日本初、食品の輸出商談会が開催

日本で初めてとなる食品の輸出に特化した海外バイヤー向け商談会が、千葉市の幕張メッセで始まった。11日からの3日間で、世界66カ国1,500人の招待客を含め6,000人以上の参加を見込む。海外での健康志向による和食ブームもあり、会場は多くの外国人バイヤーで賑わった。「これから輸出を始めたい」という日本の事業者にもチャンスが広がっているようだ。

300社が出展した「“日本の食品”輸出EXPO」の会場=11日、千葉市(NNA撮影)

300社が出展した「“日本の食品”輸出EXPO」の会場=11日、千葉市(NNA撮影)

「“日本の食品”輸出EXPO」と題した商談会は、農林水産省が1年前、リードエグジビションジャパンに提案し、実現した。入場者は海外のバイヤーや日本の輸出企業に限定。出展企業は日本米や食肉、飲料など食品関連の約300社だ。

日本初の輸出に特化した食品商談会だが、出展企業やバイヤーの評価は高かった。米国から来たバイヤーは、「日本の多様な食品類を比較吟味できるチャンスは初めて」と喜ぶ。どのブースも中国語や英語が堪能なスタッフを配置し万全の体制。英語で試食を勧める出展企業も、一様に「反応が良い」「商談で手応えがあった」と話す。

■健康的なコメで勝負、ニッチ・ストーリー性も

「和食=健康食」のイメージは海外でも定着。一方で、海外への売り込みは日本企業間の競争だが、外国人からみたらどれも同じということになりかねず一工夫が必要だ。

そんな中で、ひときわ多くのバイヤーが訪れていたのは、精米機製造の東洋ライス(和歌山市)だ。ササニシキといった品種で勝負するのではなく、精米方法で差別化を図る。同社が売り出す「金芽米」の産地やブランドは複数。玄米の「健康成分」「うま味」を残しつつ精米された白米だ。ところが、玄米のような硬さはない。担当者は、「シンガポール政府から、安全で健康に良い食品・食材に与えられる『ヘルシアチョイス』に認定されたことから海外での関心が高い」と話す。中東の国営商社などとも商談をしたという。

コメ卸売りのムラセ(神奈川県横須賀市)は、米粉から製造した低グルテンの「ライスグラノーラ」を輸出する計画だ。味はメープル、きなこ、和風だしの3種。「グラノーラ=牛乳やヨーグルトで」という固定概念を覆し、「和風味グラノーラをおかゆやサラダにかけて」と提案する。同社営業担当の清水宜之氏は、「中国人は毎朝おかゆを食べるので、反応は上々。輸出のチャンスを増やしたい」と話す。

なれずし「平宗」ブランドの柿の葉ずし(奈良県天理市)も、商品の冷凍輸出に乗り出す。手を汚さずにつまめるため、パーティー向けにも需要があると見込む。今回は外国人向けに塩味を濃くしたり、ビーフを試食に出した。柿の葉ずしの平井孝典社長は、「外国人は、『これがスシ?』と驚いた反応をみせる。しかし、すしの起源は『なれずし』であり、奈良は1,300年の歴史を持つ日本最初の都であるといったストーリー性も盛り込んで売り込みたい」と話す。

一方で、日本でのブランド力を背景に売り込む企業も多数出展した。

日本酒の菊正宗酒造(神戸市)は、灘地区の同業大手と共に出展。菊正宗は輸出も長年手掛けており、主戦場は中国だ。海外事業部の王文長氏は、「訪日客増加に伴い日本酒ファンや、日本で菊正宗を飲んだ中国人が増えており、中国市場をさらに拡大したい」と意気込む。中国で売るにはブランドが大事で、「日本でも有名な菊正宗なら安心」という購買層が多いという。同社製品の「樽酒」は日本国内向けとは異なる容器やデザインで輸出。ラベルは英語・漢字に加え、ひらがなもまぜる。中国では、ひらがなが日本らしさを強調できるためだ。

「中国での販売は、日本でのブランド力が強み」と話す菊正宗酒造・海外事業部の王氏=11日、千葉市(NNA撮影)

「中国での販売は、日本でのブランド力が強み」と話す菊正宗酒造・海外事業部の王氏=11日、千葉市(NNA撮影)

■日本側で連携の課題も

各ブースの商談は熱を帯びていたが、課題もある。

「独占販売権を得られないか、と一方的に持ちかけられるケースもあり困惑している」と話す出展企業が複数あった。また、先の米国人バイヤーは、「焼酎は日本酒に比べてマイルドだ」と話し、焼酎が蒸留酒でアルコール度数が高く、日本酒が醸造酒であることを知らなかった。バイヤー向けには、会場内で昼食が振る舞われたが、日本食講座などは開催されていない。

会場内では、英語表記がない商品も目立った。一方で、「日本語だけの方が日本らしさをアピールできる」(ライスグラノーラを売り込むムラセの清水氏)との見方もある。

供給の課題も大きい。農林水産省担当者は、「リンゴやイチゴといった青果物の出荷は、旬の時期によって出荷する県を変更して供給を確保・定量化するなど、海外のバイヤー側が調達しやすいように産地間同士が組む必要ある」と指摘する。

昨年の日本の農林水産物・食品の輸出額は約7,500億円。同省は当初より1年前倒しの2019年に1兆円突破を目指す。

主催者のリードエグジビションジャパンによると、来年は2倍のスペースを確保し商談会を開催する予定だ。(遠藤堂太)


関連国・地域: 中国シンガポール日本中東
関連業種: 経済一般・統計食品・飲料農林・水産

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