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中国人留学生を囲い込み、東京でジョブ博

人材サービス大手のパソナは18日、「ジョブ博チャイナ」を東京都内で開催した。日本に居住する中国人留学生(既卒者含む)を中国または日本などで採用する23社が出展し、来場者は約980人に達した。中国の経済水準向上に伴い、現地採用を望む中国人留学生が増えているほか、人材難を背景に日本で新卒者を囲い込もうとする進出企業の思惑が一致し、会場は熱気に包まれていた。

日産トレーデイング中国現法の人事担当の韓さん(左)。昨年の「ジョブ博チャイナ」で同社への就職を決めた=18日、東京(NNA撮影)

日産トレーデイング中国現法の人事担当の韓さん(左)。昨年の「ジョブ博チャイナ」で同社への就職を決めた=18日、東京(NNA撮影)

「親元から離れたくないし、いずれ帰国するなら早めに中国で採用される方が良いと考えました。中国の経済水準や競争力も高まっていますし」。こう話すのは、日産トレーデイングの現地法人、広州日産通商貿易の人事担当の韓さん。北海道大学の大学院を今春卒業し、同社に入社した。

韓さんはちょうど1年前、就職活動をしていたが、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」でジョブ博チャイナが開催されるのを知り上京、内定を得た。

日本語を勉強したことを無駄にしたくないため、日系企業以外の就職は考えなかったという。1年前とは逆の採用する立場となった韓さん。新人フォローをしっかり行い、従業員を大事にする社風を後輩達に伝えたいと張り切る。

広州日産通商貿易の張替毅一董事長兼総経理によると、200人以上の現地社員のうち8割は日本語が話せるほか、日産自動車の部品輸出入が主たる業務のため日本語・中国語に加え、英語も話せるトリリンガルが多いという。「将来は中国人が社の代表として采配を振るう時代も来るだろう」と語る張替氏。現地採用者の将来像は明るいようだ。

■日系企業への就職にメリット

「欧米外資や地場大手と比べても日本企業の初任給が低いのは、もはや『一般常識』となりつつあります」。パソナヒューマンリソーシズ(上海)の山本和範董事長兼総経理はこう話し、日系企業の存在感が中国経済だけではなく、労働市場でも薄くなっていることを示す。

それでも、学生側が日系現地法人で就職したい理由としては、中国での所得水準向上に加え、日本的な終身雇用への安心感、人材を育てる姿勢が大きいようだ。

ハウス食品のブースの様子=18日、東京(NNA撮影)

ハウス食品のブースの様子=18日、東京(NNA撮影)

ハウス食品(中国)投資の中島剛士管理本部長は、「即戦力市場と呼ばれる中国で、新人教育を行い、雇用を守る日系企業の評価は高く、日系ばかりを転職する人材も多い」と話す。

東京で6回目の開催となるジョブ博チャイナで、同社は今回初出展した。「カレーを中国の“人民食”にする」という明確な目標を持つ同社は、会社概要などを30~50分間かけ、丁寧に説明していた。

中島氏は、現法の経営を日本人駐在員だけに頼らない仕組みを作るためにも、中国人材は欠かせないが、日本でも中国でも、人材確保は難しいことから、今回の出展を決めた。「当社の理念や目標に共鳴してくれた人を採用し、育てていきたい」と話す。

■多様な人材確保

ある中国人留学生は、「中国にわざわざ戻らなくてもすみ、色々な企業と面談できるのでこのイベントは便利だ」と話す。地方出身者の場合、帰国後に就職活動することは大都市に移動するコストもかかるだけに、日本留学中に就職先が決まるメリットは大きい。

出展23社のブースは様々だ。知名度の高い複数の企業は説明会を行わず、面接だけを行っていた。

中国地場の京東方科技集団(京東方、BOE)は基本的に説明だけで、ウェブ上で一般の志願者と同様にエントリーする仕組みだった。BOEは日本・中国で人材を募集している。

半導体製造装置メーカー向け精密加工部品の製造・販売を手掛けるジェニックは、日本、中国、タイ、シンガポールでの採用を掲げていた。どこで採用してもグローバル社員として働く場合は、日本人・中国人を問わず平等な待遇だ。

会場には、出展各社用に別室の面談会場も設けられた。ジョブ博当日と翌日(日曜日)に面談して内定を出すスピード重視の企業もあった。

直近では年2回のペースで東京で開催されているジョブ博チャイナは回を重ねる毎に、来場者や出展企業が増えている。

パソナによると、中国人留学生に特化したイベントを本格的に日本で開催したのは同社が初めて。来場者の多くが日本語能力試験(JLPT)最上位の「N1」を取得しているという。

法務省の統計によると、日本での在留資格を留学から就労に切り替えるケースが増えており、人材不足や国際化を背景に日本で外国人材を採用する動きも活発だ。ただ、ベトナムなど東南アジアの伸びが著しいのに対し、中国は微増にとどまっている。


関連国・地域: 中国日本
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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