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天津で工場停止相次ぐ ロームやトヨタなど、コロナ禍で

中国天津市にある日系企業の工場が停止に追い込まれている。トヨタ自動車や半導体のロームといった大手企業が工場の稼働を停止。同市で新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の国内感染者が出たことで、市が全市民対象のPCR検査に乗り出したことが背景にある。市は検査結果が出るまで市民の外出を制限しており、従業員の出勤が困難になっている。

トヨタが天津に持つ中国第一汽車集団との合弁、一汽豊田汽車(一汽トヨタ)の完成車工場は10日に稼働を停止し、13日も稼働が止まったままだ。

中国法人の広報担当者は、「天津での全市民のPCR検査などに伴う移動制限や仕入れ先の稼働状況などの影響を考慮した」と述べた。14日以降の稼働についても状況を見ながら判断するといい、再開時期のめどは付いていない。

ロームは、9日から天津工場の稼働を停止している。PCR検査に伴う移動制限に加え、当局からの指示で工場に立ち入ることができない状況という。

天津工場ではダイオードや半導体レーザーなどを生産する。稼働再開時期は未定だが、中国法人の広報担当は「在庫で対応しており、供給面での大きな影響はない」と説明した。

電子部品の北陸電気工業の天津工場は、8日午後から操業を停止。工場がある津南区は封鎖措置が取られており、従業員が出社できない状況で、再開のめどは立っていないという。

12日以降も自社工場の稼働を停止する日系メーカーが相次いでいる。

天津ではオミクロン株の感染者が確認されたことを受け、9日朝から全市民約1,400万人を対象にPCR検査が実施された。10日からは市民が市外へ出る場合に48時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示を義務付けた。

天津当局の12日の発表では、検査で77人から陽性反応が出た。12日正午からは全市民を対象に2巡目のPCR検査を始めている。市は市内の企業・機関に対し、12日午後を半日休暇とし従業員を自宅待機させるよう通知した。

PCR検査の結果が出るまでは外出が制限され、従業員が出社できないことから、どの企業も稼働を停止せざるを得ないのが現状のようだ。関係者によると、工場が多く集積する経済技術開発区を含む地区では、11日に市当局から地区封鎖を行う新たな通達があった。現時点では地区封鎖の解除条件や時期が明確になっておらず、「稼働停止の状況がしばらく続く可能性がある」との声もある。

工場以外にも影響が出ている。三菱UFJ銀行の中国子会社、MUFGバンク(中国)の天津支店は13日、全市民向けPCR検査の影響で窓口業務を休業した。天津に営業拠点を持つ日系企業では在宅勤務に移行した企業も出始めており、経済活動への影響が広がっている。

■市民生活に影響も

一斉PCR検査は市民生活にも影響している。

天津市内で働く日本人は13日、「市中心部ではPCR検査にかなり時間を要する場所もあると聞いている。検査の結果が出るまでは基本的に外出ができなくなっており、買い物はネットを通じて注文し、居住地の入り口まで配達してもらうような状況だ」と話す。

別の日本人は「13日に2回目のPCR検査を受けてきた。1回目はシステムの故障があり待たされたが、今回は20分ほどで終わった」と話した。「なるべく外出しないようにと言われているが、午前中には野菜を買いに出かけることができた」といい、外出制限には地域ごとに差があるようだ。

天津市当局は13日、一般人が封鎖管理中の地域に地域外から物資を輸送することを禁止すると通達した。感染が広がっている地域の人の移動を最小限に抑え、感染拡大のリスクを減らすための措置。政府が定めるリスク地域で自宅隔離中の人に、親戚や友人が物資を運んだり、人と接触したりしないよう求めた。

天津市は、感染者が出た津南区、河西区、西青区を対象に、新型コロナの感染が収まるまで移動を減らし、自宅勤務とするよう奨励。美容院や映画館、ジムなどの娯楽施設は営業を停止する。同市寧河区も13日、映画館や劇場、カラオケなどの営業を停止するよう通達した。地元メディアによると、南開区や東麗区でも同様の通知が出ている。

■大連にも飛び火

感染は他地域にも飛び火している。

大連市は12日、陽性者のうち1人がオミクロン株に感染していることを確認したと発表した。天津や河南省安陽市で見つかったオミクロン株と同じウイルスである可能性が高いという。

天津に隣接する北京市は冬季五輪の開幕を目前に控え、感染の波及に警戒感を強めている。北京は人の流入を厳格に制限する措置を実施。市は市民に天津との往来を避け、両市を往来する通勤者には自宅で勤務するよう呼び掛けている。

■4省市で124人

中国は徹底的な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策をとるが、足元では感染拡大が止まらない。

中国国家衛生健康委員会は13日、新型コロナウイルスの新たな感染者を12日に190人確認したと発表した。このうち中国本土で感染した「国内症例」は河南省と天津市を中心に4省・直轄市で124人だった。

地域別の国内症例は、河南省が76人(安陽市43人、許昌市28人、鄭州市3人、信陽市1人、滑県1人)、天津市が41人(津南区40人、河西区1人)、陝西省西安市が6人、広東省深セン市が1人。

海外から入国後に感染が確認された「輸入症例」は66人。地域別では上海市が31人、広東省が17人、天津市が6人、福建省が5人、浙江省が4人、広西チワン族自治区が2人、北京市が1人だった。

累計感染者数は13日午前0時時点で10万4,379人となった。12日に死者は報告されておらず、累計死者数は変わらず4,636人。

感染者の統計に含まれない無症状感染者は12日に31人確認され、うち国内症例は天津市津南区が5人、遼寧省大連市が2人、広東省深セン市が1人、雲南省徳宏タイ族チンポー族自治州が1人の計9人。輸入症例は22人だった。

新型コロナウイルスワクチンの中国本土の累計接種回数は12日までに29億1,824万9,000回となった。

■高リスク地域は増減なし

中国当局によると、新型コロナの感染リスクが「高リスク」に指定されている国内の地域は13日午後3時時点で20カ所。12日午後3時時点から変わらずだった。内訳は河南省許昌市が12カ所、安陽市が2カ所、陝西省西安市が3カ所、天津市津南区が3カ所。

「中リスク」地域は66カ所で、8カ所減った。内訳は陝西省西安市が37カ所、河南省鄭州市が10カ所、安陽市が5カ所、洛陽市が2カ所、許昌市が1カ所、天津市が5カ所(津南区)、浙江省寧波市が2カ所、金華市が2カ所、広東省深セン市が2カ所(竜崗区)だった。陝西省延安市の8カ所が外れた。

天津市では変異株オミクロン株の感染が確認され、市民約1,400万人を対象にした2巡目のPCR検査を始めるなど感染対策を強化している=9日(新華社)

天津市では変異株オミクロン株の感染が確認され、市民約1,400万人を対象にした2巡目のPCR検査を始めるなど感染対策を強化している=9日(新華社)


関連国・地域: 中国-全国日本
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