• 印刷する

住商、食品スーパー本格展開 6年でハノイに50店、イオン追う

住友商事はベトナムの首都ハノイで食品スーパーの本格展開に乗り出す。地場複合企業BRGグループと合弁で運営する「フジマート」の店舗を2028年までに50カ所に増やし、売上高を300億円規模に引き上げる。ベトナムでは各地の伝統的な市場が市民の食材調達の主流だが、新型コロナウイルスの流行で食の安全意識が高まり、衛生管理を徹底した店舗が見直されつつある。住友商事は、不動産開発に強みがあるBRGとの協力をてこに候補地の確保を急ぎ、日系で先行するイオングループなどを追う。

住友商事がBRGと合弁で運営する「フジマート」の店内(同社提供)

住友商事がBRGと合弁で運営する「フジマート」の店内(同社提供)

住友商事は24日、ハノイでBRGと共同で記者会見し、フジマートの出店拡大方針を発表した。現在、市内に3店舗を出店しているが、今後6年で北部周辺省を含めて一気に50店舗まで増やす。

フジマートの一松恵介社長はNNAの取材に対し「これまでのパイロット事業を通じて、食の安全に対する市民の意識が変わりつつあることが分かった。日本式スーパーの成長の余地は大きい」と語った。日本の首都圏で展開するスーパー「サミット」の運営で培った食の安全を重視した店舗運営で地場小売店との差別化を図る方針だ。

店舗は広さ約1,000平方メートル前後の中型店とする。1,500~2,000平方メートルが主流のサミットより一回り小さいが、十分なバイクの駐車スペースを確保し、市民のニーズに対応する。年齢層や世帯構成にかかわらず幅広いベトナム人に利用してもらえる店舗にするという。

■まずは北部に軸足

住友商事は、18年にBRGと共同でフジマートの1号店をハノイにオープンした。現在は3店舗を運営し、ベトナムの小売市場で事業拡大余地を見極めてきた。

一松氏は、南部ホーチミン市では小売市場が比較的成熟し競合店舗も多い一方で、ハノイは伝統的な屋台や市場も多く、今後伸びていく市場だと分析し、「まずはハノイ市のメインプレーヤーになっていきたい」と意欲をのぞかせた。

現在ハノイ市の小売りスーパーで高いシェアを占めるのは地場コングロマリット(複合企業)マサン・グループ傘下の流通大手ウィンコマースが運営する「ウィンマート」「ウィンマート・プラス」だ。ベトナムで市場調査などを手掛けるアジアプラス(Asia Plus、東京都世田谷区)の昨年4月の発表によると、ハノイ市ではそれぞれスーパーの約5割、コンビニエンスストア・小型スーパーの約7割のシェアを占めた。

ベトナムでは、食品メーカーや農家と小売店をつなぐサプライチェーン(供給網)が発達しておらず、日本のように商品の一括注文や納品を請け負う大手卸売業者が育っていない。コールドチェーン(低温物流)も未発達で、入荷した段階で商品が傷んでいることもあるという。

一松氏は、地場スーパーでは一部の力を持つサプライヤーのブランドが陳列棚を占領していることが少なくないと説明した上で、フジマートでは非効率でも何百社のサプライヤーに1件ずつ注文を入れ、消費者が複数の商品・ブランドから選択できるよう商品を陳列していると語った。

入荷段階で傷んでいる商品は廃棄し、地場スーパーで常温で陳列されることが多い野菜や果物も、冷蔵が必要なものは冷蔵ケースに入れて販売していると地場系スーパーと日系スーパーの違いを強調した。

■イオンは南部でも拡大

ベトナムの食品流通市場で、いち早く出店拡大に乗り出したのは流通大手のイオングループだ。同社は25年までに食品スーパーの「マックスバリュ」を約100店出店する計画を進めており、テト(旧正月)を前にハノイ市で3店舗をオープンさせた。

日本の「マックスバリュエクスプレス」に当たる小型スーパーの事業形態で、面積約300平方メートル前後の店舗を展開する。100平方メートル以下が普通の日本のコンビニエンスストアの3倍強の広さだ。

同社は高層マンションの1階や、工業団地など人の往来が多いエリアに出店し、マンションの単身世帯のベトナム人や近隣の住民を対象に食品・生活用品を提供している。

イオングループの広報担当者は「ハノイでは大型の都市開発プロジェクトが多く、地方からの人口流入による小売市場の拡大が見込まれる」としており、今後もハノイ周辺での出店を加速させる構えだ。

同社は14年に、地場大手スーパーのシティマートを運営していた流通大手ドンフン社と提携し、合弁のスーパー「イオンシティマート」を展開。ホーチミン市には16店舗を出店しており、南部でも事業を拡大している。

■「中食」重視は共通

イオンと住友商事は、ベトナムでまだ一般的でない「中食」を重視している点でも共通する。イオンの「マックスバリュ」は焼きたてパンや当日調理のすし・弁当・おにぎりなど鮮度にこだわった商品を販売。「フジマート」は中食コーナーを目につきやすい売り場の入り口付近に配置し、廉価で家族向けの惣菜などを提供している。日本では単身者や共働き世帯の増加ともに需要が拡大した経緯があり、今後はベトナムでも伸びしろがあるとみている。

フジマートの一松氏は「先行する日系スーパーの店舗戦略は当社も意識している」と説明した。日系の存在感が薄いベトナム小売市場で、両社が高品質を競いながらシェア拡大を目指す格好になる。

「フジマート」店内で日本人スーパーバイザーが現地スタッフに指導する様子(同社提供)

「フジマート」店内で日本人スーパーバイザーが現地スタッフに指導する様子(同社提供)


関連国・地域: ベトナム日本
関連業種: 食品・飲料小売り・卸売り

その他記事

すべての文頭を開く

鉄鋼価格、2カ月連続で下落 台湾系大手は15%、依然先安観(06/28)

カンボジアへ電力輸出、30年には6百万kW(06/28)

【日本の税務】海外赴任中の方へ贈与が行われる場合の課税関係(06/28)

ビンファスト、EVピックアップ投入も視野(06/28)

不動産融資規制強化へ通達起草、国家銀(06/28)

保険業の利益、2Qは減少=SSI予測(06/28)

工業団地の環境対応を指数化、計投省が検討(06/28)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

の記事は有料サービスご契約者様限定記事です。契約すると続きをお読みいただけます。契約されている方は、画面右側にある各種ログインからログインください。
無料トライアルはこちら
購読申し込みはこちら

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン