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【アジアに行くならこれを読め!】『中国人エリートは日本をめざす』

■『中国人エリートは日本をめざす』

中島恵 著 中央公論新社

2016年10月発行 780円+税

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2015年の流行語大賞に選ばれた「爆買い」は、中国人が日本に憧れを持っていることの証明として日本人に強い衝撃を与えた。中国人は、明治開国期の日本人のように、未知なるものや新しいものを追い求めてようやく世界への一歩を踏み出した段階で、そこで初めて最も近い先進国である日本を見て感嘆し、興味を持ち、少しずつ理解が深まってきたところなのだ。

本書は、モノの爆買いではなく、東大や早稲田といった日本の一流大学を目指す中国人による「爆留学」や「爆就職」といったコトの爆買いについて、主に日本に住む中国人や日本の学校への取材を基に伝えている。1,200人もの中国人受験生を抱える予備校ビジネスの実態は興味深く、早稲田に合格させるため、400万円を払ってもよいと予備校に要求を出す親のエピソードなども驚かせられる。

こうした一部の富裕層の行動から「中国人は拝金主義だ」と叩く声もあるが、著者によると、「お金で解決しなければ一歩も前に進まない」というやむを得ない理由が隠されている場合もある。人口が日本の10倍以上の中国においては、日本では当たり前のように得られるモノやサービスも、競争や順番待ちの戦いの中で勝ち取っていかなければならない。爆買いの背景には、そんな中国の激しい競争社会があり、それは決してここ数年の新しい傾向ではない。30年間、中国と向き合ってきた著者の分析は鋭い。

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彼らのほとんどは純粋に日本に憧れ、(中略)

自分の人生をもっと充実したものにしたいと思っているだけである。(本書より)

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<目次 のぞき見>

留学生を支える予備校ビジネスの実態

過酷すぎる中国の大学受験戦争

一八歳人口の減少におびえる日本の大学

なぜ彼らは日本で働きたいのか

ダイバーシティをめざす日本企業に足りないもの

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<プロフィール>

中島恵(なかじま・けい)

1967年、山梨県生まれ。拓殖大学外国語学部中国語学科に入学し、在学中の88年に中国・北京大学に短期留学。新聞社勤務や香港・中文大学への留学を経て96年からフリージャーナリストに。主に東アジアのビジネス・社会事情などを執筆。著書に『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』など。

※特集「アジアに行くならこれを読め!」は、アジアを横断的かつ深く掘り下げる、NNA倶楽部の会員向け月刊会報「アジア通」2017年3月号<http://www.nna.jp/lite/>から転載しています。毎月1回掲載。


関連国・地域: 中国日本
関連業種: 雇用・労務社会・事件

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