ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題に関する国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)の審理が、2月21日に再開されることが分かった。ミャンマー側からは、国軍が再編した法務チームが出廷する。ロイター通信が14日伝えた。
原告である西アフリカのガンビアのダウダ・ジャロー検事総長が「21日に(対面とオンラインによる)ハイブリッド形式で審理を開始する」と語った。ICJの広報官は、審理の日程を明らかにしていない。
ミャンマーの法務チームは、2021年2月のクーデターまでアウンサンスーチー氏が率いていたが、国軍がクーデター後に再編している。次回の審理では、新チームがICJの管轄権について異議を申し立てる方針だ。原告が主張しているジェノサイド(民族大量虐殺)の有無は、その後の審理で争われる予定だ。
■代表権の誇示を狙う
国軍が審理に応じる背景には、国際裁判への出廷を通じて代表権を示す狙いがあるとみられる。国軍は、クーデターで奪取した政権への国際的承認を求めている。
関係者によれば、国軍はICJの仮処分命令に基づく報告書も提出に応じている。仮処分命令は20年1月に発表され、ジェノサイドにつながる行為を停止するとともに、命令への取り組みに関する報告書を半年ごとに提出するようミャンマーに求めている。
裁判の原告であるガンビアは19年、イスラム協力機構(OIC)を代表してミャンマーを提訴した。ガンビアは、国軍などによるロヒンギャ迫害がジェノサイド条約に違反していると主張している。西部ラカイン州では17年に、70万人を超えるロヒンギャが迫害を恐れて隣国のバングラデシュへ流出した。
ジェノサイドの疑惑について、アウンサンスーチー氏は19年12月にICJの審理で、国軍はロヒンギャの武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)の掃討作戦を展開したと主張。ジェノサイドの意図やジェノサイド条約への違反はなかったと弁明していた。
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