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【アジアで会う】武藤太一さん ヤンゴン日本人会会長 第205回 縁ある地、出会いを宝物に(ミャンマー)

むとう・たいち 1975年生まれ、東京都出身。慶応大学卒業後、97年に大成建設入社。東北支店などを経て、2004年からトルコ、06年からスリランカに赴任。11年から新潟県の国際大学で国際開発経済学を学ぶ。13年からミャンマーに駐在、大成建設のミャンマー拠点で、営業所長と現地法人マネジング・ディレクターを務める。

「ミャンマーという特別な境遇に、皆さんは縁があってやってきた。ここでの出会いは将来、必ず宝物になる。そして、何よりも健康が第一」。4月、日本人会会長としての初仕事になった日本人学校の入学式で、子どもたちに語りかけた。

■親としての願いも込め

これまで、ヤンゴンの日本人社会でも「先輩格」になる50歳以上の人材が担うことが多かった日本人会会長の職責だが、新会長の自分はまだ40代半ば。単身赴任で、日本には小学校3年生と幼稚園児の子どもがいる。「宝物をつくって、とにかく元気に」というストレートな言葉は、親としての心から出た願いでもある。

もともとは高校球児で、大学に進学してからも高校野球のコーチを務めた体育会系。海外での仕事は通算13年となり、ミャンマーはトルコ、スリランカに次ぐ3カ国目だ。スリランカからの帰国後には、会社から新潟県の国際大学に社会人学生として派遣された。

「世界中の若者と、とにかく仲良くしてこい」との指令を受けて向かった先で待っていたのは、37カ国から集まった20~30代の男女。日本人はクラス40人のうち、3人だけだった。当時は30代だった自分は最年長となってしまい、ニックネームは「アンクル(おじさん)」。祖国の政治や日本への思いなど、熱い語りに耳を傾けながら、輪に溶け込んで、2年を過ごした。今も、出張で訪れた国の空港で、当時の学友が出迎えてくれるのがうれしい。

そんな経験からも、「日本人学校の子どもたちには日本人同士で仲良くなることはもちろん、ミャンマー人をはじめ、海外だからこそ出会える外国人との交流を大事にしてほしい」と願う。日本人学校には他の学校との交流事業もあり、まずは、月に1回開催される学校運営委員会に参加し、進行中の事業について理解しながら、子どもたちの宝物をつくる支援をしていきたいと考えている。

仕事ではゼネコン大手・大成建設の営業所長兼現地法人社長を務める。建設市場は今、年に2桁成長ともいわれる活況で、日系も大型事業を相次ぎ手掛ける。大成建設は昨年、日系ゼネコンがヤンゴンで存在感を示す皮切りともなった、ダウンタウン地区の「ヨマ・セントラル」事業を受注。三菱商事と大手財閥サージ・パン・アンド・アソシエーツ・ミャンマー(SPA)グループによる約7億米ドル(約766億円)の事業で、植民地時代に建設された国鉄旧本社ビルを中心とするエリアを、モールやホテル、サービスアパートなどからなる複合施設に再開発する。

当初、13年に構想が持ち上がった同事業を正式に受注したのは4年後の17年。「本社からは、どうなっているのかとずいぶんプレッシャーがあった」。ようやくサインができた時には気持ちが高ぶり、ペンを持つ手が震えたという。

■経済改革は良い流れに

長く軍政が続いたミャンマーでは、民政移管後、政府が法律や規制の枠組みを整えている最中。外国企業は根気を強いられるが、「投資においても何が認められ、何ができないのかを明確にする改善は進み、良い流れになってきている」と強調する。未来のヤンゴンのランドマークともなる「ヨマ・セントラル」の建設を成功させ、日系としての実績をつくることが、次の投資を呼び込むことにもなると確信している。

今後、現場には労働者を入れて1日で3,000~4,000人が出入りする。「建設現場は、大きなピラミッド構造だが、トップは各人の力量を知り、それを生かす目利きにならなければならない」。2021年に完成を見込むヨマ・セントラルの一方では、工期が約1年と短い日本人学校の増築工事も進める。「着工から竣工までの一連の流れに携わる仕事になるため、より各人の質を見極められる貴重な機会になる」。事業成功に向けて、チームを動かすことに知恵を絞る時、素質も経験も多様な100人以上の部員が一つの方向を目指す難しさと喜びを知った、高校野球での経験を思い起こすことがある。

仕事が終わった平日の夜も、休日も、食事やゴルフの予定が埋まり、じっとしていることはない。「くたくたになることもあるが、とにかく自ら動いて人に会う」のがモットー。ゴルフの相手には、じきに「アンクル」になる学生時代の友人ももちろん含まれている。(共同通信ヤンゴン支局・齋藤眞美)


関連国・地域: ミャンマー
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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