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東急百貨店が撤退へ、コロナ禍克服できず

東急百貨店は29日、タイ法人のバンコク東急百貨店が運営する「東急百貨店MBKセンター店」の営業を2021年1月末をもって終了すると発表した。競合の増加による競争激化に加え、新型コロナウイルス感染症の流行による入国制限を受けて主要顧客の外国人観光客が激減。今後も商環境の改善が見込めず、営業継続は困難と判断した。1985年からタイで営業を続けてきた日系の老舗百貨店が36年の歴史に幕を下ろす。

来年1月31日をもって営業を終了する東急百貨店MBKセンター店=29日、タイ・バンコク(NNA撮影)

来年1月31日をもって営業を終了する東急百貨店MBKセンター店=29日、タイ・バンコク(NNA撮影)

東急百貨店は声明で、近隣商業施設の増加やバーツ高によるインバウンド消費の低迷により、主力の外国人観光客の来店・消費が漸減していたことに加え、コロナ禍によるタイ入国制限によりインバウンド需要が激減した影響が非常に大きく、今後の商環境の改善も見通せないことから、営業継続は困難と判断したと説明した。

同社の広報担当者がNNAに説明したところによると、バンコク東急百貨店の従業員数は日本人駐在員が3人、現地スタッフが約150人。MBKセンター店の営業終了後は、日本人駐在員は帰任し、現地スタッフの処遇については今後協議していく。

MBKセンター店では、新型コロナの流行前は、訪タイ外国人観光客が来客数の半分程度を占め、売り上げに占める割合では7割に達していた。タイ政府は、新型コロナの拡大を防ぐため、今年4月から9月まで外国人観光客の入国を制限。今月になって最長270日間の滞在が可能となる特別観光査証(ビザ、STV)を取得した中国人旅行者を受け入れたものの、本格的な外国人観光客の回復時期は現在も見通せない状況となっている。

■外国人観光客への依存が裏目

東急は1985年8月、米ハワイ、香港に続く、海外3拠点目としてタイ1号店のMBKセンター店を開業した。当初は、「地域密着型」の百貨店を目指していたが、タイが観光立国として台頭するにつれて、東急の店舗を訪れる外国人観光客が増え、来客数、売り上げともに観光客への依存度が高まっていった。

2015年6月にタイ2号店となる「バンコク東急百貨店パラダイスパーク店」を開業した。しかし、競争が激化するタイの商業施設市場で、期待通りに売り上げが伸びず、開業からわずか3年半後の19年1月に2号店を閉鎖。その2年後の21年1月末をもってMBKセンター店を閉鎖することで、36年にわたるタイでの営業に終止符を打つとともに、最後の海外拠点もなくなることになる。

■日系百貨店、残るは高島屋のみ

タイに出店する日系百貨店では、今年8月に伊勢丹がバンコク中心部の大型商業施設「セントラル・ワールド(CW)」内に出店する百貨店「バンコク伊勢丹」を閉店。1992年の開業以来28年の歴史に幕を下ろしたばかりだ。21年1月末に東急が撤退すれば、タイで営業する日系百貨店は、バンコクのチャオプラヤー川沿いの大型複合施設「アイコンサイアム」に入居している「サイアム高島屋」のみとなる。

29日付バンコクポストによると、タイ国内の流通事情に詳しい専門家は、「タイに出店している日系百貨店は、自らの営業スタイルや文化にこだわりすぎる。日系以外の百貨店に比べて店内装飾は簡素で、1年365日にわたって常に何らかの販売プロモーションを行っているタイの小売店に比べると、そうした営業努力が乏しい」と指摘した。

外国人の入国制限によって大きな影響を受けているのは、日系百貨店にとどまらない。東急が撤退することになるMBKセンターは、タイ人の集客を重視した仕様にするため、36年ぶりとなる大型改装を実施する計画を明らかにした。また、今年6月に開業したバンコク郊外のアウトレット「サイアム・プレミアム・アウトレッツ・バンコク」も国内客をターゲットにして集客増を図る計画を表明しており、国内の大型小売店では、外国人観光客への過度な依存からの脱却に向けた動きが加速している。


関連国・地域: タイ日本
関連業種: 食品・飲料小売り・卸売り

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