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超小型EVが陰の主役? 東京モーターショー 中古車アップルの中国車も

レクサス、メルセデス・ベンツ、マツダなど電気自動車(EV)の新型車が主役となっている11月4日まで開催の「東京モーターショー」。コンパニオンの美女が花を添える華々しいブランドとは離れた展示エリアでは、低速EV(LSEV)とも呼ばれる1~2人乗りの「超小型EV」が異彩を放っていた。100万円前後から購入でき、維持費が軽自動車に比べて安い。来年以降、運転に少し自信のなくなった高齢者や近所だけを走るマイカーとして日本でも普及する可能性がある。

「e―アップル」。日本では普通免許証が必要だが、中国では免許証がなくても運転が可能なカテゴリーだ=東京・青海地区(NNA撮影)

「e―アップル」。日本では普通免許証が必要だが、中国では免許証がなくても運転が可能なカテゴリーだ=東京・青海地区(NNA撮影)

「本日から『e―アップル』を全国で正式に販売開始する」。

会場の一角で、中古車売買大手アップルインターナショナル(三重県四日市市)の久保和喜会長兼社長が23日、NNAに対して明らかにした。国内の中古車売買市場が人口減少で縮小する中、新たな商材として輸入販売を決めた。年1,000台を目標としている。

車体は中国の南京嘉遠特殊電動車製造(ジアユアン)が生産。中国では50万円程度で購入できる。日本での販売価格は地域によっては100万円(鉛電池車)を切る価格で、リチウムイオン電池車の場合は約20万円の追加となる。日本の電圧と同じ100ボルトに対応している。

東京都内のコンビニで配送用として使用されているトヨタ車体の1人乗りEV「コムス」と同様に第1種原動機付自転車(四輪=ミニカー)扱いで普通免許で乗れる。全幅1,300ミリメートル以下、最高時速60キロメートルなどの車両が条件とされるが、車両登録税や車検、車庫証明なども不要で維持費が安く済む。一方、最高速度を落とした分、安全スペックは普通乗用車と同等でなくても良いが、来年までに基準などが制度化される見通しだ。

1人分の座席がある「e―アップル」の室内=東京・青海地区(NNA撮影)

1人分の座席がある「e―アップル」の室内=東京・青海地区(NNA撮影)

車内をよくみると、2人分の座席スペースがあるのだが、シートは1人分しか置かれていない。2人乗りの場合は現在、原付とは認められないからだ。

自動車と二輪車(バイク)の中間の存在でもあるLSEV。業界の間では来年にも現状の原付ミニカー扱いで2人乗りが可能になると言われており、e―アップルも後付けでシートを設置することが可能な設計だ。

ジアユアンの李輝董事長は、「日本の皆さんも(中国のように)手ごろなEV生活を味わってほしい」と語った。李氏は中国のLSEV市場について、「中国政府がメーカーの淘汰を進めており、市場は今後マイナスとなる」と話す一方で、同社は逆にLSEVの年産台数を現在の3万台から新工場建設で拡大することを明らかにした。欧州など46カ国・地域にも輸出している実績もあるからだ。韓国郵政にも近く2,000台納入するという。

■トヨタが来年に投入

近くのブースでは、タジマモーターコーポレーション(東京都板橋区)も、ジアユアンの車体を展示。既に岐阜県高山市で観光用に使用されている。このほかベンチャーのFOMM(川崎市)がタイで生産する超小型EVなどもある。

トヨタが来年末までに販売する超小型EV=東京・青海地区(NNA撮影)

トヨタが来年末までに販売する超小型EV=東京・青海地区(NNA撮影)

トヨタ自動車も入場無料エリア「フューチャー・エキスポ」で、来年末までに発売予定のLSEVを「超小型モビリティー」として展示している。トヨタの担当者は、価格などはまだ決まっていないとしながらも、「運転しやすさに加え最高速度の制限があるため、運転免許証の返納を考えている高齢者には最適な車だ」と話す。原付ミニカーを現行の1人乗りから2人乗りも可能となるよう関係機関と交渉していることも明らかにした。

タジマモーターコーポレーションの担当者も、「もし2人乗りが可能になれば、一気に普及は進む」と期待を込める。

■スイスのベンチャー、「中国よりも日本に商機」

会場ではスイスの電動モビリティー開発のベンチャー、マイクロリノー社が手掛ける「マイクロリノー」が目をひいた。ハンドルが付いているフロント部分から乗り降りするユニークなデザイン。既に世界で1万6,000台、このうち日本では1,200台の予約を受け付けたという。価格は1万2,000ユーロ(約140万円)からで年内に量販を開始する。生産はイタリアEVメーカーのタッザリ(Tazzari)が行う。

アジアでは日本が最初の進出先になる。日本を選んだ理由について、テストドライバーも兼ねるオリバー・オウボーター最高執行責任者(COO)は、「大型車を好む中国と比べ、日本市場は小型車志向が強く、受け入れられやすい土壌がある」と説明した。(遠藤堂太)

マイクロリノーのオウボーターCOO。ドアにハンドルが付いている=東京・青海地区(NNA撮影)

マイクロリノーのオウボーターCOO。ドアにハンドルが付いている=東京・青海地区(NNA撮影)

<メモ>

■「e―アップル」のスペック

◇最高時速:55キロ◇最小回転半径:4.2メートル◇全長:2,245ミリ、全幅:1,290ミリ、全高:1,570ミリ◇定格電圧:DC60V◇定格出力:0.59kW◇重量:鉛電池=510キロ(リチウムイオン電池=635キロ)◇充電時間:鉛電池=6~8時間(同4~6時間)◇航続距離:鉛電池=80キロ(同120キロ)―― (アップルの資料より)


関連国・地域: 中国タイ日本
関連業種: 自動車・二輪車

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