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「軍のビール」店から消える 消費者に拒否感、不買が拡大

軍事クーデターへの抗議が続くミャンマーで、国軍系企業の手掛けるブランドの不買運動が拡大している。最大都市ヤンゴンの小売店の大半では、最も市民に浸透していた国軍系複合企業のビール銘柄「ミャンマービール」が棚から消えた。一方、市民団体によると、人権擁護の観点からクーデター後の事業環境に懸念を表明する国内外の企業は、80社を超えた。

「ミャンマービール」のロゴを掲げた、閉鎖中の飲食店=24日、ヤンゴン(NNA)

「ミャンマービール」のロゴを掲げた、閉鎖中の飲食店=24日、ヤンゴン(NNA)

クーデターに反発する国民が主に標的にしているブランドは、国軍系複合企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)傘下の「ミャンマー・ブルワリー(MBL)」が生産するビールの全銘柄、「ロスマンズ・オブ・ポール・モール」のたばこ「レッドルビー」など10種余りの商品やブランドとなる。MBLとロスマンズ・オブ・ポール・モールはともに業界最大手。

国内ビール市場シェア8割のMBLは、キリンホールディングス(HD)とMEHLの合弁会社だが、キリンHDは今月5日に合弁提携を解消する方針を発表した。

市場を席巻していたMBLの看板銘柄「ミャンマービール」は2月初旬以降、個人経営の小売店や飲食店から消え始め、スーパーマーケットなどを展開する地場流通大手シティマート・ホールディング(CMHL)、タイの大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下の卸売業者、サイアム・マクロが運営する大型店からも、撤去された。

ヤンゴンのインテリアデザイナー、アウン・モーさん(38)は、「味も良く、最も手に入れやすいミャンマービールを飲み続けてきたが、ボイコットすることにした。友人にも不買を呼び掛けている」と話した。

中間層の若者向けに日本風フュージョン料理を出すヤンゴンの飲食店「チリ」も、今月5日からMBLのビールをメニューから外し、ハイネケンなど他ブランドに切り替えた。経営者のミャンマー人男性、プン・シアン・リアンさん(37)は「不買をアピールすることで客が来てくれる。MBLにとって効果的な社会的制裁になるはずだ」と言う。寿司なども提供する同店では、日本のビールが人気だった。そのため、キリンが日本ブランドの価値を前面に打ち出してMBLで生産している高価格帯ビール「一番搾り(KIRIN ICHIBAN)」については、今後の動向を見て取り扱いを決める予定だ。

外国企業との合弁では、ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)が出資する携帯電話サービス「マイテル(Mytel)」もボイコットに遭い、全店が閉鎖中だ。

MBLの銘柄が全て撤去されたビール売り場=24日、ヤンゴン(NNA)

MBLの銘柄が全て撤去されたビール売り場=24日、ヤンゴン(NNA)

■市民団体の署名に85社

ミャンマー企業の監視と社会的責任(CSR)促進を目的とした英系団体「責任ある事業のためのミャンマー・センター(MCRB)」が取りまとめ役となり作成した、クーデター発生後の事業環境を懸念する声明には23日までに、85社が署名した。ミャンマーに工場がある米コカ・コーラ、スウェーデンの衣料品大手H&Mなど22社の外資企業が含まれる。5日前の19日には多国籍企業12社が署名していたが、急増した。

声明では、今後も人権を尊重した運営を確約するとした上で、ミャンマー国民の意思を尊重して事態を解決するよう求めている。地元企業では、流通大手のCMHL、国内で米ファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」など飲食店をチェーン展開する地場財閥ヨマ・グループ、民間最大手のカンボーザ(KBZ)銀行などが名を連ねた。

国内では24日も、抗議デモと同時に医療従事者や公務員などが業務を放棄する市民不服従運動(CDM)が続いた。銀行業務はオンラインシステムを除き、ほぼ停止したままだ。

国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官は22日午前に開いた、最高意思決定機関「国家統治評議会」(SAC)の会合で、CDMに賛同して出勤しない公務員に対し厳しい措置を取る方針をあらためて表明。「国家の損失を回避するため抗議している人を説得し、正しい軌道に戻す必要がある」と述べた。

経済や医療の立て直しに向け、資格を持つ医療関係者への現金給付を行う考えを明らかにしたほか、銀行の再開や農業振興、電化率の向上に取り組む意向であることも強調したが、国民は抵抗を続けている。

ヤンゴン中心部を行進し、CDMを訴えるデモ隊=24日(NNA)

ヤンゴン中心部を行進し、CDMを訴えるデモ隊=24日(NNA)


関連国・地域: ミャンマー
関連業種: 食品・飲料マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

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