人手不足の現場支える留学生 コンビニ・外食、規制緩和求める声

日本でコンビニエンスストアや外食産業の人手不足が深刻化している。日本人アルバイトが集まらない中、産業を支える担い手として重要性を増しているのが外国人留学生だ。留学生は勤務先や時間帯に関係なく就労できるが、週28時間の就労制限があるのがネック。留学生をより積極的に活用したい企業の間からは、規制緩和を求める声も出ている。

「いらっしゃいませ」。福岡県内のあるコンビニの店舗でネパール人の男子留学生が忙しく働いていた。地元の専門学校に通いながら大学を目指しているという彼は、「これまで運送会社などいろいろなアルバイトを経験してきた。コンビニは深夜勤務もあるけど、仕事はそんなにきつくない」と笑う。

この店のオーナーは「外国人留学生は日本経済を支える救世主だ」と強調する。5~6年前から人手不足を感じるようになり、3年前に初めてネパール人男性をアルバイトで採用したところ、熱心に働いてくれることに感心したという。

厚生労働省によると、2016年10月末現在、国内で就労する外国人留学生は前年同期比25%増の20万9,657人。日本学生支援機構(JASSO)が公表した、15年度(15年4月1日~16年3月31日)の外国人留学生は26万5,254人であることから、8割近い留学生が就労しているとみられる。

また、卸売業・小売業に従事する外国人労働者のうち留学生は33%、宿泊業・飲食サービス業では56%を占めており、これらの業種で留学生が重要な働き手となっていることが分かる。

セブン―イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社によると、日本国内の店舗で働く外国人(留学生以外も含む)の正確な数は把握できていないが、各社とも全体の5%前後という。最も多いセブン―イレブンでは、全従業員数の6.5%に当たる約2万4,000人が外国人。

また、全国に1,367店舗を展開するファミリーレストランのガストでは、外国人のアルバイト・パートは全体の2.3%に当たる約1,000人、このうち留学生は約600人だ。

■留学前に採用内定

外国人留学生のアルバイトを確保するため、コンビニ各社は日本国内の専門学校との提携や、海外で人材を探すなどの取り組みを始めている。ローソンは昨年、ベトナムと韓国の計5カ所にアルバイトの研修所を設け、日本語でのあいさつ、レジの打ち方などこれまでに約100人に研修を行った。

セブン―イレブンは来年からベトナムの主要大学の学生を年20人弱、インターンとして受け入れるほか、ベトナムで日本語による簿記講座を開講している専門学校の大原学園と提携し、同校で学ぶベトナム人留学生にアルバイト先としてセブン―イレブンを紹介してもらう予定だ。

外食業界でも留学生の争奪戦は激しく、来日前の留学生らにアルバイト採用の内定を出す企業もあるという。ベトナム人調理師などの人材紹介を行っているコンサルティング会社アジアスター(ベトナム・ホーチミン)は、今年から留学生アルバイト採用支援を開始した。

ガストを運営するすかいらーくは、外国人留学生に特化したアルバイトの採用活動は特にしていないが、外国人と日本人スタッフ双方が働きやすいよう、外国人スタッフ向けの動画マニュアルを順次導入しており、外国人トレーナーの採用も検討しているという。

■コンビニに実習生を

留学生をアルバイトとして雇用する際に最大のネックとなるのが週28時間の就労制限だ。九州・山口・沖縄の知事と経済団体代表らが参加する九州地域戦略会議は今年6月、留学生の就労制限を週36時間に延長する要望書を政府に提出したが、政府からは「国の管理体制の整備が先決」との見解が示された。勉強よりも働くことを目的に来日する「出稼ぎ留学生」の増加が予想されることから、就労規制の緩和について政府は積極的ではないようだ。

コンビニ・外食産業などフランチャイズ業界が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は3~4年前から、「外国人技能実習制度」にコンビニ業務を加えるよう申請を準備しており、近く政府に提出する考えという。

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、これまで農業や製造業が対象だったが、今年11月からは介護現場でも受け入れが可能になるなど門戸は広がっている。ただ違法な長時間労働などの人権侵害や賃金不払いがたびたび指摘されており、JFAでは、そういった問題が起きないよう、各加盟店で働く実習生を本部が管理する体制が必要になるとの見解を示している。

<メモ>

留学生は入国管理局から「資格外活動許可」を受け、就労先が風俗営業以外であることを条件に1週28時間を限度として勤務先や時間帯を特定することなく就労できる。教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内。

一方、技能実習生は雇用関係を結んだ企業で実習を行うことが前提で、就労先を変更できない。農業・漁業、建設、製造業、介護などの職種で受け入れが認められており、職種により最長5年まで滞在可能。16年10月末現在、日本で就労する留学生は20万9,657人、技能実習生は21万1,108人。


関連国・地域: ベトナム日本ネパール
関連業種: 食品・飲料商業・サービス雇用・労務

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