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印に初の半導体工場設立を推進 ベダンタ、傘下の日系企業通じ

インド国内外で事業を展開する英系金属・天然資源大手ベダンタ・グループが、傘下のアヴァンストレート(東京都品川区)を通じて、インドに半導体工場を建設する計画を推進している。現地には商用の大きな半導体生産拠点がなく、工場設立はインドの悲願だ。アヴァンストレートでマネージング・ディレクターを務めるアカーシュ・K・ヘバー氏はNNAの単独インタビューに応じ、インド初となる半導体工場の設立に強い意欲を見せた。

オンラインインタビューで半導体事業のビジョンを話すアカーシュ・K・ヘバー氏(NNA撮影)

オンラインインタビューで半導体事業のビジョンを話すアカーシュ・K・ヘバー氏(NNA撮影)

――ベダンタグループが、傘下のアヴァンストレートを通じて液晶モジュールと液晶ガラス基板の工場のほか、半導体製造工場を設立する計画だと聞いた。具体的にどのような内容か。

グループ全体で150億米ドル(約1兆7,200億円)規模の投資額を考えている。第1段階として、液晶関連工場と半導体製造工場の建設に50億米ドルずつを投じる。さらに、液晶関連には50億米ドルを追加投資する計画だ。工場用地の取得に向けては、西部のグジャラート州やマハラシュトラ州など複数の州と交渉を進めている。1年かけて各州で事業のフィージビリティー(実行可能性)調査も行った。

――工場の敷地面積は。また、着工はいつごろを予定しているか。

2つの工場を合わせて600エーカー(約2.4平方キロメートル)ほどとなるだろう。第1段階では、250~300エーカーは必要だ。着工時期は2025年か26年を考えているが、可能ならば前倒ししたい。

■インドではパネルも生産

――アヴァンストレートがインドに工場を建設すれば、同社にとって韓国と台湾に次いで3カ所目の生産拠点となる。

液晶ディスプレーパネルの生産効率を向上させるためには、1枚の大きなガラス基板から複数枚のパネルを取り出さなければならない。そのためには大規模なガラスの溶解炉などが必要だ。原料となるガラス組成の開発などにも高度な技術やノウハウが求められる。現在、液晶用ガラス基板を量産できるのは、アヴァンストレートを含めて世界に4社しかなく、インドは、液晶用ガラス基板の技術と製造拠点を持つ世界で5番目の国となるだろう。ガラスパネルも製造する工場を建設する予定で、現在、日本や韓国、台湾のパネルメーカーなどと提携に向けて協議中だ。近日中に正式な発表があるだろう。

――インドのディスプレー市場規模は。

現在、80億米ドル規模で、5年以内に120億米ドル規模に達する見通しだ。ガラス基板を用いて製造される液晶ディスプレーパネルは、液晶テレビやパソコン(PC)用液晶モニターなどに使用される。われわれは特に、中低価格帯のスマートフォン向けに力を入れていきたい。

■ファウンドリー事業進出を模索

――半導体事業はどのような計画か。

半導体事業にもアヴァンストレートを通じて進出する。インドでは、半導体のファウンドリー(受託製造)を行う考えだ。回路線幅が28ナノ(ナノは10億分の1)メートルか、それよりも古い「レガシー技術」を使って、自動車用や産業用の半導体を製造する。最先端の3ナノや5ナノ製品はインド市場では需要がない。月産能力は、ウエハー換算で4万枚規模となるだろう。最終的には8万枚まで拡大したいと思っている。しかし、液晶と違って、インドで半導体製造工場を作るには技術力を持った企業との提携が必要になってくる。現在は、各社と交渉を進めているところだ。ウエハーのサイズが直径300ミリメートルになるか、同200ミリメートルになるかは提携先次第だ。インドの半導体の市場規模は現在200億米ドル規模で、27年までには500億米ドルまで拡大するだろう。

――半導体の後工程はどうするのか。

われわれは、「OSAT」と呼ばれる半導体の後工程請負会社もインドに設立する考えだ。投資額は2億5,000万~3億米ドル程度と、投資額全体に占める割合は大きくない。設計を含め、インドに半導体産業のエコシステム(生態系)を構築していきたい。

――半導体のサプライチェーン(調達・供給網)の構築は簡単ではない。

1年かけて交渉してきた結果、現在、海外の100社以上の企業から、半導体の製造に必要な材料や部品を調達できるめどが立っている。うち6~7割が日本企業だ。もちろん、国内での調達も考えている。

――インドはこれまで半導体工場の誘致を何度か試みたが、うまくいかなかった。

状況は昔と変わってきている。何よりもインフラ環境が大きく改善された。候補地の1つであるグジャラート州は水や電力、ガスの調達は全く問題ない。インド政府が打ち出した大型支援策も大きい。工場の建設費用の5割は政府が負担してくれる。さらに、15~25%の補助金を提示する州もある。

人材の育成にも大きな課題があることは十分承知している。しかし、われわれはベダンタ・グループ全体で約25万人のエンジニアを擁しており、そのうちの1,000人くらいはいつでもパートナー企業に送って訓練を受けさせることができる。また、地元の機関が立ち上げようとしている研究開発(R&D)拠点を活用することも考えている。半導体製造工場の建設はインドの悲願だ。必ず成功させたい。(聞き手=坂部哲生、Atul Ranjan)

<メモ>

ベダンタグループ:

会長は英国を拠点とする在外インド人で、天然資源大手ベダンタ・リソーシズ会長のアニル・アガルワル氏。インド国内外で、石油・天然ガス、銅、アルミニウム、鉛・亜鉛といった分野で事業を展開している。アヴァンストレートの取締役のアカーシュ・K・ヘバー氏は、アガルワル氏の娘婿。

アヴァンストレート:

日本板硝子とHOYAの合弁会社として1991年5月に設立。08年に米投資ファンド、カーライル・グループ傘下に入る。08年に社名をNHテクノグラスからアヴァンストレートに変更。17年12月にカーライル・グループがベダンタ・グループに保有株式を譲渡した。


関連国・地域: 台湾韓国インド日本
関連業種: 自動車・二輪車電機その他製造IT・通信マクロ・統計・その他経済

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