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【アジア取材ノート】拡大するタイの日用消費財市場 メイソウとキャンドゥ、100店体制目指す

タイでキャンドゥを展開するECFのアラック社長

タイでキャンドゥを展開するECFのアラック社長

近年タイで急速に拡大する日用消費財(FMCG)市場。日本で100円ショップ3位のキャンドゥと中国資本の「MINISO名創優品(メイソウ)」は、いずれも約5年で100店舗体制を築く目標を掲げる。後発組と言える両社は、タイではまだ手に入れにくいアイデア商品などで中間層需要の開拓の余地はまだ大きいとみて、先行する競合を追い上げる。

(シンチャイ・プラサーンスックラープ、ピンディラー・ポムマラック=取材・写真)

タイのキャンドゥは、家具の製造販売を手掛ける地場のイーストコースト・ファニテック(ECF)の子会社、ECFホールディングスがフランチャイズ契約を交わして展開している。1号店は2015年12月にバンコク北郊パトゥムタニ県ランシットにある大型商業施設にオープン。現在はバンコク郊外に7店舗を構えている。

キャンドゥは、均一価格を前提に独創的で多様な商品を扱うのが特徴。ECFのアラック社長は、「100円ショップは日本の景気循環の後退局面で存在感を増したが、タイでは消費が拡大する中での新トレンドを求める潮流が成長の原動力となった」との見方を示す。キャンドゥでは、アップルコアラー(リンゴの芯のくりぬき器)など、タイではまだ珍しくユニークな商品の売れ行きが特に良く、今後も生活スタイルをより充実させる商品を投入していきたい考えだ。

キャンドゥを含め、タイでは輸入コストなどを盛り込んだ「60バーツ(約200円)均一」価格がスタンダードとなっているが、さらなる高価格帯を狙う均一ショップが増えている。

ECFのアラック社長はNNAに対し、「当社も60バーツを上回る価格帯の商品を取り扱えないか、キャンドゥと交渉をしている」と明らかにした。

■斬新さに強み

キャンドゥには、リンゴの芯のくりぬき器や、トウモロコシの粒を取るピーラー、卵のゆで具合を測れる「エッグタイマー」など、低価格でユニークな商品が並ぶ

キャンドゥには、リンゴの芯のくりぬき器や、トウモロコシの粒を取るピーラー、卵のゆで具合を測れる「エッグタイマー」など、低価格でユニークな商品が並ぶ

アラック社長によると、ECFがキャンドゥを出店した15年当初の均一ショップ市場は数社程度しか競合がなかったが、人口の増加や経済成長を背景とした需要拡大を受け、FMCGを扱うブランドや店舗の数は急速に増えた。

タイの均一ショップを含むFMCG市場の規模は12億~13億バーツで、新規チェーンの参入などから今年は5~10%成長するとみられている。

タイの均一ショップ市場で圧倒的なシェアを誇るのは、同国で「ダイソー」を10年以上展開する大創産業(広島県東広島市)で、アラック氏は「ダイソーは今でもタイのマーケットリーダーで、競合企業もダイソーほどパワフルではない」と話す。キャンドゥついては商品の多様さと斬新さが強みとみており、「ユニークな生活スタイルを演出できるようなデザインの商品や、スピード感のあるサービスを好むタイ人消費者の需要にかなっている」と自信を示す。

ECFが掲げる目標は、2020年に100店の達成。現在は主婦を主なターゲットとしているが、今後は東部チョンブリ県のシラチャー、パタヤなど地方の都市部にも店舗網を広げていきつつ、ファッション小物など若年層を引きつける商品も増やしていく方針だ。

日系では、ダイソーのほか、「こものや」や「得得屋」などの生活雑貨店が進出しており、バンコクでは既に競争が激しくなっている。アラック氏は「消費者にとって便利な場所に店舗があることが集客の基本」と語り、地方の未開拓地区を発掘していく意欲を示した。

■1年以内で20店

メイソウの店舗

メイソウの店舗

もう1社、タイの均一ショップ・FMCG市場で注目を浴びているのが中国資本のメイソウだ。

かつては「100%の日本ブランド」など実情とかい離した店内の掲示が日本でも話題になったメイソウ。13年の設立から現在までに日本を含む世界で1,000店以上を展開し、世界で最も速く成長しているアパレルのような印象とも言われる。

メイソウがタイに進出したのは16年後半。進出から1年未満の現在、既に約20店を展開しており、20年までには100店の大台に乗せる計画だ。

メイソウの国際事業を担うMINISOインターナショナルの担当者は、「タイは世界の主要な観光地であるとともに、現代的な小売業態の成長の余地が大きい新興国」と指摘。東南アジア諸国連合(ASEAN)市場取り込みの一環として同国事業を広げていく考えだ。

同チェーンの店頭に並ぶのは、衣料品や化粧品などのFMCGからヘッドホンやスピーカーといったものまで。価格帯は69~1,299バーツと幅広い。「『高品質』と『低価格』の両立」が大きな鍵となるとみて、毎週新商品を供給して目新しさを演出しつつ、タイ市場を開拓していく。

メイソウは20年までに世界全体の店舗数を現行の約2倍の6,000店舗とする方針を示している。ASEANはこのうち、1,000店舗となる予定という。

MINISOインターナショナルは今年3月、バンコクで総代理店向けセミナーを開催。同社の国際事業を取りまとめるビンセント・ファン氏は「今年はインドネシア、ドイツ、ブラジル、南アフリカ、エジプト、インドなどに店舗網を広げる」と語った。インドネシアでは2月に3店舗同時オープンして進出していた。

ダイソーやユニクロ、無印良品のブランディングの影響を受けたと考えられているメイソウの店舗。幅広い日用品や衣料品などを低価格で扱う

ダイソーやユニクロ、無印良品のブランディングの影響を受けたと考えられているメイソウの店舗。幅広い日用品や衣料品などを低価格で扱う

※特集「アジア取材ノート」は、アジア経済を観るNNAの新媒体「NNAカンパサール」2017年6月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。毎月1回掲載。


関連国・地域: 中国タイ日本
関連業種: 小売り・卸売りマクロ・統計・その他経済

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