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【アジア業界地図】ビール編

キリンビールの調べによると、2017年の世界のビール生産量約1億9,090万キロリットルのうち、アジアは全体の32.5%を占め、地域別で9年連続首位だった。国別では、中国が16年連続で首位。ただし、ベトナム、インド、フィリピンがそれぞれ前年比で15.4%、1.8%、7.9%の増加となった一方で、中国が3.9%減にとどまったことで、アジア全体では1.4%減少した。

一方、17年の世界のビール消費量約1億8,672万キロリットルのうち、アジアの構成比は33.7%で10年連続の首位だった。中国が15年連続で世界首位となったが、消費者の需要が成熟し、市場が飽和したことで4年連続の前年割れとなった。

■中国

高価格帯ビールに人気がシフト

中国では長年、市場価格3~5元(約45~75円)の低価格帯ビールが主流だったが、近年は10元以上の高価格帯の人気が高まりつつある。英調査会社グローバルデータによると、中国市場における高価格帯ビールの消費量は、2013年の590万キロリットルから18年には803万キロリットルに増加。ビール市場に占めるシェアは13年の10.9%から18年の16.4%に拡大した。同社は、23年に高価格帯の消費量が1,020万キロリットル、シェアが19.9%に上ると予測。背景には、市場の成熟化と若年層の嗜好(しこう)の多様化がある。

■ベトナム

酒類の販売・広告規制の影響に注目

ベトナムでは、サイゴン・ビア・アルコール飲料総公社(サベコ)がシェア4割で首位。ハイネケン、ハノイ・ビア・アルコール飲料総公社(ハベコ)と合わせて3社で8割以上のシェアを握る。5~6月に開かれた国会では、ビールを含む酒類の販売や宣伝の規制に関する「酒類・ビールの弊害防止法」の法案が可決され、今後のビール消費に対する影響が注目されている。世界9位のビール消費量を誇るベトナムだが、同国政府は飲酒運転やアルコール依存症などの健康被害を問題視している。

■インド

キングフィッシャーなどが人気

インド地元紙によると、「キングフィッシャー」などを手掛ける地場酒造大手ユナイテッド・ブリュワリーズ、カールスバーグ、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)が合わせて8割のシェアを握る。英調査会社グローバルデータによると、インドのビール販売は2018年に前年比で4.6%増加。最高裁判所が全国の国道・州道の沿道での酒類販売を禁止した影響で3%の減少となった17年からは回復したものの、09~16年の成長率(5.2~18.0%)には届かなかった。

■タイ

アルコール市場伸び悩みでメーカーが需要喚起

タイの2017年のビール生産量は対前年比7.1%減少した。9月の酒税改正による値上げ、国王崩御による自粛ムードなどが影響し、生産量が減少したとみられている。タイでは、健康志向の高まりなどを背景にアルコール市場が伸び悩んでいる。地場大手シンハ・コーポレーションが国内初のアルミボトル入りビールを売り出したり、ハイネケンがノンアルコールの麦芽飲料を発売するなど、新たな需要の喚起に努めている。

■韓国

輸入品の増加で国内出荷量が過去最大減

韓国国税庁などによると、2017年の韓国ビールの出荷量は182万3,899キロリットルにとどまり、前年比7.8%減と過去最大の減少率となった。出荷量も05年以来の低水準だった。輸入ビールが低価格販売でシェアを急速に伸ばしていることが要因と考えられている。輸入ビールの出荷量は13年の9万5,000キロリットルから17年には33万1,000キロリットルに急増し、輸入酒類の総量にビールが占める割合も78.3%に拡大した。

■フィリピン

低価格ブランデーからビールに消費シフト

フィリピンでは持続的な経済成長によりビール消費が拡大している。特に製造業、サービス業、農業などの分野が好調に推移し、加えて雇用改善などがビール消費に好影響をもたらしている。キリンビールによると、飲酒傾向も、地場酒造大手エンペラドールなどが展開する低価格なブランデーから、高級品であるビールへシフトが起きている。

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【Close up】

アサヒHD、豪ビール最大手を買収へ 日本の消費減で海外に活路

出所:ビール酒造組合

出所:ビール酒造組合

日本国内のビール消費の減少を背景に、アサヒグループホールディングス(HD)が海外展開を加速している。7月にはオーストラリアのビール最大手「カールトン&ユナイテッドブリュワリーズ(CUB)」の買収を発表。買収額は160億豪ドル(約1兆1,400億円)で、アサヒグループHDの企業買収としては過去最大となる。2020年3月までに買収手続きを完了させる方針だ。

CUBは、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の傘下企業。「カールトン」「グレートノーザン」などのブランドを展開しており、オーストラリアでのビールのシェアは最大。

CUBの買収によって、オーストラリアにおけるアサヒグループHDのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は欧州事業に匹敵する約1,000億円となり、日・欧・豪の3極体制を整える。

※特集「アジア業界地図」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年9月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 中国韓国タイベトナムフィリピンインド日本ASEAN
関連業種: 食品・飲料

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