統合が実現すれば、年間の生産・販売台数がそれぞれ1,000万台を超える巨大自動車メーカーが誕生することになる。

中国政府は14年以降、国有企業改革の一環として同業国有企業の合併・再編を進め、鉄道車両大手や鉄鋼大手などの合併が既に実施されている。

ジェトロの島田氏は「3社は同年12月1日には包括的な戦略提携を締結した。今後、研究開発や調達、生産、販売の各面などが進む」と指摘。NEVへのシフトや新興国など国外への輸出を目指す中で、技術や資本の統合は効率化や競争力の強化につながるため、「再編へ向けた布石となる可能性がある」との見方を示している。

■NEV、2020年に200万台

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のEVの累計販売台数は16年に200万台に達し、国別では中国が全体の40%以上を占めた。

中国自動車工業協会によると、17年1~10月に中国で販売されたNEVは前年同期比45.4%増の49万台。うち、EVは55.9%増の40万2,000台、PHVは11.2%増の8万8,000台だった。同協会は、NEVの年間販売台数は20年に200万台に達すると予測している。

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【韓国】

17年は内需に力強さが欠け、韓国の新車販売台数は前年並みの水準にとどまった。ただ、車種別では現代自動車の「コナ」や双竜自動車の「ティボリ」など小型スポーツタイプ多目的車(SUV)が人気を集めた。

18年も個人消費の大幅な改善は見込めず、例年と同水準の180万~190万台になるとみられる。かつて「日本車キラー」と呼ばれた現代自は世界販売で苦戦。現代自と同社子会社の起亜自動車は、17年の世界での合計販売が目標の825万台を大きく下回ったもよう。主力市場である中国と米国で販売が振るわないほか、韓国国内でも労働組合のストライキなどが影響した。

16年に韓国で販売されたEVの台数は初めて年間1万台を突破。現代自の「アイオニック・エレクトリック」がけん引した。18年に韓国で発売されるEVの新車は13~14車種前後となる見通し。

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【台湾】

自動車市場はほぼ頭打ちで、17年の販売台数は16年比で微増の44万台となったとみられる。一般市民レベルで景気回復が実感されていないこともあり、18年も販売は伸び悩みそうだ。

台湾元高効果や一部富裕層の高級車志向もあって輸入車のシェアが拡大しており、現状の勢いが続けばシェアが過半数に迫る可能性もある。ブランド別では日系が圧倒するが、トップのトヨタが17年11月時点でシェア3割を切る一方、ホンダがSUV人気に乗ってシェアを拡大するなど、勢力図に変化の兆しも。

※特集「アジア業界地図」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2018年1月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 中国台湾韓国日本
関連業種: 自動車・二輪車マクロ・統計・その他経済

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