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〔総選挙〕政権発足100日公約、難関はGST撤廃

連邦議会下院選(定数222、任期5年)での野党連合・希望連盟(PH)への政権交代は国内経済にどのような影響をもたらすのだろうか。PHは選挙公約(マニフェスト)の中で、政権発足後100日間に、消費税(GST)の廃止や燃料補助金の再導入、公共インフラを中心とした大規模事業の見直しなどに着手するとしている。金融アナリストらは抜本的な経済改革の好機と評する一方、GST撤廃の余波は大きいとして期待と懸念が交錯している。

総選挙に臨むに当たって、野党連合の希望連盟(PH)は政権発足100日で取り組む政策(公約)として、消費者の負担軽減を図るほか、財政の健全化や国営大手を対象とした専門調査機関の設置などを盛り込み、透明性の高い政権運営を訴えた。

主な公約として、◇GSTの撤廃とそれ以前の売上げ・サービス税(SST)の再導入◇ガソリン燃料に対する補助金の再導入◇マレーシア首都圏と半島東海岸を縦断する東海岸鉄道(ECRL)や高速鉄道など大型事業の見直し◇政府系投資会社のワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)や連邦土地開発公団(FELDA、フェルダ)などの国営機関に王立調査委員会(RCI)を設置◇法定最低賃金の月収1,500リンギ(約4万1,500円)への引き上げ◇フェルダの入植者の借入軽減◇専業主婦に対する従業員積立基金(EPF)の適用拡大◇国家高等教育基金(PTPTN)の学費ローンの返済延期(月収4,000リンギ未満の受給者対象)――などを掲げている。

これら公約で最も不安視されているのが、GSTの撤廃だ。現地紙スターによると、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスのサイモン・チェン副社長は、「市場心理や通貨リンギの変動においてネガティブに働く」とみている。具体的には、マレーシア市場からの資本流出や通貨リンギ安の引き金となり、民間企業の消費や取引が弱含むと指摘した。ただ、「数週間から1カ月は新政権が何を打ち出すのかを見極める必要がある」と、影響を判断するには時期尚早とした。

メイバンク・インベストメント・バンク(メイバンクIB)は、GSTの撤廃による歳入減少を懸念する。17年にGSTによる税収は歳入の18%を占め、国の大きな財源となっている。18年の予算案では、GST税収を440億リンギと見込んでおり、仮にGSTが従来の販売・サービス税(SST)に代わった場合、SSTの最終年度の税収は170億リンギだったことから、単純に税収が270億リンギ減少する計算だ。この試算に基づけば、「財政赤字の対国内総生産(GDP)比は1.9ポイント押し上がることになる」(メイバンクIB)。

■消費刺激し、経済拡大

PHは、GSTの撤廃によって、拡大する消費が下支えする形で国内経済が活発化すると主張。結果的に、法人税や固定資産税からの税収が増え、健全な財政を維持できるとみている。また、政府調達を広く開放するほか、公共資産の効率的な運用、連邦政府と州政府の歳入の公平な分配を推し進めることで、経済全体の構造改革が実現できるとの考えだ。

メイバンクIBによると、原油価格が10米ドル(約1,090円)上昇するごとに、歳入は70億~80億リンギ膨らむという。そのため、高値圏にある原油価格に応じて、政府は産油州となる東マレーシアのサラワク州やサバ州に対し、適切なロイヤルティーを支払うことも今後の予算編成で念頭に置かなくてはならないという。


関連国・地域: マレーシア
関連業種: 天然資源マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

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