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【すごいアジア人材@日本企業】日本で活躍するアジアの高度人材たち(2)

■将来はアジアのカントリーマネジャーに

エーザイ(株) アジア・ラテンアメリカリージョン製品戦略部 ピィピョー・ナインさん

ミャンマー・マンダレー出身のピィピョー・ナインさんは、大手製薬会社エーザイのアジア・ラテンアメリカリージョン製品戦略部に所属する。母国ミャンマーをはじめ、タイやベトナムを含むインドシナ5カ国と台湾を対象に、医療制度の変更などの市場環境を調査し、事業計画の立案を手掛けている。将来のベトナムでの現地法人設立に向けた準備のサポートも担当する。

グローバルに活躍できる人間を志し、20歳の時にマンダレー医科大学を3年生で中退した。医科大学を卒業しても医療従事者になる機会が限られている同国の事情も海外留学への気持ちを後押しした。

当時、父親が日本に出稼ぎに来ており、父から送られてくる日本の画像や映像を見て、日本に親近感を持ったという。

2010年6月に来日した後は、アルバイトで生計を立てながら、日本語と大学受験のための勉強を両立させた。将来は母国の農業の発展に貢献したいとの思いから、12年4月に宇都宮大学農学部生物生産学科に入学した。東京大学大学院農学生命科学研究科を経て18年4月にエーザイに入社。日本で暮らすうちに化学メーカーや電機メーカーへの就職にも興味を持ったが、最終的に人の命を助ける仕事として従事したいと同社を志望した。日本行きのきっかけをつくってくれた父親を肝臓がんで亡くしたこともそうした思いを強くした。

ナインさんは、日本企業について、経験の浅い社員に対して丁寧にフォローや指導をしてくれ、「人を育てる企業風土」を感じるという。仕事では海外とのやりとりが多いが、主なコミュニケーション言語は英語と日本語だ。現在の仕事に生かそうと米国公認会計士(CPA)の勉強も進めている。将来はアジアの販社でカントリーマネジャーになりたいと話す。

アジア・ラテンアメリカリージョン製品戦略部の真砂野一彦部長は、「見た目通り非常に真面目。かつ熱意を持って仕事に取り組んでいる」と評価する。「がんばり過ぎる傾向があるため、むしろ抑えるようにしている」という。

入社1年目で結婚したミャンマー人の妻と都内で暮らす。オフには東京都文京区にある会社近くの小石川植物園で季節の散歩を楽しんでいる。

■母国に日本の高い建設技術伝えたい

清水建設(株) 国際支店構造設計部 ニー・ムイゲッチさん

2012年に大手ゼネコンの清水建設に入社したニー・ムイゲッチさん。16年まで日本国内の教育文化施設や生産施設の構造設計を手掛け、17年からは国際支店で主に日本企業の海外工場の構造設計を担当している。構造設計では、建物の機能性、デザイン性、経済性を考慮しながら合理的に構造計画を行い、地震や台風などの外力に対して、安全な建物の骨組みを設計するための構造計算を行う。

首都プノンペン出身のムイゲッチさん。カンボジアではかつての内戦でインフラが破壊され、ポル・ポト政権による知識層の大量虐殺で教育システムも崩壊した。内戦終結後、荒廃したプノンペンにショッピングモールや学校が建ち始め、ムイゲッチさんの家の近所にも縫製工場ができた。建物によって人の流れや環境、経済を変えられることを目の当たりにしたムイゲッチさん。「人々にもっと快適な生活を提供したい」と建築士の道を志した。

カンボジア工科大学に在学中の04年に日本の国費留学生として来日。山口県の徳山工業高等専門学校土木建築工学科に3年次編入した。日本語での授業には人一倍苦労した。来日前は全く日本語が分からなかったが、高専編入前に日本語学校に1年間通った。それでも全て日本語で行われる高専の授業についていくため、放課後は先生の研究室に質問に行くのが日課だった。こうした努力が実り、宇都宮大学工学部、東京工業大学大学院総合理工学研究科を経て清水建設に入社した。

これまでの仕事で印象深いのは、入社2年目で初めて自分が描いた図面が実際の建物となった時のことだ。東京都内の保育園だったが、幼児向けの夢のある建物だったこともより印象に残っているという。

留学経験などを通じ、さまざまな異文化の違いに気付かされたというムイゲッチさん。そうした経験が仕事上のコミュニケーションに役立っている。上司の石倉敦グループ長も「構造設計は緻密な計算と、多くの関係者との調整が必要。課題を一つずつ丁寧に検討し、関係者と調整を進めていく彼女のコミュニケーション力には何度も助けられた」と話す。

ムイゲッチさんの目標は「世界に通用する設計者」。そのために、さまざまな国・地域のあらゆる建物の構造設計を手掛けたいと考えている。また、日本などで学んだ技術やものづくりの考え方をカンボジアの次の世代に伝え、カンボジアの教育にも貢献したいと夢を膨らませる。

※特集「すごいアジア人材@日本企業」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2020年1月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: ミャンマーカンボジア日本
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務社会・事件

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