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豊かになるASEAN、成長戦略セミナー(上) 転換期に差し掛かる人件費

情報通信提供サービスの株式会社ネクスウェイ(東京都港区)と共同通信グループの株式会社エヌ・エヌ・エーは1月27日、「豊かになるASEAN、変化する東南アジアビジネス成長戦略セミナー」を東京で開いた。約80人が参加。まず東南アジアなどの給与動向を毎年調査しているエヌ・エヌ・エーグローバルリサーチグループの山下哲央が「転換期に差し掛かる、東南アジアの人件費」をテーマに講演した。

■給与動向調査最新結果

エヌ・エヌ・エーではこれまでアジア各国において、1999年より各国に進出している日系企業に対して、給与、昇給率等についてのアンケート調査を行ってきた。

今回の給与動向調査(※)の方法は、海外に進出している日系企業に対するWEBアンケート。調査期間は、2016年9月1日から同月30日。調査対象は、日系企業に勤務するローカル社員。回答者数は、2,138人で中国からインドに及ぶ12カ国地域である。

回答者の属性は、製造業では、四輪二輪・部品が24%、電気・電子・半導体が19%、機械・機械部品が12%、その他の製造業が21%。

非製造業では、貿易・商社が38%、サービスが19%、建設・不動産が12%である。

最新の結果報告によると、平均給与額は2015年と2016年で金額が大きく変わったところはなく、製造業内の製造部門と営業部門で比較しても大きな変化はない。

平均昇給率は2015年実績から2016年実績で下降。2017年昇給予定でも前年割れとなった。

職種、部門、業種の平均を取ったところ、3年連続で減少している。

各国別にみてみると、営業部門全体では3年連続で減少しているも、15年から16年では大きな変化はない。

営業部門内の営業管理職と営業非管理職で比較すると、管理職は業種全体と同じ傾向で年毎に昇給幅が減っているが、非管理職では業種全体の昇給率を上回っている国が多く、管理職より非管理職のほうが全国平均より高い値を示し、その数は年々増えている。

■各国の人事採用動向

日系人材会社からの聞き取りにより、現地化の推進やローカル企業との取引増加、ビザの取得が困難になりつつあることから、ローカル営業人材の需要の高まりを見せていることが分かった。

よってこれらのことが、営業人件費の上昇傾向につながっていると考えられる。

現地化の推進とのことであるが、進んでいるか否かは別として日系企業の思惑はあるようだ。

■給与を取り巻く状況

ローカル人材の給与を考慮する際に、他の企業がどうなっているのかという観点と同時に、現場の経済的感覚も加味されるため、最低賃金の状況把握が重要である。

インドネシア(ジャカルタ)での最低賃金上昇率は2012年以降これまで、前年対比10%超えであったが、2017年は抑制傾向にある。

国内総生産(GDP)成長率は、ベトナム、インドが成長を維持し続けている。タイは2014年に発生した軍クーデターの影響による経済低迷からは脱却したものの、2016年は横ばいの見込み。ベトナム、インド以外は総じて低迷気味である。

またインフレ率は、ミャンマーを除き各国とも軒並み物価上昇率は下落している。

東南アジアに関する各種報道ではここ半年の間、労働関係や給与関係がトピックスとして上がっている。直近では、2017年1月6日付NNAタイ版の報道によると、定年退職者に対する補償金(解雇手当)の支払いを義務化することでタイ政府が同意したとある。法改正後、定年退職は解雇と同等とみなされ、使用者は補償金を支払う義務を負う。

■日系企業の対応

東南アジア人件費上昇に対する各日系企業担当者の見方は2015年と2016年で、両年とも人件費上昇を感じているという割合が87%超と、大きくは変わっていない。

人件費許容限界点は、現在水準の1.5倍までとする企業の割合が減少し、低い割合に流れた。

約5割の企業が現水準で限界点と回答している。

許容限界点突破後のアクションとして、6割から7割の企業が売り上げ向上や業務効率化が人件費アップ分を吸収するキーポイントとしている。

GDP、消費者物価指数(CPI)の伸び率は対前年度割れしているため最低賃金も伸び率が抑制されており、人件費も、伸びてはいるが緩やかに上昇していく見込みである。

一方、企業側の見方としては、人件費が高く、これ以上の負担を吸収していくためには、営業力の強化や体制の見直しが求められる。

新興国の経済は発展に伴う人件費の高騰は、現地で経営マネジメントを行う際に大きな悩みとなる。

ますます重みを増す労働コスト問題をどうするか。現地のニーズに合った昇給をしたいが日本側にどう説明すれば納得してもらえるのか。

これらに対応するには、各国の日系企業の最新給与情報を把握することや、産業調査、消費者ニーズサーベイ、海外企業リストアップ、企業信用調査など、日系企業が海外で事業を行う上で必要となる情報の享受が必要である。

※給与動向調査の詳細データはNNAアジアビジネスデータバンク<http://databank.nna.jp>(有料)に収録されています。


関連国・地域: 中国香港台湾韓国タイベトナムミャンマーシンガポールインドネシアフィリピン日本ASEAN
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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