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コロナ禍、再エネ開発に試練 消費減と油価下落で構造改革論も

新型コロナウイルス感染症の流行で、再生可能エネルギー開発が停滞するとの懸念が浮上している。各国が外出規制を導入したことで、電力消費量の減少や原油価格の急落が起こった。太陽光発電設備などの価格競争力はここ数年で高まってきたが、より手頃となった化石燃料が盛り返す可能性がある。東南アジアの業界関係者からは、電力会社が独占的に担う現状からの自由化の推進など、アフターコロナの構造改革が進むとの見方が出ている。

ベトナムの屋根置き型の太陽光発電設備。新型コロナウイルス感染症の流行で、各国の再生可能エネルギー産業にも支障が出ている=クアンビン省(VNA=NNA)

ベトナムの屋根置き型の太陽光発電設備。新型コロナウイルス感染症の流行で、各国の再生可能エネルギー産業にも支障が出ている=クアンビン省(VNA=NNA)

「米国では、クリーンエネルギー分野(エネルギー効率、再エネ、クリーン車両、クリーン燃料など)の労働者60万人が失職した。何も救済策が実行されなければ、7月には85万人に増える」。東南アジア諸国連合(ASEAN)のエネルギー産業にとってのコロナ禍を議論するウェビナー(オンラインセミナー)で、アジア・クリーン・エネルギー・パートナーズのマネジングパートナー、ピーター・デュポン氏はこう指摘した。同国の業界の過去3年の雇用創出分に相当する。

タイ・エネルギー省のインスペクターゼネラル、トワラット氏は、「(環境への影響なども含めた)発電コストは、化石燃料の方が再エネよりも高いが、油価下落で同等となることもあり得る」との見方を示した。新型コロナが絡む外出規制の緩和などで油価は持ち直してきているが、再エネ開発の機運に冷や水を浴びせる。

■独占的な構造、見直しの機会

タイ政府は、3~5月に一般家庭向けの電気料金の減免措置を実施した。対象は約2,200万人で、約780億円の予算を組んだ。新型コロナにより、安定的な電力供給に向けて財政が圧迫される問題が浮上している。

トワラット氏は、ASEAN全体の電力業界の傾向として、国営・公営企業が発電電力を買い取る「シングルバイヤーモデル」が採用されていると指摘。オフテイカー(引き取り手)による購入の保証や、固定価格買い取り制度(FIT)などで発電への投資を促しているが、コロナ後は自由化が推進される可能性があるという。

コロナ後に発展する新システムとしては、複数の生産消費者が存在する「分散型エネルギー供給システム」、電力の消費量を発電量で相殺する「ネットメータリング制度」、発電事業者と企業との直接的な電力販売契約(PPA)を認める「コーポレートPPA」などを挙げた。

「不当な内部相互補助も廃止させなければならない」。発電から小売りへの垂直型や、一般家庭向けの電気料金を優遇するために産業向けの電力料金にしわ寄せが来る内部補助などが存在すると、競争原理にひずみが生じる。

別の業界関係者からは、「デジタル移行を進める必要がある」との見方が出る。特に、自由化に向けて電力売買のプラットフォーム構築が欠かせないという。

■越、ソーラールーフで民間PPA可に

ベトナムでは、4月に発出された太陽光発電開発の奨励に関する首相決定13号(13/2020/QD―TTg)により、屋根置き型の太陽光発電(ソーラールーフ)におけるコーポレートPPAが正式に認められた。

米国国際開発庁(USAID)の再生可能エネルギーアドバイザー、グエン・ハイ・ドク氏は、「出力が1メガワット(MW)以下という制限があるが、新たなビジネスモデルでソーラールーフ開発を進めることができるようになった」と指摘する。

これまでは物件のオーナーが資金調達して投資する従来型や、屋根部分をソーラールーフ開発業者に貸し出す「リース型」モデルがあったが、いずれも発電電力の販売先は国営ベトナム電力グループ(EVN)だった。コーポレートPPAモデルでは、投資家と物件オーナーの間のPPAを締結でき、料金は交渉で決まる。余剰電力があれば、政府のFITに基づく料金でEVNに販売できる。

中国の太陽光パネル大手、常州天合光能(トリナ・ソーラー)の担当者は「ベトナムでもコロナ禍でプロジェクト管理に支障が出たが、水上なども合わせて太陽光開発の可能性が大きい」と主張する。政府が、能力ベースの電源構成で再エネを2030年までに21%に引き上げる計画を掲げており、民間事業の規制緩和が追い風になるとみている。


関連国・地域: 中国タイベトナムASEAN米国
関連業種: 電機IT・通信天然資源電力・ガス・水道マクロ・統計・その他経済

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