千代田化工建設と三菱商事は20日、フィリピンの中部ビサヤ地方ボホール州で計画される新空港の建設事業を受注したと発表した。受注額は約110億円。2017年9月以降の完工を目指す。
フィリピンの運輸通信省から受注した。国際協力機構(JICA)による円借款で、日本タイドの本邦技術活用条件(STEP)で行う。入札には日本企業が複数参加したが、両社が建設を進めるモンゴルの新ウランバートル国際空港の実績などが評価された。
同事業ではボホール島の対岸にあるパングラオ島に、国際線にも対応可能な2,000メートル級の滑走路を建設。年間100万人の旅客に対応可能なターミナル施設や管制塔、エプロンなども整備する。
新空港では環境に配慮して太陽光発電システムや海洋汚染を防止するための濁水流出防止フィルターも設置する。来月初めに事業に着手し、17年9月以降の完工を目指す。
ボホール島は幻想的な景観の「チョコレート・ヒル」や世界最小のメガネザル「ターシャ」の生息地として知られる。運輸通信省によると、州都タグビララン市にある国内線専用の既存空港の年間旅客数は08~13年に年平均14.6%のペースで増加。13年には約79万人が利用した。
今後も旅客数の伸びが見込まれる中、旅客処理能力は限界に達しているのが現状だが、航空機の進入経路に山があり、大規模な用地取得や住民移転など環境社会面から同空港では拡張が難しい状況となっていた。
■運営入札の参加も検討
新ボホール空港は、フィリピン政府が計画する官民パートナーシップ(PPP)の運営・管理(O&M)入札の対象にもなっている。事業費は23億4,000万ペソ(約63億640万円)。三菱商事の担当者は、NNAに対して、同事業についても入札を検討していると話した。
PPP事業を管轄する国家経済開発庁(NEDA)傘下のPPPセンターは先に、新ボホール空港を含む地方5空港の開発およびO&M事業入札に関する概要を発表。来年3月までに落札業者を決定する方針を明らかにしている。
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