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【アジアで会う】可越さん 華文書院副院長 第313回 在日華人2世に中国語オンライン授業(日本)

か・えつ 1973年生まれ、中国吉林省出身。94年に来日。埼玉大学大学院で修士課程を修了後、電通勤務を経て東京大学大学院の修士課程で教育工学を専攻した。2004年に日中コミュニケーション株式会社を設立し、取締役に就任。19年4月に在日中国人や華僑の子供向けの中国語学習塾「華文書院」を開校した。

可氏が副院長を務める華文書院は、5歳半~10歳の在日中国人や華僑の子供向けに主にオンラインで中国語や中国文化を教える。19年4月に第1期生を迎え、受講者数は急拡大している。

中国語のレベルに応じて、春と秋の2学期に入学する児童を6人ずつにクラス分けする。各クラスには中国語・文化の教育資格を持つ中国人教師1人と、勉強や心の悩み相談を担う担任教師1人がつく。可氏も1年生のクラスで教鞭を執る。東京・新宿区にある本校教室のほか、千葉、京都、福岡にも拠点を持つ。

新型コロナウイルスの感染拡大前の設立当初から週2回のオンライン授業「ClassIn(クラスイン)」を基本としてきた。通学に伴う保護者の負担を減らし、いつでもどこでも気軽に参加できるようにするためだ。授業後は教材付属の音声と動画で復習できるため、日本滞在が長かったり、地方出身だったりして中国語に自信のない親の悩みにも対応する。

ただあくまで、「オンラインはツールの一つ」と可氏は強調する。1~2カ月ごとに対面授業や、端午の節句や落花生の収穫など季節に合わせた交流会も企画する。「実際に子供を抱きしめたり、声をかけたりすることでお互いの存在を実感し、以心伝心の関係を築きたい」という。コロナが収束次第、教室での授業はいち早く再開する予定。将来的に中国への修学旅行も計画している。

■自身の体験もとに塾を開校

東京大学大学院に在学中、同窓の先輩である元人民日報論説委員の孫盛林氏夫婦と意気投合し、異文化交流を促す日中コミュニケーション株式会社を立ち上げた。

中国人の夫と結婚後、11年と14年に2人の息子の出産を機に、中国語教育に関心を持った。週末に長男を通わせた中国語教室で、中国語の汎用教材や教室に通う苦労に限界を感じ、18年頃から孫氏と、中国語教育に長年従事してきた隋坦氏とともに、在日華人2世向けの教材作りや塾開校の準備に着手。院長の孫氏は教材の開発、隋氏は課程設計や教員指導、可氏は生徒募集や対外広報などを3人で進めてきた。

現在、学習の柱となるのは、独自の教材「大語文」だ。日本の文部科学省と中国教育部がそれぞれ指定した小学校の国語教材を参考に、両国の教育専門家から指導を受けて独自に作成した。中国人の家庭と、日本の社会に置かれ、日本人とも本国の中国人とも違う環境に育つ華人2世に特化した内容となっている。

日本の花見や夏祭りといった身近な体験に中国語を取り入れ、中国由来の祝祭日、文化の説明や、日中両国に共通する漢字や童謡も盛り込んだ。「これ知っている、面白い!」「中国語でこう言うんだ!」と子供に興味を持ってもらえるよう工夫した。「中国にいる家族や友人に中国語で日本の生活や文化を紹介するという視点から入れば、子供も勉強に取り組みやすくなる」と考えている。

■絵本教材で漢字や言葉を身近に

中華学校や中国語教室で使う従来の教材は文字や説明文が多いが、「大語文」は絵本教材で、森の学校に通う動物の冒険物語で展開する。その中で漢字や言葉になじんでもらう狙いだ。「単純に言葉を説明するのではなく、言葉を使う場面や文脈を理解することが重要」と話す。

教材は全10冊を刊行予定で、現在までに3冊を出版した。小学6年時は中学入試の負担が増すことを考慮し、カリキュラムは5年で終わるようにした。読む、聴く、話す、書く、訳すという5つの能力を引き上げ、修了時は中国国内の小学校卒業時に求められる漢字約3,000字を習得できるレベルになるという。

総務省の統計によると、5~12歳の在日中国人児童は19年末時点で4万5,000人弱。ただ、横浜山手中華学校や神戸中華同文学校といった全日制の学校や、週末の中国語教室に通う児童は数千人程度にとどまるという。「絵本教材をすべての華人の財産にしたい。オンライン授業を通じて、一人でも多くの子供に勉強してもらい、自分の中国語・文化的背景を誇りに思ってもらいたい」と語る。

一方で、日本でも高校生2万人が学校で中国語を選択し学んでいるとの調査結果もあるとして、「将来は中国語教育に熱心な日本人の学生にも対象を広げたい」と意気込む。(東京編集部・江康慧)


関連国・地域: 中国日本
関連業種: IT・通信社会・事件

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