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ビジネス往来に再開の兆し NNA調べ、日中越で期待高まる

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)によって、各国は厳しい入国制限を発動し、人の往来は停滞を余儀なくされた。その一方で、経済活動を継続するためにビジネス目的の特別入国を認めるケースが増えている。そこでNNAは、韓国と経済的なつながりの強い日本と中国、ベトナムを中心に、コロナ禍での空路の運航状況と経済活動の現状をまとめた。8月からは国際便の再開も徐々に拡大しそうだ。【清水岳志】

2019年6月の金浦空港・国際線の出発ロビー。ビジネス目的の往来は徐々に増えているが、空港が旅客でにぎわう姿が戻るには相当な時間がかかりそうだ=韓国・ソウル(NNA撮影)

2019年6月の金浦空港・国際線の出発ロビー。ビジネス目的の往来は徐々に増えているが、空港が旅客でにぎわう姿が戻るには相当な時間がかかりそうだ=韓国・ソウル(NNA撮影)

コロナ禍では、人との接触を極力避ける「非対面(アンタクト)」が経済活動のトレンドに浮上した。しかし、サプライチェーン(供給網)のグローバル化が進む製造業などでは、海外の現場に人を送る必要がある場面は少なくない。実際に、自動車業界では中国からの部品の供給が遅れ、生産が一時的に止まる事態が発生した。

各国が厳しい入国制限をかける一方、特例を設けてビジネス目的の往来を再開させようとする背景にはそういった事情がある。韓国ではとりわけ、経済的な結びつきが強い日本と中国、ベトナムへの再入国の要望が強い。

■日本:両国が早期の往来再開に期待

日韓間の往来は、両国政府が3月初めに相互に入国制限を設けて以来、ほぼストップしている。全ての外国人は、入国から2週間の自宅または宿泊施設での隔離が義務付けられている。韓国から日本への航空機の乗り入れが、成田空港と関西空港の2港に限られたことで、地方を結ぶ空の便はほぼ全てが運休中だ。

それでも、大韓航空が仁川―成田便、格安航空会社(LCC)の済州航空が仁川―関西便を週3回運航してきただけでなく、最近ではアシアナ航空やジンエアーも日本路線を一部再開した。ビジネス目的で往来が徐々に増えてきていることに備える動きとみられる。

このほど駐在員として韓国に入国した日系企業の関係者はNNAに対し、「韓国法人の事情もあり、隔離措置を経てでもできるだけ早くに入国する必要があった。韓国の感染者数が減ってきていることも(入国に踏み切った)背景にある」と話した。

韓国では、日本政府がビジネス目的での往来再開に向けて交渉に臨む方針を示したことに対する期待も大きい。ただ、韓国から日本への入国者が多いため、PCR検査が追い付かない可能性が高く、合意は台湾よりも後になるとの見方が強い。また、韓国人には日本国内の感染状況を懸念する声も多いのが実情だ。日韓両国が国内の感染をしっかり押さえることが、本格的な交流再開の第一歩となる。

■中国:「ファストトラック制度」が奏功

韓国経済への影響力も強い中国とは、早くから往来再開に向けた取り組みが行われてきた。LGディスプレー(LGD)は3月26日、広州の有機ELディスプレー工場の量産準備のために必要な人材290人を派遣。サムスン電子は4月29日、3月に稼働した西安第2工場にエンジニア約200人を送った。

今年5月には、両国政府の合意の下でビジネス目的の入国者に対して例外的に制限を緩和する「ファストトラック制度」がスタート。韓国企業の進出が多い上海市や遼寧省、山東省、広東省などが同制度の対象に含まれた。韓国貿易協会のソ・ウテク中国室長はNNAの取材に対し、「中国への入国の道を開いた同制度の意味は大きく、これまでに同制度を利用して約5,000人のビジネスマンが中国に入国した」と話した。

7月23日にはさらに、中小・中堅企業48社の社員を含む159人がチャーター便で広東省に入国する予定。入国後は14日間の隔離期間を経た後、業務を開始することになる。

こうしたビジネス目的の往来を受けて、運航を中断していた定期便も再開し始めた。アシアナ航空が7月12日から南京路線を再開したのに続き、17日にはLCCのエアプサンが仁川―深セン路線の運航を開始。韓国のLCCが中国路線の運航を再開したのは、エアプサンが初めてだ。

中国政府は中国路線の運航について「1社1路線で週1往復」に制限しているが、「航空便は増えており、今後はより多くの企業関係者を現地に送り出せるようになる」(前述のソ中国室長)との見方が強い。

■ベトナム:8月にかけて1,500人派遣

LGグループやサムスングループの主要工場があるベトナムとの往来も増えている。LG電子は7月初めにハイフォンのスマートフォン工場で働く279人のエンジニアをベトナム航空の特別チャーター機で派遣した。

韓国産業通商資源省によると、ベトナムへの特例入国を求める企業はこれまでに1,646社に上るという。ベトナム防疫当局と特別入国に向けた交渉を続けた結果、22日には現地で働く571人のビジネスパーソンがチャーター便でベトナムに向かうことが決まった。「8月にかけて計1,500人を送り出す」と同省は説明する。

ベトナム側もビジネス目的での往来再開に前向きだ。同国運輸省はこのほど、政府に対してアジア6カ国・地域との航空路線の再開を提案した。韓国路線は仁川空港と首都ハノイのノイバイ空港を結ぶ路線が対象に含まれた。運輸省は週1便ペースでの再開を提案している。

韓国―ベトナム路線は現在、大韓航空やアシアナ航空などが、ハノイやホーチミンからの帰国便のみを週3~5便運航している。大韓商工会議所のイ・ソンウ・亜州協力チーム長は「ベトナム進出企業からは何とかして入国したいという要望が相次いでいる。彼らの希望をかなえられるよう、(ベトナム当局との交渉など)政府の役割に期待したい」と話した。

■アジア路線は8月以降に順次再開か

各国がビジネス目的の往来再開を目指していることを受け、航空業界も動き始めた。大韓航空は、現在各国発の便(復路)のみを運航しているフィリピン・マニラ路線やシンガポール路線、タイ・バンコク路線について、8月からは韓国発の便(往路)も運航を再開する計画だ。

アシアナ航空も復路のみ運航中のタイ・バンコク路線を8月から往復に切り替えるほか、シンガポール路線やカンボジア・プノンペン路線は8月から増便する。

フィリピン政府は、8月1日から長期滞在ビザ(査証)を保有する外国人の再入国を認めることを決めた。対象はすでに発給されたビザの保有者に限られる見通しだが、経済の立て直しに向けて外国人の再入国を認める動きはこれからも増えそうだ。

アシアナ航空の広報担当者は「各国の感染状況や入国制限の緩和の程度によっては運航計画が変更される可能性はあるが、ビジネス目的の需要は増えており、(それを取り込むため)運航再開に向けた準備を徹底したい」としている。

国際航空運送協会(IATA)は今年5月、「国際線の旅客需要が2019年の需要を回復するのは24年になる」との見通しを示している。グローバル化が進む中、経済はもはや国内だけでは成り立たない。各国政府には徹底した防疫対策の一方で、経済の停滞状態を早期に解消するための国際協調が求められている。


関連国・地域: 中国韓国ベトナム日本
関連業種: 運輸マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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